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2021年ベストアルバム TOP50

2021年、個人的には2020年よりも時間の経過がものすごく早かったように感じました。様々な議論を巻き起こしたオリパラももう5ヶ月前のことなのが信じられません。パンデミックと隣り合わせの生活が始まってもうすぐ2年。相変わらず振り回されている感は拭えませんが、今年は昨年よりもライブに行く機会があって良かったなと思います。

というわけで、今年もこの季節がやって参りました。2021年も素晴らしい音楽にたくさん巡り会うことができましたので、今年も私のベスト50をピックアップしてご紹介したいと思います。最後までご覧いただけると嬉しいです。アートワークを押すと、アルバムのSpotifyのページに飛べます。

50. The Vaccines 『Back In Love City』

ロンドン出身のロックバンド、The Vaccinesの5thアルバム。どこか80sっぽさも感じさせるポップなギターロック。


49. Jungle 『Loving In Stereo』

Josh Lloyd-WatsonとTom McFarlandによる音楽ユニット、Jungleの3rdアルバム。「Keep Moving」をはじめ、踊らずにはいられないハッピーなサウンドがたまらないですね。


48. 東京事変 『音楽』

閏年の復活からEP1枚を経てリリースされた今作も、安定のアンチメジャーな唯一無二の事変サウンドが炸裂しています。全然関係ないですけど、林檎さんの「あおぞら」という曲がSpotifyのHyperpopプレイリストにあって驚きました。


47. WRD Trio 『The Hit』

オルガン奏者Robert Walter、ドラマーの Adam Deitch、The New Mastersounds のギター兼リーダー Eddie Robertsによるスーパーグループのデビュー作。ジャズ・ファンクをベースにした超絶技巧のモダンサウンドが聴いててとても気持ちいい作品。


46. Weezer 『Van Weezer』

今年は『OK Human』と本作とテイストが正反対のアルバムを出したWeezerですが、個人的にはハードロック愛が溢れに溢れまくったこちらの方がツボ。Ozzyの「Crazy Train」のリフをガッツリ引用した「Blue Dream」聴いた時はいいぞもっとやれ!って気持ちでした。笑


45. NIGHT TRAVELER 『Dreams You Don’t Forget』

テキサス州・オースティン出身のインディーロックデュオ、NIGHT TRAVELERのデビューアルバム。The 1975好きな人におすすめと、Twitterのフォロワーさんの書き込みがきっかけで知りましたが、本当にその通りのサウンドでした。


44. Official髭男dism 『Editorial』

今や現代J-POPの覇者となったヒゲダンですが、死を意識させる「アポートシス」やドラマティックな転調が目を張る「Cry Baby」など、今作は彼らのバンドとしての奥行きの深さを知ることができました。


43. FRITZ 『Pastel』

オーストラリアのアーティスト、Tilly Murphyによるソロプロジェクト・バンドFRITZのデビューアルバム。ノイジーでポップなシューゲイザーサウンドに、甘い歌声の組み合わせにハズレは一切ないですね。


42. Parannoul 『To See the Next Part of the Dream』

韓国のシューゲイザープロジェクト、Parannoulの2ndアルバム。今年聴いたシューゲイザー系の中ではかなりノイジーなサウンドが際立っていてグッド。去年のYaeji然り、韓国のインディーシーンって今ホットなんですね。来年はもう少し深くチェックしたいと思います。


41. Abstract Mindstate 『Dreams Still Inspire』

シカゴを拠点とするヒップホップデュオ、Abstract Mindstateの最新アルバム。Kanyeの『DONDA』関連の話がヒートアップしている最中に初めて知りましたが、一昔前のヒップホップな感じがかなり好きでした。


40. For Tracy Hyde 『Ethernity』

日本のロックバンド、For Tracy Hydeの4thアルバム。グランジ、シューゲイズ、ポップなどが美しく混ざった、ドリーミーなサウンドの完成度の高さは一級品。来年1月にクアトロで初めてライブを観ます。楽しみ!


39. Jimi Somewhere 『Nothing Gold Can Stay』

ノルウェーのベットルームアーティスト、Jimi Somewhereのデビューアルバム。boy pabloに続いて、また魅力的なニューカマーがノルウェーから・・・デビュー作ながら物凄くエモーショナルな雰囲気で良かったです。


38. Royal Blood 『Typhoons』

イギリスのロックデュオ、Royal Bloodの3rdアルバム。ヘヴィなグルーヴはそのままに、大胆に導入したダンスミュージックのビートが彼らを次のステップへもっていきましたね。聴けば聴くほどハマるスルメな一枚。


37. Tom Verberne 『Life Like』


ニュージーランド出身のSSW、Tom Verberneの最新EP。まだ知名度こそ高くありませんが、エレクトロニックなサウンドに時折ポップパンクからの影響を感じる側面もあり、ツボにハマりました。


36. Iron Maiden 『Senjutsu』

ヘヴィメタルレジェンド、Iron Maidenの最新作。結成以来ずっと一貫してきている彼らのHR/HMサウンド。そのブレないがゆえのかっこよさが滲み出ている快作。


35. Wolf Alice 『Blue Weekend』

ロンドンのインディーロックバンド、Wolf Aliceの4年ぶりとなる3rdアルバム。壮大なサウンドがさらにスケールアップ。その中で「Play The Greatest Hits」みたいなパンキッシュな曲をぶっ込むところも最高ですね。


34. Big Red Machine 『How Long Do You Think It’s Gonna Last?』

The NationalsのAaron DessnerとBon IverのJustin Vernonによるインディーフォークプロジェクト、Big Red Machineの2ndアルバム。インディーフォーク系のアルバムの中では今年一番好きでした。Taylor Swiftが参加した2曲はまさにマリアージュ。


33. Between The Buried And Me 『Colors Ⅱ』

ノースカロライナ州出身のプログレッシブ・メタルバンド、Between The Buried And Meの10枚目のアルバムにして、彼らの代表作の一つ『Colors』の続編にあたる作品。現行のメタルバンドの中でも、最も知的さを感じるサウンドは流石の一言。


32. Still Woozy 『If This Isn’t Nice, I Don’t Know What Is』

カリフォルニア州オークランド出身のSSW、Sven GamskyによるプロジェクトStill Woozyのデビューアルバム。最高ゆるくてウォームなポップサウンドが心地良い。


31. The Armed 『ULTRAPOP』

デトロイト出身のハードコアバンド、The Armedの4thアルバム。そこにはタイトルとアートワークからは想像できないような、ユニークでカオティックな世界が広がっていました。PVもぶっ飛んでるものもあって最高です。


30. Inhaler 『It Won’t Always Be Like This』

アイルランド・ダブリン出身のロックバンド、Inhalerの待望のデビューアルバム。80年代末期〜90年代初頭のオルタナロックシーンからの影響を感じさせるサウンドに、Elijah Hewsonの父親譲りのボーカルが最高にマッチ。これからの飛躍がすごいことになりそうなバンドの一つ。


29. Kanye West 『DONDA』

かねてから噂されながら焦らしに焦らしを重ねてようやくリリースされたのは、ヒップホップのG.O.A.Tたる所以を感じさせる超大作。スタジアムでのリリースイベントの演出も度肝を抜かれましたね。


28. Dijon 『Absolutely』

ロサンゼルス出身のSSW、Dijonのデビューアルバム。静かなアコースティックナンバーから、激しいロック調のものまで多彩な楽曲で構成された、ベッドルームアーティストのお手本のような作品。


27. Slow Crush 『Hush』

ベルギーのシューゲイズバンド、Slow Crushの2ndアルバム。冬にぴったりな冷たい音像ながら、どこか幻想的でとろけるような美しいメロディが秀逸な1枚。


26. 折坂悠太 『心理』

鳥取県出身のSSW、折坂悠太の3rdアルバム。平成の終わりに日本の音楽シーンに衝撃を与えてから3年、今作でも彼の底知れぬ才能がより光り輝いていました。ドラマの主題歌も担当しますます注目を集めながらも、決してセルアウトすることなく様々なジャンルの音楽を昇華した傑作。彼は本当に唯一無二の存在になりつつありますね。


25. Kiwi jr. 『Cooler Returns』

カナダ・トロント出身のガレージロックバンド、Kiwi jr.によるSUB POP移籍後初となるアルバム。90sリバイバルはまさにこういうこと、と言わんばかりの疾走感あふれる極上のギターポップ。


24. Tyler, The Creator 『CALL ME IF YOU GET LOST』

カリフォルニア州出身のラッパー、Tyler, The Createrの新作アルバム。前作『IGOR』のメロウな雰囲気を残しつつ、ストレートなラップも多め。Tyler本人は今作が最高傑作かもしれないとTwitterで述べていましたね。


23. Snail Mail 『Valentine』

メリーランド州・エリコットシティー出身のSSW、Lindsey JordanのソロプロジェクトSnail Mailによる2ndアルバム。ローファイデビュー作と比べ、鍵盤の出番が多くなったり、スタジアムロックっぽい曲もあったりと雰囲気も変わりながらステップアップ。声帯手術でツアーが延期になっていることが心配ですね・・・(延期日程は決まっているようですが)



22. AJICO 『接続』

奇跡の再始動を果たしたBLANKEY JET CITYの浅井健一とUAを中心としたスーパーグループによる、20年ぶりの新作EP。日本の音楽シーンでも特に個性的なボーカル2人から生まれる絶妙なハーモニーは、21年たった今も健在。フジロックでのパフォーマンスも最高にクールでした。


21. BROCKHAMPTON 『ROADRUNNER: NEW LIGHT,NEW MACHINE』

テキサス州出身のヒップホップボーイバンド、BROCKHAMPTOPNの6thアルバム。彼ら史上最もポップでメロディアスながら、そのサウンドに乗っかるリリックはここ2年の社会の混乱の影響が。次作がラストアルバムになるという噂も立っていますが果たして・・・


20. No Rome 『It’s All Smiles』

ロンドンを拠点に活動するフィリピン人SSW、No Romeのデビューアルバム。オルタナロック、エレクトロ、アンビエントを絶妙に織り交ぜたそのサウンドは、これでもかとThe 1975好きの琴線に触れてくるもの。「DIRTY HITは裏切らない」と改めて思わせてくれた作品。


19. Faye Webster 『I Know I’m Funny haha』

アトランタ出身のSSW、Faye Websterの待望の新作。ヒップホップからの影響が色濃かった大傑作な前作と比べ、カントリー/フォーク色強め。次々と新たな才能が出てくるSSWシーンの中でも、やはり安定の完成度の高さを誇っていました。


18. Vince Staples 『Vince Staples』

カリフォルニア州・ロングビーチ出身のラッパー、Vince Staplesの新作アルバム。今年のヒップホップは流行りなのかというくらいトータルの時間が長い作品が多い中、Vinceの新譜は10曲22分と安定のあっさりさと聴きやすさで突出していました。


17. Squid 『Bright Green Field』

イギリス・ブライトン出身のポストパンクバンド、Squidによる待望のデビューアルバム。これまでリリースしたシングル、EPどれもヤバすぎましたが、アルバムでもしっかりと彼らの音楽の引き出しの広さを感じさせてくれました。


16. Claud 『Super Monster』

ブルックリン出身のSSW、Claud Mintzのデビューアルバム。Phoebe Bridgersが新たに立ち上げたレーベル<Saddest Factory>の第1弾アーティストで・・・という説明は後から知り、とりあえずジャケットが魅力的過ぎて一目惚れしてから聴いたアルバムの一つ。デビュー作とは思えないほど洗練された良質なベットルームポップに酔いしれました。


15. Amyl and The Sniffers 『Comfort To Me』

オーストラリア・メルボルン出身のポストパンクバンド、Amyl and The Sniffersの2ndアルバム。ここ数年ポストパンクへの注目度が高まる中で、とりわけストレートなギターガンガンのパンクサウンドが光る彼ら、今作もその熱量と勢いは凄まじいものでした。Amyのボーカルスタイルはここ数年で台頭したポストパンク勢の中でもかなりお気に入りです。


14. Billie Eilish 『Happier Than Ever』

2作目にして早くも貫禄さえ感じるようになったBillie。落ち着きすぎていると言う人も多かったですが、個人的には前作よりも曲のテイストの幅が広がって、アーティストとして着実にステップアップしているのを感じてポジティブに捉えました。そして何よりも、表題曲の圧倒的破壊力。


13. Jenevieve 『Division』

マイアミ出身SSW、Jenevieveのデビューアルバム。80-90s R&Bがバックグラウンドとなっている彼女ですが、「Baby Powder」はシティポップの名曲としても名高い杏里の「Last Summer Whisper」がサンプリングされていることでも話題になりましたね。それ以外も素晴らしいメロディセンスが光る曲の数々。シティポップ再ブームの中で今後より一層注目を集めそう。


12. Deafheaven 『Infinite Granite』

サンフランシスコを拠点に活動するブラックメタルバンド、Deafheavenの5thアルバム。『Sunbather』や『New Bermuda』で極めたトレードマークともいえるブラックゲイザーサウンドから脱却。これまでで最もメタル色が抜けているアルバムながら、ドリームポップへのアプローチにより美しい進化を果たしたDeafheavenの新たな代表作。


11. Remi Wolf 『Juno』

カリフォルニア州パロアルト出身のSSW、Remi Wolfによる新作アルバム。ソウルやディスコを基調としたポップサウンドで、お酒をいれて一晩踊り明かしたくなるような音楽が全編にわたって繰り広げれている。時々ガッツリ入ってくるギターも素晴らしいアクセント。


10. Silk Sonic 『An Evening With Silk Sonic』

Bruno MarsとAnderson Paak.によるスーパープロジェクト、Silk Sonicのデビューアルバム。この2人がタッグを組んだら最高に決まってんじゃん!という多くの人の期待に応えるかのように、先行配信された曲はどれも最高でしたが、アルバム全体もものすごい出来になってましたね。70sフィリーソウルへの愛とリスペクトがたくさん詰まったスーパープロジェクト。サマソニのビーチステージあたりでお酒を片手に聴いて踊りたい!


9. shame 『Drunk Tank Pink』

ロンドンのポストパンクバンド、shameによる2ndアルバム。私は2019年に初めてフジロックに参加したのですが、その時の一番の後悔はshameをチェックしていなかったということ。「踊る」というよりは「暴れる」が適しているギターサウンドがど直球だった1stアルバムから、パンデミックの影響か少しダークな雰囲気が漂いながらもさらにスケールアップ。次こそはそのエネルギッシュなライブを絶対に見逃したくない。


8. 揺らぎ 『For you, Adroit it but soft』

滋賀県出身の4人組バンドによる初の全国流通アルバム。今年の日本のアーティストの新譜で一番好みでした。日本でシューゲイザー的なサウンドを鳴らすバンドといえば近年羊文学のイメージが強い気ですが、この揺らぎのデビューアルバムも全編にわたって極上のジャパニーズシューゲイザーを堪能できる素晴らしい1枚です。今後来日公演復活したら引っ張りだこになって欲しいバンドの一つ。4月のCraftrockで見たライブも心が蕩けて最高だったのでまた観に行きたいですね。


7. CHVRCHES 『Screen Violence』

スコットランド・グラスゴー出身のエレポップバンド、CHRVCHESの4thアルバム。ポップに振り切った前作から方向転換し、パンデミックでメンバーたちが感じたことを落とし込んだダークなコンセプトに、ギター多めのサウンドが絶妙にマッチ。The CureのRobert Smithが参加した「How Not To Drown」は本当にツボで何回も聴きました。CHVRCHESはこういうサウンドをもっと突き詰めてもいいんじゃないかと思いますね。ちなみに個人的には今年の8月にbeatinkさん主催のリスニングイベントにも参加させていただきました。


6. Clairo 『Sling』

アトランタ出身のSSW、Clairoの2ndアルバム。前作よりもアコースティック主体でどこか温かみを感じるサウンドが特徴的な一方で、音楽業界で彼女自身が受けたハラスメントについて歌った「Brouse」をはじめとして内省的な内容の歌詞も目立つ。Clairo自身はデビューしてからメンタル面での問題もかなり抱える日々が長かったようで、その点を踏まえて聴くと非常に深く、ある種2020年代的な作品。自身が感じた苦痛を音楽で表現することは、彼女にとっては非常に勇気のいることだったのでしょう。


5. boylife 『gelato』

ロサンゼルスを拠点に活動する韓国系アメリカ人アーティスト、boylifeことRyan Yooのデビューアルバム。ここ数年次々と新しいベットルームアーティストが出てくるので正直追えてない方なのですが、このboylifeのアルバムは明らかに他と違いました。アコースティックもあれば、ゴスペルやシューゲイザーチックな要素もあり。ベッドルームシーンの集大成的作品と考える方もいましたが、そう言われるのも納得の一枚です。デビューアルバムがすでに貫禄のある出来となっているため、次は一体どうなってしまうのだろうと思ってしまいます。


4. Little Simz 『Sometimes I Might Be Introvert』

ロンドン出身のラッパー、Little Simzの4thアルバム。話題作が続々出たヒップホップですが、Little Simzの今作は本当に衝撃的でした。1曲目の「Introvert」からまるでオーケストラのコンサートに来たかのような壮大な雰囲気を醸し出すサウンドにグッと引き込まれ、その後も終始ソウルフルな曲の数々に圧倒されまくりました。アメリカではなくイギリスからこんなすごいヒップホップの作品が出たという事実も2021年らしいなとも。これライブで観れたら本当にやばいんだろうな・・・ちなみに先日公開されたばかりの『Venom: Let There Be Carnage』では本人役として出演し、劇中でもクールなパフォーマンスを決めていました。


3. underscores 『fishmonger』

サンフランシスコを拠点に活動する音楽コレクティブ「Six Impala」のメンバーである、アーティスト/プロデューサーのunderscoresことDevon Karpfによるアルバム。今年出会ったインディーアーティストの中で最も刺さったのは、間違いなくunderscores。いわゆるハイパーポップという音楽がここ数年急激に流行り、私もTwitterで見かけるたびにチェックし始めていました。可愛げのあるゆるめなジャケットとは裏腹に、ポップパンクの影響をも感じるバチバチなサウンドを奏でるunderscoresのこのアルバムは本当にドンピシャでした。12月には早くも新作”boneyard aka fearmonger”をサプライズリリース(こちらも良かった)し、今かなりノリに乗ってるアーティストだと思うので今後が楽しみです。


2. black midi 『Cavalcade』

サウスロンドン出身若手ロックバンドの筆頭、black midiの2ndアルバム。衝撃のデビューアルバムから約2年、black midiは今回もやってくれました。ジャムセッションから曲を作り上げたスタイルから脱却し、しっかりと自宅で作曲してからレコーディングに臨んだそう。確かに前作よりもまとまりのある感じもしましたし、一方でブラスセクションも取り入れたりと表現の幅も曲の複雑さもマシマシに。もはやblack midiというジャンルが確立してもいいくらい、イギリスの新世代バンドの中では突出した才能の塊のようなバンドだと改めて感じさせてくれました。年の9月には待望の二度目の来日公演が予定されていましたが、残念ながら延期に・・・来年こそは彼らの熱気とカオスに満ち溢れたパフォーマンスをこのカラダで体感したい。


1. Turnstile 『GLOW ON』

black midi、underscoresと迷いに迷いながら今年のナンバーワンにしたのは、ボルチモア産ハードコアバンド、Turnstileの3rdアルバム”GLOW ON”。Turnstileは学生時代に彼らの音楽と出会ってから6年ほど追っていて、過去2回の来日公演(2015年、2018年)はどちらも観に行ったほど大好きなバンド。彼らの最初のフルアルバムである『Nonstop Feeling』を聴いた時、そのボーカルのスタイルやサウンドから他のハードコアパンクとは一線を画した音楽性を感じて、すぐに夢中になったのを覚えています。
今作はROADRUNNERに移ってから2作目となるアルバム。90sハードコアをベースとしたキャッチーでグルーヴィなサウンドを大切にしつつも、ラテンのリズムや現行インディーポップを彼らなりに昇華。これぞTurnstileという唯一無二のハードコアアルバムになりました。Blood Orangeとのコラボは驚きつつも、彼らがこれまで貫き通してきたサウンドに想像以上にフィットし、結果として斬新な音楽となっていて最高でした。ボルチモアのアンダーグラウンドからロックバンドとして大きなステップアップを果たした彼らにとって重要な作品であると同時に、飽和状態になりつつある現行インディーシーンに風穴を開ける1枚だと確信しました。
個人的にはこういった形でハードコアバンドやその周辺のカルチャーに注目が集まって、その魅力がさらに多くの人に伝わっていくんじゃないかと物凄く期待を寄せています。もしTurnstileを通じてハードコアに興味を持った方は、ぜひ一度ライブに足を運んでください。現場こそハードコアの良さを最も感じることができます。


2021年、いまいち乗り切らない年でしたが、いい音楽にたくさん巡り会えて良かったです。今年は90年代のインディーロックシーンを想起させるような作品が多く、90年代の音楽が一番好きな自分としてはそういった作品と出会うたびにめちゃくちゃテンションが上がりました。それに加えてポップパンクをはじめとした2000年代の音楽に影響を受けた若手アーティストの台頭、果ては当事者の原点回帰(Avril Lavigneの「Bite Me」)まで起こるという流れもすごく気になりました。来年もこの流れは生きていきそうな気がします。そしてたくさんの新しい音楽に出会う中で、生のパフォーマンスでそれらの凄さをより感じたいなと思いました。来年こそはぜひフェスに行けることを、そのフェスに海外からのアーティストが多くラインナップされることを願ってやみません。

2022年も最高の音楽に出会えますように。


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