2016年4月30日の夢。
こんな夢を見た。
私は桐の箱を抱えて夜道を1人で歩いていた。
御影石でできたお墓の前に着くと、桐の箱を地面に置き、重たい香炉をよいしょ、とどかした。
「ったく・・・普通、家族が納めるもんでしょうが!」
ぶつくさ言いながら、しゃがみこんで桐の箱の蓋を開けた。
中には白くてカサカサした骨が控えめに入っていた。
頭蓋骨の形は残っておらず、お舎利さんも見当たらなかった。
多分、頭頂部なんだろうな、という感じの小皿みたいな骨が、残っている中では一番大きな骨だった。
私はそれを手のひらに乗せた。
「ジュ・・・」という音がしたが、手には仄温かく感じられた。
以前、自分が見た夢の中で聞いた言葉だっただろうか。
「死んだ人は身体の底から冷えていて、その冷えは簡単に癒せるものではなく、燃え盛る炎に包まれて、やっと『温かい』、『心地よい』と感じる」
のだそうだ。
肉が焼ける程の高温で温かいと感じた私は既に死んでいたのだ。
燃え残った、自分の真っ白なカサカサした骨を自分で墓に納めていたのだ。
遠くで家族の楽しそうな声が聞こえる。
「あんたたちの仕事でしょ?・・・なんで私が・・・」
ぶつくさ言いながら最後の骨を墓石の奥の闇の中に乱暴に放り、香炉を元に戻した。
ああ、疲れた。
ああ、重かった。
疲れた疲れた。
こんなこと、やるもんじゃない。
何しろ私は死んでいるのだから。
早く温かいところでゆっくり眠りたい。