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この世界の真実 ファイナルファンタジーⅦ

 村人の生活保障をちらつかせ、巨大企業がエネルギー施設の建設を目論む。村のリーダーはそれに乗せられ、村人たちも賛成に回る。建設後、爆発事故が発生。証拠隠滅と情報操作が迅速に行われる。村は廃墟同然となり、村人はリーダーを責める。最後まで唯一建設に反対していた人物は、精神が崩壊し自殺する。

 村人たちの責任転嫁を嘲笑うのはたやすい。しかし、ここで一度自分の心に問いかける必要がある。遠くの被害者である「我々」は、安定したインフラを享受するため暗黙のうちに許してこなかったか、と。

 同時に、警戒しなければならない。なぜ「我々」は互いに攻撃し合い、あるいは冷ややかな疑心暗鬼の中で身動きが取れなくなったのか。

 「張本人」は今どこで何をしているのか。

 事前に開示すべき情報を意図的に開示せず、建設を主導し、情報操作と証拠隠滅を実行し、村人の絆をためらいなく撃ち抜いた張本人は、今もどこかで高笑いだ。何事もなかったかのように。

 それが、巨大権力の「正しい」姿だ。

 反対ならば、事が起きる前から徹頭徹尾「反対」と叫び続けるべきだった。そう言うのは簡単だ。しかし反対者は、いつの間にか巧妙に孤立へと追いやられる。それでも自らの意志を貫こうとした者の末路はどうなったか。自分への憎悪を募らせ、最後は絶望の中で命を断った。

 この世界にはもう何もない、と彼は言った。

 FFⅦは何を描いたか?この世界の真実だ。世界中のあらゆる場所で、これからも同じことが起こり続ける。

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