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そうだ 教祖、なろう。『完全教祖マニュアル』◆読書ログ2020#06◆

今回の読書ログは、『完全教祖マニュアル』です。

まずこれがどういう本なのかというと、まさにタイトルの通りです。
「教祖」になるためのマニュアル本です。

単なるネタ本などではありません。
ちゃんと完成度の高い教祖マニュアルとして成立しています。
冗談などではなく、確かにこれを読めば教祖になれる(気がする)のです。

目次はこんな感じです。

 序章 キミも教祖になろう!
第一部 思想編
 第一章 教義を作ろう 
 第二章 大衆に迎合しよう
 第三章 信者を保持しよう
 第四章 教義を進化させよう
第二部 実践編
 第五章 布教しよう
 第六章 困難に打ち克とう
 第七章 甘い汁を吸おう
 第八章 後世に名を残そう

他に教祖になりたい人向けのハウツー本がどれくらい出版されているのか知らないですが、
教祖に興味がある方教祖になったものの信者が集まらず困っている方などは、とりあえずこの本を読むことをオススメします!

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「いやいや、ぼくは教祖になるつもりなんかないよ」という人もいるでしょう。
そんな方にも、私はこの本をオススメしたい。

なぜなら、単純に読み物として面白いから。
まずテンポが良い。リズムが良い。
難しい言葉を使わず、分かりやすく、読みやすい。

世界中のメジャーな歴史ある宗教からマイナーで怪しげな新興宗教まで、あるいは現代のクソインチキ情報商材コミュニティビジネス等、それらを直接的・間接的な皮肉たっぷりに斬りまくります。
サクサク楽しく読んで、そして笑えます。

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「いやいや、俺にはそんなくだらない本を読むヒマはないんだ」とか、
「宗教だって?ふざけるな!ヤバい本じゃないのか!」などと思う方もいるでしょう。
そんな方にこそ、この本をオススメしたい。

日本人の多くは、特定の宗教を信仰しておらず、むしろ危ないもの・怪しいものとしてタブー視している人が多いように思います。
いわば「宗教アレルギー」ともいえる状態でしょう。
しかしこれは、世界的に見ればかなり特異なことであると言えます。

世界には、古今東西、大小様々な宗教が存在してきました。
政治も戦争も芸術も、人類の歴史や文化を宗教抜きに語ることなどできないのです。
この上なく非科学的で非論理的なはずの宗教がこれほど必要とされてきたのには、やはりそれなりの理由があるのです。

そもそも宗教とは何なのか。信仰とは何なのか。
どうして人々は宗教を必要としてきたのか。

そういうことを理解しておかないと、人類の歴史や、あるいは人々の心理などを本当の意味で理解することは難しいはずです。

この本は「教祖になろう」という切り口で書かれてはいるものの、それを解説する中で、そういう本質的な部分を解き明かしているように思います。
こうした意味で、この本は宗教学の超入門書として、面白くもあり深くもあり、大変タメになる本だともいえます。

そういう視点で読んでみると、実は私たちの周りにも「宗教」と名付けられていないだけで宗教(のように機能しているもの)は存在していることに気付きます。
それは例えば、「無信仰」とか「科学」とかいう名前のものかもしれませんし、自分が所属するコミュニティや会社にも実質的な宗教は発生しているかもしれません。
結局のところ、私たちはこの現代社会においても「宗教」を必要としているのです。

だとすれば、「宗教とは何なのか」「教祖とは何なのか」、その実態を正しく理解し、正しく利用することで、人付き合いやビジネスにもそれを活かすことができるかもしれません。
あるいは、そういったものに無意識的に操られたり騙されたりしないようにできるかもしれません。

*****

実際のところ、世の中はとても理不尽です。
不平等で、不公平で、上手くいかないことだらけです。
生きるだけで辛く、大変で、苦しいものです。
社会は不完全だし、問題だらけです。

ある社会の枠組み、価値基準の中では、どうしても「負け組」となってしまう人が必ず存在します
その中で、全ての人を幸せにすることは不可能です。
残念ながら、それが現実なのです。

そこで、そういう「負け組」の人に対して、別の価値基準を提示してあげることで、彼らを幸せにしてあげる
これこそが、宗教に求められる「救い」なのであって、そしてそれは宗教にしかできないことでもあります。

だからこそ、宗教には大きな力があります。
確かに、みなさんもご存じの通り、宗教が人を戦争やテロへと突き動かすこともあります。
しかし、逆にいえば宗教は多くの人々をハッピーにするだけの力もあって、つまり、宗教そのものが悪いわけでは全くもってないのです。

結局のところ、どういう人に対してどういう救いを与えて、どれくらいの人をどれだけハッピーにできるかは、教祖がどういう宗教をつくるか次第なのかもしれません。

別に、必ずしも「宗教」としての形を取る必要はないと思います。
現代でいえば、オンラインサロンとかサークルみたいな形からスタートしてもいいですし、ラフに「○○の会」みたいなのを作ったり、とりあえず本を1冊書いてみるとかでもいいと思います。

もしも今、あなたがこの社会に対しておかしいと思っていることがあって、それによって苦しんでいる人たちを少しでもハッピーにしたいなと思っているのなら、宗教をつくることを検討してみてください。

ただ苦しむ人を少しだけハッピーにしようというだけなのですから、何も後ろめたいことはありません。

しかも、やり方は『完全教祖マニュアル』に分かりやすく書かれています。
意外にも、そんなに難しいことではありません。

だから、あなたでもできます。
いや、あなただからこそできます。

大丈夫です。心配無用です。
私を信じるのです。私を信じなさい。私を信じれば救われます――。


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