メン子ちゃんゼリー

啜り終え午後の五月のメン子ちゃん透ける容器の凹凸ころぶ


複雑な遊びらしくて遠ざかるオレにこどもの声のくどくど


本物の道草だった男の子ふたりが草をちぎり駆け出す


すごろくで一回休みになった子の不満をオレはもう感じない


歯の抜ける夢はよく見るけど今朝のやつは三位以内に入る


からだには傷がないけどこころにはあると笑っているいつまでも


マネキンに並んで立ってみたオレのどうせおんなじだろって顔だ


教科書の表紙みたいにおとなしい森林とその上の空、雲


行く道に聴いたピアノの帰りには店内BGMと気づいた


筋肉を初めてテカらせた人とそれを真似した大勢のひと

「未来」2016年8月号掲載

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