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まことんの本棚

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おすすめの本の紹介や読んだ本の書評をまとめたマガジンです。
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記事一覧

『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』◆読書ログ2020#07◆

今回の読書ログは、『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』です。 本書は、主に社会変革(ソーシャル・インパクト)の文脈で書かれた本ではありますが、そこで解説されている「システム思考」というツールは、公共の社会課題の解決のみならず、一般的な民間企業をはじめとする様々な組織で活用ができるものだと思います。 ただ、多くの人にとって大変役立つ内容である一方で、同じ具体例・同じ説明が繰り返し用いられていたり、抽象的な表現が続く箇所があったりと、書籍の構成としてはやや冗長な印象も否

そうだ 教祖、なろう。『完全教祖マニュアル』◆読書ログ2020#06◆

今回の読書ログは、『完全教祖マニュアル』です。 まずこれがどういう本なのかというと、まさにタイトルの通りです。 「教祖」になるためのマニュアル本です。 単なるネタ本などではありません。 ちゃんと完成度の高い教祖マニュアルとして成立しています。 冗談などではなく、確かにこれを読めば教祖になれる(気がする)のです。 目次はこんな感じです。  序章 キミも教祖になろう! 第一部 思想編  第一章 教義を作ろう   第二章 大衆に迎合しよう  第三章 信者を保持しよう  第四

学んできた理屈が現実に合わないなら、その理屈を疑わなければならない『MMTとは何か』◆読書ログ2020#05◆

2020年の5冊目は、『MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論』です。 昨年頃からアメリカや日本で注目を集めているMMTですが、その歴史は浅く、誤解されているケースも多数見受けられます。 今回は読書メモとして、その勘所をまとめてみることにします。 MMT(現代貨幣理論)とは何かそもそも「MMT」とは何でしょうか? よく見かける説明としては、「お金はどんどん新たに発行すればいいので、自国通貨建てであれば国はいくらでも借金できる。財政赤字も政府債務も気にする必要

『群衆心理』を読みながらコロナ禍を観察する ◆読書ログ2020#03◆

2020年の3冊目は、1895年にフランスの社会心理学者ル・ボンによって書かれた古典的名著『群集心理』です。 今回は、単に本の要点や評価をまとめるだけでなく、新型コロナウイルスの話題とも絡めながら進めてみようと思います。 一般的な「群衆」の特性本書で「心理的群衆」と名付けられる人間の集団は、それを構成する各個人の性質とは非常に異なる新たな性質を備えるという。 単に多数の個人が偶然により合っただけではそういった性質をおびることはないが、何らかの刺激の影響をもって一つの集団精神

思考の線形性と世界の非線形性とのギャップを認識するということ『技術革新と経済発展』◆読書ログ2020#04◆

2020年の4冊目は、弘岡正明氏の『技術革新と経済発展―非線形ダイナミズムの解明』[2003]です。 人間は線形思考が先に立つ。今日起こったことが明日も起こるだろうと考えて行動する。しかし、数年間続いたことがその先にも同じように起こるとは限らない。世の中は、むしろ次第に変化する非線形な現象に支配されているのに、いつまでも過去から脱却できないで、線形思考で将来を考えて行動するから、えてして判断を誤る。しかし、世の中の動きを仔細に観察すると、その非線形の実態が見えてくる。本書は

『宣伝担当者バイブル』◆読書ログ2020#02◆

2020年の2冊目は、江崎グリコのデジタルネイティブ宣伝部員である玉井博久さんの著書『宣伝担当者バイブル』です。 今年から人材系のWEBサービスの広告運用とブランディングの担当を兼任しているので、基本的な考え方をインストールしていきたいと思います。 この本は、まさに僕のような立場の担当者にとっての「バイブル」となりうるものです。 ある一定以上の規模で行われる広告・プロモーション施策の場合、その商品やサービスを販売する事業者、すなわち広告主たる企業のみでそれが完遂されること

『みんなではじめるデザイン批評』◆読書ログ2020#01◆

最近は会社でWEBサービスのマーケティング・ブランディングを担当しているので、デザイナーやクリエイターの方と仕事をする機会も増えてきました。 ということで、2020年の1冊目は『みんなではじめるデザイン批評 ―目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド』です。 先に注意しておくと、この本は「本」としてはあまり読みやすいものではないです。 これは、例えば『7つの習慣』のような海外のベストセラー本を和訳したケースによくあることなのですが、本質的かつ普遍的ない

今より少しだけ日本を良くするために考えること『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』◆書評′19#22

2019年22冊目の書評は、小熊英二さんの『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』です。 この本は、「日本社会のしくみ」について、その特徴や歴史を多面的かつ客観的に解説した大衆向けの学術書である。 ここでいう「しくみ」とは何か。 それは、単に法律や制度を指すだけでなく、もっと広い意味で、 雇用や教育や福祉、政党や地域社会、さらには「生き方」までを規定している「慣習の束」であると著者は定義している。 慣習とは、人間の行動を規定すると同時に、行動によって形成され

社会にはまだ偉人たちから学ぶ余地がある『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』◆書評′19#21

久しぶりの書評です。読み終えるのに2ヶ月弱かかりました。 2019年21冊目は、リンダ・ユーの『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』です。 ブレグジットというのは、イギリスのEU離脱を指す "British" と "Exit" の混成語である。 かの有名な経済学者アダム・スミスならば、この大きな出来事についてなんと考えるだろうか? という疑問がタイトルになっているが、 これは、この分厚い本で議論されているいくつもの問いのうちのひとつに過ぎない。 『12人の偉大な経

【2019年上半期】読んだ本リストと評価まとめ 全20冊

2019年も、もう半分が過ぎてしまいましたね。 今年は、読んだ本の感想をnoteにメモしてきました。 今回はそれらのリストと、ひとこと感想をまとめたいと思います。 読んだ順番ではなく、ジャンルごとに並べてあります。 ◆自己啓発・キャリア・生き方2. 『武器になる哲学:人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』(山口周) オススメ度:★★★★★ 哲学がこんなに面白いとは思わなかった。マジで全員読んでほしい。 18. 『日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕

【KDP】Kindle電子書籍 出版しました

先日ブロックチェーンに関する記事をUPしたのですが、 noteで読むには少し長くなってしまったので、それをベースにKindle電子書籍にして出版してみました。 ※ 2019/2/14に表紙デザインを大きく変更しました。 Kindle Direct Publishing(KDP)というサービスを使うと、誰でも簡単に電子書籍を出版することができます。 実際、思った以上に簡単だったのですが、具体的にどのような手順で作業したのかは、↓こちら↓にまとめました。 Kindle Un

「もっと勉強したい」以外の感情を失った『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』◆書評′19#12

今年は、読んだ本の感想を全てnoteにメモしていきます。 2019年12冊目は、『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』です。 本書は、題名の通り現代経済学、主に20世紀半ば以降に展開されてきた各種主流派経済学についての解説書である。 いかにも学術的で難しそうなタイトルではあるが、 あくまでも現代経済学の全体像を捉えることを目的としており、また文章も平易で読みやすい。 前提としての専門知識が無くとも、我々一般人が十分に楽しめるような入門書になっている。 とはいえ、完

【まことんの本棚】会計編 #推薦図書

まことんの本棚第3弾の推薦図書は、会計編です。 断言しますが、何らかの形でビジネスに関わる人であれば、全ての人が"会計的視点"を身に付けておくべきです。 これは、用語を覚えろとか、決算書の作り方を勉強しろとか、そういうことではありません。 会社というものの仕組みを理解し、会計の概念を知り、ビジネスの全体像とお金の流れを、高い視点から考えられるようにすべきだということです。 今回は、そういう"視点"を身に付けることを目的に、読みやすさ・分かりやすさを重視した本をピックアップ

ワインは友達!こわくない!『ワインリテラシーとテイスティング入門』◆書評’19#11

今年は、読んだ本の感想を全てnoteにメモしていきます。 2019年11冊目は、『ワインリテラシーとテイスティング入門 』です。 実はこの本、僕の大学の同級生である奥村君が書いたKindle本であります。 彼は京都大学農学部で土壌の研究をした後、ワイン造りを学ぶためヨーロッパに留学し、現在、フランスやドイツでワインの勉強をしています。 まあ要するに、美味しいお酒が好きな楽しい若者です。 さて、皆さんはワインはお好きでしょうか? 「好きではあるけど、ワインって難しいんだ