第26回参議院選挙 結果分析①(北海道)~赤い大地の今~

皆さんはじめまして。あずまがわと申します。
以前より選挙結果を色々と分析し予想するのか趣味でしたが、折角なのでnoteで公開しようと思い記事を書きました。
今回のシリーズの記事では2022年7月に投開票が行われた第26回参議院選挙の結果について、地域別に結果を分析していきたいと思います。

北海道選挙区

2022年参議院選挙 北海道選挙区開票結果

旧社会党からの強固な地盤を持つ野党王国の北海道ですが、開票結果は上記の図のようになり、2位以下の三つ巴の激戦を立憲の徳永氏と自民の船橋氏が制しました。
筆者は、この結果は立憲が本来の地力よりかなり票を伸ばしたものと見ています。というのも、以下の比例票と選挙区の得票比較のグラフを見ていただければ分かります。

2022年参院選 北海道選挙区と北海道内比例得票の比較

立憲の徳永氏と石川氏は立憲の比例得票を大幅に上回る得票を得て、維新、れいわ、社民や自公の比例票の一部も取り込んでいることが分かります。

2019年参議院選挙 北海道選挙区開票結果
2019年および2022年参議院選挙 北海道比例区開票結果

また、前回の結果と比較すると自民、立憲ともにほぼ比例得票は横ばいですが、選挙区の得票は大きく変わっているのが分かります。
2019年の自民党候補の得票が比例票より大きく水増しされているのは、知事として知名度が高く個人票を持っている高橋はるみ氏が出馬していたからです。
では今回の立憲健闘という結果は何故もたらされたのでしょう?
その理由を地域別分析で探りましょう。

得票分布の分析

今回の主要候補となった四人の得票分布を地域別に見てみると、以下のような特徴が浮かび上がります。
長谷川氏:地盤の札幌以外でも北見や十勝を除く全道で幅広く得票。
船橋氏:全道で薄く広く得票。出身地の北見で得票率が高いが、地元の札幌市では得票率が伸びず。
徳永氏:十勝以外の全道で幅広く得票。
石川氏:地元の十勝で集中的に得票

次に、比例票分布を見ていきましょう。

与党(自公)は道南や宗谷、オホーツク海沿岸、根釧で強く、左派系野党は道央や十勝で強い事が分かります。
また、札幌都市圏でその他野党(維新・国民・参政党他)が一定の勢力を持っていることも分かります。

以上、選挙区の票と比例区の票の分布から、以下のことが説明できます。
・石川氏は地元の十勝の地盤を固めることで与党支持層の一部を取り込み十勝で圧倒的にリードした
・船橋氏は出身地の北見の地盤を固めたものの、長谷川氏と地盤が被る札幌の得票を伸ばすことができなかった
・船橋氏は新党大地の推薦を得たものの新党大地支持層が多い根釧では得票が伸びず、推薦が効果を発揮しなかった。

その結果として、石川氏が十勝で票を固めて猛追する一方で船橋氏の得票が伸びず、船橋氏は当落線上にまで追い込まれたのです。

次回衆院選への展望

今回の北海道選挙区の選挙結果は立憲が健闘するも自民船橋氏が逃げ切りという結果になりましたが、各党の基礎体力ともいえる比例得票の内訳を見てみると立憲には全く余裕が無い事が分かります。

もし今回、維新が候補擁立を見送らずに候補を立てていれば、無党派層の票を維新に奪われ、立憲の候補の片方は大差で敗れていたでしょう。

また、維新や参政党といった新興勢力は北海道でも着々と勢力を伸ばしつつあります。

2019年参院選比例区の与党(自公)と左派系野党(立共社れ国)の得票差
2022年参院選比例区の与党(自公)と左派系野党(立共社れ国)の得票差

3年前の比例得票と比較すると、新興勢力の台頭により左派系野党は自公に比して得票率を下げているのが良く分かります。
次回衆院選に維新や参政が小選挙区への候補者擁立を積極的に行った場合、無党派層の票が流れて立憲は大敗する可能性が高くなります。

旧社会党からの強固な地盤を持ち、赤い大地と呼ばれた野党王国北海道においても、左派系野党勢力の退潮は顕著になりつつあります。

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