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おのれ!花粉!(前編)


花粉とは全く無縁だった私の生活は高校卒業と同時に終わりを迎えた。

「あれ?なんか目と鼻がかゆい・・・」

と思っていたら、本格的に鼻がつゆだく、目はぽんぽんになり、耳鼻科で検査をしたら立派な「スギ、ヒノキ花粉症」だった。

卒業旅行で行った場所は「美杉リゾート」という、その名の通り、スギに囲まれたのどかな宿泊施設だった。

花粉症持ちにとって、美杉リゾートに行くことは、「焼き討ちにあう」と知りながら本能寺に泊まることと同じことである。


いや、むしろ焼き討ちにしてくれ。
杉を全部焼き払ってくれ。

そんな思いで参加した卒業旅行。

案の定、死んでいた。

当時、花粉症初心者だった私は、何をしたらいいのか分からず、目で見て分かる程度に迷走していた。

卒業旅行中はマスクとサングラスを着用していた。

マスクとサングラス着用のまま、遊園地のバイキングに乗って控えめなハンズアップなどをしていた。

友人たちと撮ったプリクラの私の顔の下には

「↑不審者」

とラクガキされた。

「だよね☆」

と思った。


昼間に花粉をたっぷり浴びたので、夜になるとさらに死んだ。


花粉のせい&旅行のワクワクのせいで寝られず、友人たちとエンドレスしりとりをずっとしていた。

「もう、この世の言葉の全てを言い尽くしたからさ、造語オッケーにしようよ。」

「いいよ。次、『す』だったよね?す・・・す・・・す・・・すんどし

「すんどし?」

「すんどし。」

「すんどしwww」


などという、100人中100人が

「ええ、これは、おバカですね。」

と思うであろう会話を繰り広げていたが、こんな楽しい会話の間にも私の鼻はつゆだく、目はぽんぽんだった。

そんな私は数日後、岐阜県の大学生になっていた。

山に囲まれたそれはそれはのどかな、花粉が多そうな岐阜県の大学生になっていた。

しかも。私が入学した年は記録的な花粉が多い年だった。



To be CONTINUED ・・・


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ジェノサイド(したい)編はコチラ

#エッセイ #花粉症