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怪物と多様性について。

ネタバレ含みます。
映画の感想は直後のものを信じるべきか、その後に考察を読んだ上で余韻に浸り、理解した上でのものを信じるべきなのか。

1.怪物

怪物を見た。
妙にスッキリしたスッキリしない感。を感じた。
おそらくスッキリしたのは、ラストシーンの画によるもの。スッキリしなさは全体的なストーリーについて。

テーマは「それぞれの視点」なことは明確であるが、「子供と大人の見ている世界の差」にもあったのではないかなー、と感じた。ただ、そもそも大人が子供を描くことの難しさいかに……。
今年で20になる私、記憶が曖昧ながらも約10年前の小学生を思いながら鑑賞した。

(これは私的な推測に過ぎないが、子供を神聖なものとして扱う上で、子供の顔、表情のアップが少なく、全体像、動きで見る子供のカットが多かったように感じた。)


第一幕と第二幕、視点によって状況は変わると言うことが伝えたいのはわかるのだが、あまりにも先生のキャラクターの差に不自然さを感じるし、
謝罪シーンに関しては、視点別に見ても動きが不自然。あの演出はホラーなのか??と感じるほどに違和感を感じた。あれはあれでいいのか??

【火事で始まってトランペットで終わる】
同じ時間軸を3回描く上での技法としてすごく華麗でとても素敵だった。

ラストシーン、亡くなったという考察をみて胸が痛くなった。
柵がなくなってたのには気づいたが、単に嵐で吹き飛んだのかなとかって考えてました。。
どちらにせよ、「先は続いている」すごく是枝さんらしい明るい演出。

おそらく、理解できていない伏線や拾えていない演出が多々あるのでもう一回必ず見に行くべきだと思う。

★3.4付けたがたくさん思うところがあり、考察読み漁りの時点で映画としてはやはり★4.2以上(filmarks)の最高の作品なのかもしれない。

ps.『万引き家族』では、家族を覗いているような感覚にするためという明確な理由を持ってドアや壁を挟んで撮るという演出をとっていたが……
今回(特に第一幕)よくわからなかった、勉強不足です。もう一回見ます。

2.依里

病気に関して。
タンバリンを置きに行くシーンなどなど。
異常に不必要に色々なものに触る、(湊の髪も)。
文字は書けないのに、花の名前や宇宙など、好きなものにはすごく詳しい。ふわふわしていて道で踊ったりetc。依里の病気とは"ADHD"のような発達障害なのでは??と思っていたが、話は違う方向へ。
お父さんに病気が治ったの発言をさせられる。
ここであれ??あ、性障害なの??と。。
結局どっちなんだかわからないが、兎にも角にも小学生で男子女子関わらず"好き"に明確な性自認があるのか??思い返してみても友情と恋愛の好きの区別ができていた記憶はないし、恋愛の好きも思春期を経た今とは明確に違う好きだ。大人が子供描くのは難しいが、にしても……な感じ。

やるなら年齢を変えるべきだったし、正直この要素はなくても良かったのでは、??と直後では感じた。色々な考察を読んだ上で彼らの守るべきものとして必要だったのか、と納得させられたが、やっぱり友情で留めた方が良かったように感じる。

3.多様性

題名は『怪物』だが、「怪物誰だ」のセリフに注意していなかったのか、私は悪い人探しという思考に何故か至らなかった…。
坂元作品に慣れ過ぎていて"リアルな人間関係"を描く上で全員が全員ちょっとずつ欠けているところがあるという思考に元々なっていたのだと思う。

HSP、ADHD、LGBT、人種…
多様性を認めようと口を揃えて言うが、カテゴライズしている時点でこの人は私とは違うと言っているに違いないと思う。
名前をつける必要性はわからなくないが、わからない。
つくづくほとんどの人間が

"こう言う人なんだな"

と言うように個々人を素直に見ることができていないのだなと感じる。
あからさまに人種問題や性差別に関して、描くようになった芸術作品たち。
「黒人を使う」「クィア映画である」「BL」と語ることによって区別しているという思考には至らないのか。
もっと自然に「その人自身」を見られる世の中になればいいのに。



子供達2人の素晴らしすぎる演技。どう監督したらあの演技を引き出せるのか……圧巻です。

ただの感想だけど、先生可哀想❗️❗️先生、生きてて偉いよ😭

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