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工藤吉生(くどうよしお)の短歌【5】2012年7-9月〈15首〉


【第五期】2012年7-9月。110首発表。
大阪へ行き、初めて歌会に参加。結社・塔短歌会に入会。それと同時に、それまで「くどうよしお」だった名前を「工藤吉生」とした。


〈1〉
玉将の駒に手足の生えし人まへに歩めり東京マラソン


〈2〉
口に出すことのできないあだ名など彫られた机で花は傾く



〈3〉
ママとしか言えない子供の泣く声と音の出る靴遠ざかってく



〈4〉
ブロッコリー並べるオレに歯の抜けた話始める少年がいる



〈5〉
ノイシュヴァンシュタイン城を取り囲む木々もあるいはまた城である



〈6〉
このオレの入浴シーンを謎として見る猫アリス牝7ヶ月



〈7〉
寝返りを打つには体の各部位が一致団結せねばならない



〈8〉
あの人の中に私は太陽の黒点ほどの染みを残した



〈9〉
松葉杖ついていながら鬼ごっこしてる子供のいる待合室



〈10〉
中国人医師にいつごろ治るかを訊けばいきなり怒られて謎


〈11〉
「まっすぐに寝て下さい」と促され寝れば曲がっていて直される



〈12〉
弟の名前が書かれたタオル使い脇や股ぐらしっかりと拭く



〈13〉
キーボードクラッシャー氏が成長しワイフごと叩き割るモニター



〈14〉
レスリング女子選手へと男性のコーチや主審は無駄なくさわる



〈15〉
8階建てビルの7階ブックオフ目指すエレベーターの悪臭

短歌は以上です。ご覧いただきありがとうございます。
投げ銭を受け付けています。100円です。払っても新しくなにか読めるわけではありませんが、工藤がとてもよろこびます。

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