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「そもそも誰が購入するのか」

今週は、日本の某大企業さん(以下A社)からのプロジェクトのお話を纏めます。
ウェルネス業界に属する同社はその特定領域では東南アジアでもネームブランドのある企業で、今回は自社のE-commerceプラットフォームをシンガポール・マレーシアで立ち上げたい、とのお話でした。

参考までにE-commerceの流通成長率をに載せておくと東南アジア全体(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)では、2015年の$5.5Bから2020年には$60.2Bとなりました。
マレーシアでは15歳から60歳までの80%以上がオンラインショッピングを経験したことがあり、またコロナ禍におけるおうち時間が増えたことで、購買機会の増大は進んでおります。

弊社では越境E-commerce普及のトレンドを見越して、当地クアラルンプールにて東南アジア向け(主にマレーシアとシンガポール)のE-commerceサイト構築と多言語サポート並びにオンライン広告の運用といったデジタルマーケティングで販路拡大の実績あるローカル人材専門家(プロマネ・リードSE・開発エンジニア)チームを組成して、顧客支援をしております。

今回のA社のお話ですが、そもそも論での判断のコンサルテーションを行いました。

すると開口一番、プロマネから「顧客体験のフローを理解してもらわないとダメね」とストレートなフィードバック。
「そもそも、当地の事情としてE-commerce2台巨頭LazadaやShopeeの月間利用者数が2,300万人超えをしていることだけを鑑みても、当地において誰がA社のプラットフォームを使うのか、という動機付けが弱いわよね。
私をはじめローカルはまず大手のサイトにアクセスするわ。そこで欲しいものがまず手に入るから。無い場合は専門商品を扱っているショップにアクセスするけどそれは稀な機会だし、A社の言うウェルネス製品なら店頭でも買えちゃうから成功のイメージが湧かないわね!!」
とプロジェクトの見直しと、当地の既存E -commerceプラットフォーマーとの連携する越境ECの考え方を逆提案しました。


更に特徴的だったのは、A社は東南アジアに有する自社のロジ倉庫から現地のデリバリー会社との接点のもうけかた、
配達網の確立と運用管理についてを相当意識高く構築しようと考えていました。
しかし、これも当地のE-commerce会社に登録制で運用がなさされている配送会社のいくつかと契約をすれば、それで済む話であったのです。
決済方法についても同様に既存で使われているサービスに相乗りすればスムーズに運用が開始できる様になります。

A社が当地事情に疎いことは百も承知ですが、日本の外で戦おうとした時には、現地の商習慣を把握して「誰の何を解消すべく、何をどの様に提供するか」の解像度を上げていく必要がありました。
特に"何を"の部分では対象商品が果たして当地市場にニーズがあるのかを調査する必要があります。
どんな消費者に興味を持ってもらえるかを調べるためにはアンケート調査や店舗調査などが必要となります。商品情報を翻訳する場合にも、その商品が売れるという見込みがある地域の使用言語に翻訳することで、多くの売り上げを目指すことができます。そして商品改良やローカライズ、より効率的な広告戦略を練る上でも市場調査は欠かせません。
また”どの様に”の部分では
、現地の人材を活用しながらマネタイズのポイントとサービス品質の確立を決めていく必要があるのです。
言い換えれば、顧客自身が成功するストーリーをローカルチームと一緒に構築できるかどうか、この点が現地の企業(協力会社)から見ても伴走出来得る顧客であるかどうか、の判断基準になってくるわけです。

参考までに付け加えると、当地の配達会社のサービス品質は新規参入を含めた競争が激しくなっている状態でもあるため、向上し続けています。細かい時間指定は出来ないものの、オーダー品の在庫があれば最短30分で自宅まで届けてもらえる機会もあり、また大まかな時間指定(午前・午後1-4/午後4-7)も出来き、配達前には電話で顧客が自宅にいるかどうかの確認もしてもらえます。


日本の大企業はまだまだ垂直統合で事業を考える傾向もある様ですが、所変われば品変わるの中における顧客の行動様式を抑える、という基本的な考え方はおそろかには出来ませんね。

では、また次回!


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