新型肺炎雑感（20210817）命令すんな

コロナ五輪開催中に「反対した人は応援するな」という発言を見かけて、考えてしまった。他人に「坊主憎けりゃ袈裟まで憎め」と命ずるような権利意識、あるいは倫理観てのは、どこからやって来るのだろうか。

コロナ五輪が終わると、櫻井よしこ（韓国の公共放送）とDAIGO氏（YouTubeの発言）が私のタイムラインを賑わせている。ほとんど読み飛ばしつつも、ここは整理が必要と思ったので、書いておく。

彼にも発言の自由がある。それはネットだろうと、多数のフォロワーの前だろうと関係ない、と私は考えてる。竹中平蔵風にいえば、「DAIGO氏には批判される自由がある」。
で、その「批判」について、考えてみる。

試しに（異論が少なそうな）「煙草はやめるべきだ」という一般論をサンプルに、人が人に関与（批判）する度合いを考えてみたい。
こんなにシンプルな提言でも現実に照らしてみれば、
１. 煙草は体に悪いから、やめるべきだ。
２. 歩き煙草は通行人に迷惑だから、やめるべきだ。
３. ガスが充満した部屋で煙草を吸うのは、やめるべきだ。
とTPOで関与（批判）の度合いが変動する。１.はやんわり諭すように、３. は羽交い締めにしてでも、批判し過ちを認めさせなきゃならない。
ことほど左様に、社会の全てのルールが駅の白線のように固定されているわけではない。至極当然だわね。

DAIGO氏がここまで批判されるのは、今、世間にガスが充満した状態である（と認識している人が多い）からなのであろう、と推測する。
世間のピリピリ感はコロナ禍や自粛のストレスで高まっているわけだけれど、じつはそれ以前から「自分は（誰かに因る）迷惑で不利益を被っている」と考える人が増えているのを強く感じていた。なのでDAIGO氏のホームレスに対する「臭いし」「居ないほうがよくね？」発言は意外ではない。内心で快哉を叫ぶ声も多かったはず。
櫻井よしこ氏の韓国や中国に対する敵対的な発言が支持されるのも同じような理由だろうと思ってる。
DAIGO氏がホームレスを、櫻井よしこ氏が韓国人を「居ないほうがよい」と考えることも、発言することも自由であるべきだ。
しかし。もし、その発言の意図が、当人の市場調査に基づき、
４. ガスが充満した部屋だからこそ煙草に火を付ける価値があるんじゃんｗ
と思っていたら、３. を前提とした批判は、虚しく空回りする。
ましてや、発言の意図が、
５. 誰かにガスが充満した部屋へ行って煙草に火を付けさせるための扇動
であれば、悪質さは別次元、自爆テロよりも同情の余地に乏しい行為になる。

で、ワタクシの印象を申し上げますとね、
DAIGO氏って、４. なんじゃないだろか。
櫻井よしこ氏って、５. なんじゃないだろか。

変動しない私の倫理の白線上に立って声を上げるなら、
命令すんな、扇動すんな、洗脳すんな、自由にさせろ、
てことなのであります。