【句作_02】こいしらず
●2023
▼睦月
袖にされ滲む画面と寒昴
袖にされツンとする鼻寒昴
節分の豆を肴にひとり酒
▼如月
淋しさに指先濡らす春寒し
回る春君の便りにうかれ猫
▼弥生
艶やかな身を葉に隠す花椿
疾風の恋を患い落椿
▼皐月
ままならぬ恋の香りは花蜜柑
淋しさを飼いならせずに麦の秋
計れない人の心と五月闇
独り身と家族サイズのソーダ水
散るまでがワンセットの恋と芍薬
▼水無月
短夜に交わす言葉は詩のようで
五月雨にみそひと文字は多すぎて
頬染める君の瞳に夏銀河
袖握り記憶巡らす柿若葉
うつむいて色香を放つ額の花
さあ散れよ叶わぬ夢と額の花
短夜の夢で淋しいと泣く君
御守りにおろす白靴別れの日
サングラス透ける瞳に照れて恋
香水と瞳でフロア沸かす君
片恋占い繰り返す短夜
恋占い何度も試す短夜
傷心に光満ち水無月の虹
雷鳴に響き砕けろ恋ごころ
ビールの酔いついと消すトークルーム
青嵐恋の熾火を吹き消して
散った恋何も祝えない杜若
ガチ恋に狂い咲いては散る渓蓀
以上、「こいしらず」30句。
【お知らせ】
福島県須賀川市のシティプロモーション冊子『須賀川辞典』のテキストをここ3年ほど書かせていただいています。今春、須賀川市の全世帯に配布されたのは「俳句編」となっています。
以下のURLよりPDF版をご覧いただけるので、ご興味いただけましたら、ぜひあわせてご覧ください。