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【短編小説】モテない男 ~佐藤 健 編~


ダメでしょうか…
モテない男が、彼女欲しいなんて思ったら。

どれくらいモテないかって!?

『アナタには1億円もらってもむりぃ~』

って言われたことがあるよ。

あとは犬が好きで、メス犬を撫でたら100%噛まれる。

でもね、僕の名前は…


佐藤健!!!


ま、サトウタケルと読むわけではなく
サトウマケルって読むんだが。
母親がタケルと名付けるはずが、出生届にマケルと間違えて書いたらしくてね。

でもこれって女の子口説く時のネタになるじゃん!?
なんて、ほんのり思ったけどさ。

『アナタがウケを狙っても気持ちが悪いだけ』

こうバッサリ斬られてからはネタにはしないようにしてる。
ま、マー君って呼んでもらえるかもしれないし割と気にいってるよ。

顔はね、ゴキブリを潰してカマドウマを足した感じらしい。
正直、自分でも気持ち悪いし。
低身長の肥満だし、あり・なし なら
絶対なしだよね~。

だけど、彼女欲しいと思うのは自然なことだし。
30歳にもなったから、こじんまりしたカップリングパーティ行くことになって!

そのパーティが今日。
今は会場で、横並びの席に座ってる。
ギリギリ着いたから…
周りを見渡す間もないままスタート!

ちょっとだけ…

期待してるかも(笑)

まずは目の前の女の子と5分お話して、5分置きに男性が
横にずれていく方式。

「初めまして(照)」

やべー、照れる!

ん!?あれ!?

目の前の女の子はずっと鏡見て化粧直ししてる。
ぷっ、僕に綺麗だと思われたいのかな(照)

ファンデーションに次は眉、アイライナー?…
え?いつ終わるの?

「…5分たったかな」

女の子がささやいた。

「はーい、男性の方、横に移動です!」

司会のお姉さんがパーティを進行してる。

なんだよ、おい(怒) 次だ、次!


僕は横にずれた。

「初めまして(照)」

「すいませんね、ドライアイになってきたので蒸気でアイマスクさせてもらいますね」

女の子は目にマスクをした。

えっ?見えないじゃないか…
すぐとるよね?

「ゴォーzzz」

寝始めたし!

「はーい、男性の方、横に移動です!」

女の子は手早くマスクを取り、次の男と機嫌よく話していた。

なんだよ、おい(怒) 次だ、次!


僕は横にずれた。

「初めまして(照)」

「初めまして」

おー!やっと普通に話せてる!

すると女は掛けていたメガネを外し、メガネケースに閉まった。

「あれ?目悪いわけではないんですか?」

「悪いですよ」

「見えるんですか?」

「いえ、両目0.001の上に乱視も酷いので、今はアナタの顔見えません」

はっ!?

それからは話もしてもらえず。

「はーい、男性の方、横に移動です!」

なんだよ、おい(怒) 次だ、次!


「初めまして(照)」

「つぅか、おっさんトレーナーの値札ついたままだけど!」

あっ!

やべー!トレーナーの襟から確かに値札が!

「300円??やっすー」

そーだよ、BOOK・OFFの古着コーナーで300円で買ったんだ。
でも話のネタに!!(笑)

「…あのさ」

僕が話かけると。

♪♪♪

その子はスマホに向かって歌ってる?

なんとポケカラを始めた。

そんなこんなで、せっかく来たのに悔しいのばっかりで。

ちゃんと話してくれた子はブスだったしなー。


「では、いいなと思った方の番号を3名まで書いて私に渡してくださいね。連絡先も3名までです。」


司会のお姉さんの言葉に僕は考え出す。
ここは、きちんと書いておかなきゃさ!
男女の番号が合えばカップルだしね!

なんか僕。


期待してるかも(笑)

その時……!!

目の前に座っていた、ずっと化粧をしてた女の子に
秒でボールペンを奪われた!

なんだ?なんなんだ!?

そして。

ボキッ!!!


なんとボールペンを折られてしまった。

「書かないでよ!番号書かれた子可哀想だし!アナタは面白い顔してるし、YouTubeで顔だしでモテないエピソードでもしてればいいよ!」


酷い、酷すぎる……


***


あのカップリングパーティから1年
ひっそり始めた、僕のYouTubeが人気爆発。

相変わらず、彼女は居ないけど
YouTubeで荒稼ぎ!!


でもな、彼女欲しいなぁ~。



《了》

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