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デジタルから 服をつくるという仕事

私の仕事は、お客さまの生き方に向き合い
お客さまらしさを想像することから始まります。

いろんな話をする中で・・・
今回は、お持ちの服をリメイクしましょう
そんな結果も、珍しくありません。

私が、大切にしていることは
お客さま自身が・・・
自分の生き方に、自信を持つことです。

私にとってファッションは・・・
自分の生き方を表現するモノですが

自分の原点に、回帰する場所かもしれません。

私が デジタルの服作りにこだわる理由は
1着の服を創ることに向いているからです。

40年間、アパレル産業の服作りに没頭しましたが
20歳の頃から、この1枚生産を目指しておりました。

近年は、SDGsの観点から
ムダのないモノ創りとして受け止められますが

私が、1枚生産にこだわる理由は・・・
服を作る者が、いちばん幸せを感じるからです。

作る者が、お客さまの心を想像する
そこから、デザイン設計が始まります。

私は、そんなファッション産業を目指します。

1960年代、仕立て屋、オーダーサロン店
いくもの看板がございましたが・・・

いつの時代も、モノつくりは大切です。
そこから、モノを大切にする心が宿るからです。

私たちの世代と、若者の価値観は
違って・・・当然と思っています。

それでも、私はモノつくりを通じた
生き方を伝えていきたいと考えます。

私たちの子供の頃は・・・

自然の中で遊び、生き物と関わり
学校は 友達とつながるところでした。

時代が変わっても、いま思うことは・・・
人とつながることが、幸せの源に感じます。

人それぞれ、生き方は異なりますが
子供が 夢を抱ける、そんな社会になってほしいです。

いまは、ファッションを通して人とつながる
・・・ 私は、それで十分です。

2015年 ミャンマーで、大樹を眺めた時
日本人は、幸せなんだろうか

そう感じ始め、私が 想像したものは・・・

モノを創ることが好きな方は・・・
自分らしいビジネス人生を、設計できないだろうか

人生の残り時間を創造し
必要なキャリアを身に付けていく
そして、自宅のアトリエから起業する。

次世代らしい、One to One のモノ創りが
どうしたら・・・実現できるか

それが、私の挑戦になります。

このnoteは、2022年1月から
10年間、自分の生き方に向き合ってみる。

そんな気持ちでスタートしましたが・・・

自分の性格、残された時間、
人生を組み立て直す、そんな機会にもなりました。

いま思うことは・・・
あと17年、80歳まで書き続けたら
おもしろいだろうなぁ〜、と想像できます。

noteで 繋がる方に 何も求めていませんが・・・

いつも休憩時間に、みんなの投稿を拝見し、
腹の底から笑えたり、応援したくなったり
そんな楽しい出会いに 感謝しております。

私は、若い頃から・・・
寝袋一つで、旅に出ることが好きでした。
インドも訪問し、マザーテレサにも会いました。

特別な宗教心はありませんが・・・
人を思いやる生き方が好きです。

私は、服作りを通して
生き方を伝えることしかできませんが

仕事に取り組む姿勢、人を育てること、
それは、どの職種も同じに思えます。

私の服作りで、例えますと
生地を自由に逃す工程がございます。

服つくりでも、すべての工程を
完璧に仕上げることはできません。

生地は、生きているものですから
熱、蒸気、ミシン針、糸により変化します。

要するに、生きているものに対し・・・

逃げ場所を作ってあげる、それが・・・
ラグジュアリーブランドが大切にする技術です。

しかし面白いのは、逃げ場所を用意しても
若者は、違う方法を見つけることがございます。

要するに 経験は、あてにならないということです。

忘れられない教えがございます・・・
生地に話しかけなさいと言われ続けました。

若い頃は、正直 なんでやねん、と感じましたが
私は、いまでも生地に話しかけています。

ミャンマーではスタッフが、私の独り言を聴いて
大変だぁ 先生に熱があると、騒いだことを忘れません。

制作していたのは・・・
ラグジュアリーブランドでしたから
アイロン工程で、ま〜るくな〜れと話しかけます
そうしますと、不思議と身体は反応するものです。

それが生地と会話をする感覚です。

その意味と技術を説明しますと・・・
ミャンマースタッフも日本語で
ま〜るくな〜れという仕草に、笑ってしまいます。

どんな仕事も、相手を追い詰めない
逃げる余裕を作ってあげること

私は、それを大切にしています。
服作りも、人間関係も同じです。

大切なことは、人と信頼し合える繋がりです。
私は、そんな生き方を選択しております。


ここから
Fashion Creator magazine vol.8 となりますが
・・・読んでも面白くありません・・・

Fashion Creator note magazineは、2022年10月
ファッションビジネスの構造からスタートしました。

生地の原料から始まり、アパレル産業のプロセスに
番号を付け、データを体系化しています。

今回は、ファッションMDと生産になりますが
区分は、411番から451番になります。

「デジタルから服を創る」このコンセプトにて
服を学ぶ方へマニュアルとして準備しておりますが
この情報が、人間の身体でいう背骨になります。

次世代のモノ創りには、必要ない情報もありますが
技術習得には、アナログ的な情報が有効になります。

そこから、自分なりに考え抜くことが大切です。

高級ブランドも大量生産の製品でも
一つひとつのプロセスを考え抜くことで
人間にとつて意味のある進化ができると感じます。

モノ創りの好きな方へ、何か伝われば 光栄です。

日々、皆さまの投稿を拝見し、笑い転げており
いつも 感謝しております。ありがとうございます。
2023年4月28日 水谷勝範

ファッションMDと生産 / Fashion Creator magazine vol.8


411. 商品企画の変化
これより一般的なアパレル商品の企画から販売までの業務プロセスをご案内します。日本は戦後、大量生産・大量販売を可能にするこの仕組みによって、ファッションビジネスは成長を遂げてきました。しかし市場は、かつてのように大きな流行を追った“大衆”から、個性を求める“小衆”へ、さらに自分の中に一人十色とも言える多様なニーズやウォンツを持つ“個客”へとシフトし、生産のあり方も適応が求められています。在庫過多や廃棄による環境問題も深刻化し、無駄や害を生まない新たなサプライチェーンの構築が喫緊の課題となっております。

 まずは、一般的なアパレル衣料のプロセスを基点にご案内します。

412. アパレル商品の商流
下記の構図は、生産プロセスを時系列に整理したものです。このフローは、生産国やブランドの企画サイクルによって異なります。これをアパレル産業の取引の流れ=商流として捉えると、次の構図になります。外側の流れは一般的なアパレル商品の商流であり、内側は顧客に最短で商品が届く商流を表しています。商品の企画から生産、店頭への輸送までの経路は共通しますが、商品の企画・設計を担う業態に応じて商流は変わります。

413. アパレル商品の企画・設計・生産プロセス
(こちらの構図は、ホームページよりご案内します)

414. 一般的なアパレル商品の生産フロー
(こちらの構図は、ホームページよりご案内します)

415. アパレル産業の取引の流れ(商流)
(こちらの構図は、ホームページよりご案内します)

416. マーチャンダイジングの業務
アパレル商品の生産プロセスを3つに区分し、それぞれの連携を表します。「MD」は、主にマーチャンダイジング業務と生産の進捗管理を担います。「企画」は、デザイナーとパタンナーが中心となり、商品企画から設計までを行う業務となります。「生産工場」は、縫製を担う工場とアパレル企業が連携する業務になります。

417. イメージサンプルの製作
マーチャンダイジングでまず重要な業務は、ターゲットのライフスタイルにおけるファッションの価値を見極め、そのウォンツとニーズを分析し、イメージモデルを設定して、イメージマップを作成することです。価値とは、ブランドコンセプトを商品に具現化し、お客様の満足を実現することはもちろん、企画・生産の全工程に適正な利益を配分することでもあります。その認識を強く持ち、市場の現状、販売実績、在庫状況、顧客満足度を分析することが重要となります。

マーチャンダイザーは多角的な分析結果に基づき、素材メーカーの生地からブランドやシーズンのコンセプトに沿ったものを選び、カラー構成を反映したデザインのイメージサンプル(画像)を作成します。多くの企業は、販売価格から製造原価を設定し、生地や副資材を選択するという流れになっています。MDとして重要なことは、感性・感覚だけでなく、ターゲットのライフスタイルを把握し、求められている価値を追求することになります。企画から商品納入までの責任者であるMDの判断基準は、あくまで消費者の価格意識も含めた価値観などを捉えることです。


418. イメージモデル(例)
イメージモデルのペルソナを設定することで、企画に一貫性を持たせることができ、ブランドコンセプトに基づいたデザイニングにも生かせます。

(私自身が活用しておりますペルソナを参考にご案内します)

419. イメージカラーフィッティング
イメージマップを作成する段階でカラー構成をデザインに組み入れ、情報を共有します。ファーストサンプルの製作におけるロスをなくす意味でも有効になります。(詳細はCADデータにてホームページよりご案内します)

420. 商品企画の役割
マーチャンダイザーはコンセプトマップの作成に始まり、シーズンごとに素材企画を立て、シルエットを作成し、デザイナー、パタンナーと連携してサンプルを製作し、展示会で提案します。その後、展示会で得た声をもとに修正し、イメージモデルのライフスタイルや人生観を明確にしたペルソナに沿って商品化していきます。欧米では、デザイナーの創作意図をくみ取り、型紙の製作から商品化へと導くことはモデリストの業務となっています。

商品企画の段階で販売価格が設定され、コスト計算が可能になります。MDはパターンを反映したファーストサンプルの製作段階で生地と要尺を見極め、縫製担当者と可縫性や縫製工程のピッチタイム、縫製仕様の難度を共有します。

サンプルの製作に際しては、生地への色の染まり具合もテストします。これをビーカー染(カラーマッチング)と言います。素材メーカーや染工場に試し染めを依頼し、想定した色に染まっているかどうか、生地の縮率などを確認します。同じ染料を使っても、生地によって染まり方や伸縮度合いは異なるからです。そのため、商品に用いる生地に染め、仕上がりの色を確認します。色斑が出やすい生地を経験値として蓄積していくことで、生産段階での問題発生を未然に防ぐことができます。ビーカー染は主にファーストサンプルの前、量産の前に行います。ファーストサンプルが仕上がったら仕様面の課題を確認し、量産用のパターン作成に生かせる生産に関わる情報を整理します。

商品の企画・デザイン・設計が定まれば、グレーディング処理に進みます。パタンナーが各パーツの基本となるサイズから大小のサイズ展開をCAD(computer-aided design、コンピューター支援設計)上で作成していきます。MDはグレーディングで次の3点を捉える必要があります。

①基本サイズから大小のサイズ展開をしても、デザインバランスが保たれること
②各パーツのサイズ展開と縫製難度は深く関係しているため、サンプルの製作段階で各サイズのバランスを確認しておく
③生産工場によって機械を駆使した縫製対応が可能なので、商品価値に応じて生産の合理化を検討する

グレーディングと生産効率は深く関係しています。生産工場が生地や設計を確認する段階では、グレーディング後の要尺の見積もりや資材の手配が済んでいる場合が多々ございます。だからこそ、生産効率を高めるためには、設計段階で量産の縫製仕様を分析しておくことが重要となります。

グレーディングの完了後は、パタンナーがサイズ別に生地にマーキング(型入れ)し、1着分に必要な要尺を算出します。裁断を想定し、使用する生地幅に合わせてCAD画像上に各パターンを並べていきます。現在のCADは条件を指定することで要尺を効率化する機械処理が可能となります。

MDの重要な役割は、営業から伝えられる要望(市場の情報)を服作りに反映し、生産工場を効率的に生かす商品仕様を作成することです。

421. マーチャンダイジングの進捗管理
生産数量が決まると、商品企画に基づいて各業務の連携が始まります。この段階で重要なのは、MD業務における製造原価を確認します。また、追加生産への対応の可否を把握しておく必要があります。

422. テキスタイルマッピング
デザインに沿って生地の柄の位置や配色などをマッピングし、商品の完成イメージを捉えます。テキスタイルマッピングによって、商品企画の段階でサンプルの仕上がりイメージを確認することが重要となります。

423. 商品設計~パターンから量産仕様へ
アパレル生産における設計とは、企画された商品を量産するための商品原価や縫製仕様を設計する業務であり、これを商品設計と言います。「デザインに基づいたパターンの作成→サンプルの製作→シルエットの確認→量産用縫製仕様の決定→工場と連携した量産仕様の検証」という流れで業務を進めます。

424. 製造原価と縫製仕様
多くのアパレル企業では、製品原価に基づいて量産仕様を設計したうえで、生産工場とその検証を行っています。ただし、工場ごとに設備や技術に特徴があり、設計通りにならないことも多々ございいます。仕様を再検討することになりますが、この段階での仕様変更は困難な場合が多く、お互いにリスクを負った服作りになってしまいます。だからこそ、前述したように商品企画での量産仕様と製造原価の分析が不可欠になります。

425. デザイン画
デザイン画は一般的に理解しやすいハンガーイラストによる提示となります。ボタンの数など、外観を理解するために必要な部分を描きます。

426. 商品企画書
加工に必要とされる資材の明細を記載します。企業によってフォーマットが異なり、サンプル製作時と量産時でも見積もり要尺が異なることが多いため、記載ルールを明確にすることが重要になります。

427. 縫製仕様書
縫製仕様のフォーマットも企業によって異なります。また企画書や仕様書の多くは、サンプルを見なければ判断できない内容になっております。縫製仕様書をデジタル化し、商品企画書、商品仕様書、パターンのデータと連携させ、これらの情報を参照すれば生産対応が可能な状態になります。

428. パターン仕様
パターン仕様とは、パーツごとの仕様として設計を分類します。一般的には、CADデータが活用されますが、その元原型となるマスターパターンを理解しておくことが重要になります。

429. ボディ寸法
人体の測定値を記録したものになりますが、お客様のライフスタイルを把握することが重要になります。CAD上でも3D人体とパターンの寸法比較が可能になりますが、人体の数値に基づいてパターンを作成していくことになりますが、緩みに関しては素材特性並びに、ライフスタイルコンセプトを設定し判断することになります。

430. パターン規格寸法
パターン寸法の測定値を算出したものです。人体の実寸であり、ゆるみや運動量を考慮した商品の出来上がり寸法ではございません。グレーディング後に縫い合わせるパーツの寸法が異なってはならないので、すべての寸法を確認します。

431. 商品設計のプロセス
企画から生産に至るまでの情報を連携させ、発生した問題は常に設計部門にフィードバックされることが基本になります。商品設計では、次の項目に留意する必要があります。
(商品設計のプロセス構図は、ホームページよりご案内します)

432. 市場情報の分析
市場情報の分析は、顧客満足と消費傾向を捉えることから始まります。市場にとって適正な商品を、適正な時期に、適正な価格で、適正な量を、適切な場所へ届ける(MDの5適)ことになります。多くの企業が低価格競争の中で生き残りを模索しているますが、脱却する糸口は商品設計にあります。ウォンツやニーズの変化に対応し、独自性を備えた服を設計し、その具現化へ向けて生産工場が対応できる方法を導き出していくことです。リスクを恐れて少量生産を選んでいる企業が多く、売れ筋が見えてきた期中に追加生産をかけるケースが一般化していますが、生産ロットを小さくするのなら商品設計も見直し、常に価格と数量、製造原価のバランスを図る設計を考えていくことが重要になります。

433. デザイン、素材情報の分析、デザインの決定
デザインとはコンセプトをビジュアル化することであり、これは商品価格の高低に関わらず重視するべきです。コンセプトが生産現場の末端までの意思統一の原動力となり、仕上がりを左右するからです。

素材情報は、設計段階では主に生地の特性を重視します。生活者にとっての利便性や機能性、パターン製作に必要な伸縮率などの分析が要点となります。また生地に施された加工の特徴を学ぶことで製品不良の発生原因が理解できるようになり、対応策について事前に工場と連携することが可能になります。染斑が発生しやすい繊維、織り方、染色方法、緯糸が流れやすい生地や加工など、これらの問題の原因を追及し、感覚的な経験値を積み上げていきます。

デザインの決定からファーストサンプルの製作へと進みます。サンプルの仕上がりから、デザイン面ではシルエットや縦横ラインのデザインバランス、丈寸法のバランスなど、機能面では着心地や利便性などを確認します。ここで重要なことは、デザインを成立させるための生産面の課題を解決することです。生産面の課題とは生地の要尺、縫製仕様、加工原価などであり、これらを正確に把握して設計に生かし、その設計を成り立たせるデザインを判断していきます。

434. パターンメーキング
パターンメーキングは多くの企業がCADで行っています。大事なのは、デザイン画に示されたシルエットを作り出す型紙分量を実感できるようになることです。CADでパターンを確認したら、これを3Dのデジタルボディ画像に変換してシルエットを確認します。この確認作業を正確に行うためには、3Dのシルエットとパターンを一致させることができる審美眼を養う必要があります。

パターンメーキングでは製造原価の分析結果に基づいて仕様の調整や縫製の自動化などの課題を解決し、ファーストサンプルの製作を通して生産工程を想定します。ファーストサンプルはサンプル専門業者(サンプル縫製師)が縫製することが多いですが、量産に生かせるよう縫製の手順や難度に関する情報を収集します。量産用の縫製仕様は、この時点で工場と連携しておきます。

435. グレーディング、マーキング
グレーディングの要点は、デザインや体型バランスを崩すことなくサイズごとにパターンを拡大・縮小することです。海外市場に向けては、現地のボディバランスを検討します。サイズ展開と生産作業性は強く関係しています。生産作業性とは作業性を高めて生産性を高めること、つまり縫製の自動化への対応と捉えることができます。

マーキング(型入れ)は、1着当たりの要尺を見積もる作業になります。サンプル製作段階で様々なケースを想定する必要があります。CADによって効率の良い要尺を自動的に算出できますが、問題の解決策を考えるのはパタンナーになります。例えば要尺を減らす場合、パーツを小さく切り離せば要尺を詰めることは可能ですが、縫製工程は増えます。そのバランスを製造原価のもとに判断します。

436. ビーカー依頼
ビーカー(色出し)を染色業者に依頼します。ここで学んでほしいのは、生地の特性に応じた伸縮率です。商品として仕上がるまでの、各工程での伸縮性や素材特性に起因する変化を経験として蓄えていきます。ビーカー染の段階では問題なくても、工場での生産中に生地に問題が発生することもあります。生地の加工工程に原因がある場合もあれば、縫製工場の仕上げ工程でスチームプレスの蒸気を多量に当てたことで発生する問題もあります。それらの問題が起こった生地の特徴を学んでいきます。

437. 展示会、量産仕様の決定
展示会用のサンプル製作では、短期間で数百型のデザインと各色見本を揃えます。これが通例ですが、今後はデジタル画像のイメージ確認によりサンプル製作量は減少していきます。無駄を生まない業界へと変わっていく必要があるからです。

展示会に向けては販売価格が設定されます。価格は製造原価をもとに算出されますが、従来のように事前にロス率を上乗せする設定方法は見直しが必要です。市場の現状と真摯に向き合って商品企画を作成・提案し、適正数量を作る仕組みが求められていることは前述した通りです。量産仕様の決定には工場との連携が重要になります。設備や作業者の技術レベルを把握し、設計で対応できることを検討します。

展示会での商談後に発注数量が決まり、生産計画を進めていきます。このとき、要尺の見直しは厳守とすべきです。セカンドサンプルの製作、仕様や設計条件の変更など多くの修正が実施されますが、各段階で修正内容が伝票入力されないこともあり、結果的に生産工場への入荷数量不足が発生することがあります。この大きな問題を回避するためにも、企画段階から作業の進捗状況を連携できる体制が必要になります。設計の業務は、どの段階で誰が修正したのか、その目的と修正結果を共有することになります。

438. 計数管理の基礎知識
マーチャンダイジングには様々な計数の知識が必要になります。最低限、知っておかなければならない基本計数について解説します。

・売上高……小売店が商品を販売した総額
売上高=商品単価×販売数量
・粗利益率……期間を設定し、売上高から売上原価を差し引いた金額
粗利益高=売上高-売上原価
売上高=売上原価+粗利益高
粗利益率(%)=粗利益高÷売上高×100
・在庫……商品、半製品、原材料など、企業に保管されている資産。期首在庫とは、当月スタート段階の在庫金額。期末在庫とは、当月終了時の在庫金額
期首在庫+仕入高=売上高+期末在庫
・坪効率……小売店の販売効率を示す指標の1つ
月間坪効率(%)=月間売上高÷売り場面積(坪数)
・売上目標達成率……予算に対する実売の比率
売上目標達成率(%)=売上実績÷販売目標(予算)×100
前年比(%)=本年度の売上実績÷前年の売上実績×100
・販売価格に関わる計数
値入高とはマークアップとも言い、商品を販売するに当たって予定している利益である。
売値(上代)と原価(下代)、販売価格と卸価格は、それぞれ対比語である。
値入高(マークアップ)=売価(上代)-原価(下代)
値入率(マークアップ率)=値入高÷売価×100
掛け率=仕入原価÷販売価格×100

仕事において計数は常に関わってきます。無駄のない連携から新たなファッションビジネスの仕組みを構築していくためにも、感性や技術だけでなく、計数知識はしっかりと押さえておくべきです。

439. 生産投入前の確認事項
生産(縫製)に投入する前に、アパレル企業の企画・設計担当は生産をスムーズに進めるため、仕様や設計の最終チェックを行います。その要点は次の通りになります。

440. 合印の位置を確認する
パターンを作成後、縫い合わせる位置の寸法を確認すると同時に、合印の目的を把握します。縫製でどのような対応が可能かを理解し判断するためです。これらの情報は量産用のパターンから収集し、重要な経験値になります。
合印は一般に、次のような場合に入れます。
①2枚を合わせる縫製で片方の布をイセ込む場合(1枚目と2枚目の印を意図的に移動させることで、イセ込み分量を縫製しながら入れることができます)
②2枚の縫い合わせで、逆カーブまたは長い距離を縫うときにズレないようにする場合
③デザイン上の切り替えなど、他のパーツと縫い合わせる部分がある場合
以上の内容を生地の特性や一度に縫う距離などを考慮し判断します。
また、生産工場の量産パターンでは以下の点を考慮します。
④パターン縫製など、ゲージを使う場合に適した位置に印を入れます。
⑤パーツの上下および向きを間違わないよう、作業性を考えて印を入れます。
⑥組み立て手順に応じて、パーツを縫い合わせる位置に印を入れ、不要な印は入れません。
⑦量産での合印は、素材特性に応じて切り込みの深さを判断します。
⑧接着芯を貼るパーツなどは切り込みが見えなくなるため、ゲージも準備します。
生産工場にとっての合印の目的は、作業の間違いを防ぐことであり、仕上がり寸法を厳守することにつながります。

441. 縫い合わせ位置を確認する
パターンの製作が終わると、各パーツの縫い合わせ位置を確認します。この作業の重点は、身頃と見返しのあり方を全体の構成から確認することです。見返しのあり方を確認するとは、以下の3点を考慮することでもあります。

①見返しの仕様と素材特性に問題はないか(接着芯の使用を考える)
②製造コストと見返しの仕様に問題はないか
③生産工場の量産対応に問題はないか

442. マーキング(型入れ)
マーキングとは、生地から効率的に要尺を取れるようパーツを配列していくことです。型入れとも言います。2着取り・一方向の型入れは、柄合わせがなく、要尺の効率を高めるマーキングと言われますが、デザインに応じ有効な捉え方があります。商品企画の基準に対しては、次のことに留意します。

①生地幅の変更にパーツの配列を変えて対応するときの優先手順をマニュアル化する
②差し込みは、色の変化区分とともに各枚数を確認する
③素材特性に応じてパーツ間隔を変更する
④裁断精度を重要視したパーツ配列をする
⑤常に製品原価と生産性に配慮した要尺見積もりを検討する

443. 横地の目の確認
以下の3点は、生地の横地の目に見られる傾向です。

①横段の地の目が正しく通っています(各パーツの横段の地の目を合わせることができる)
②横段の地の目が5cm流れていて、パーツによって左右の斜傾が発生します。
③生地端の地の目が湾曲している(許容判断が必要)。これは比較的多く発生します。
いずれの場合も、商品の価格(付加価値)と照らして、適正な判断・処置が必要です。

444. 生産管理
生産管理部門は、サンプル用の資材手配、サンプル製作、工場との連携など、生産に関わる一連の業務を管理します。とくに資材は近年では生産国が様々あるため、生産数量に基づいた発注はもとより、商品の仕様に応じた品質の統一、工場に納品された明細など、確認には慎重を要します。これらの業務を工場の生産スケジュールに合わせて進め、管理する重要な部門になります。

業務を円滑かつ正確に行うためには、品質基準の明確化が不可欠になります。生産国は日本とは異なる文化的背景を持つことから、発注した内容とは異なる色調や寸法、数量になることが後を絶たちません。企画・設計段階で設定された品質基準をデジタル情報として生産国と共有できれば、生産管理部門の業務は大幅に軽減でき、発注ミスも起こりづらくなります。

445. 前期の確認・改善対策
一般的なアパレル企業は、企画決定から資材の手配、本生産まで、すべての進捗状況を管理します。生産と販売の実績に基づき、市場動向と商品企画を連動させていく業務であり、顧客満足に直結する業務と言っても過言ではございません。

最初に行うのが前期の問題点の分析となります。多くの問題は計画の遅延から発生します。突き詰めれば、原因は資材の加工時間と生産品質を実現するために要するコストの見積もり違いにあります。これは設計担当が問題を分析し対処しますが、事前に生産の品質基準を明確にし、素材に適した加工方法を判断します。

商品の品質不良は生産効率を改善できる最も有効な課題と認識することが必要です。理想としては、生地と仕様の詳細をキーワード分類したデータベースに不良の原因と改善策を入力し、アパレル企業と工場が共有することです。一般に不良発生時には業務連携がなされますが、その場限りの始末書として処理され、問題の原因と改善策が継承されていません。

生産と販売の連携についても検討します。ブランドの販売実績や市場動向などの分析はもちろん行いますが、生産管理の主眼は企画から生産までのリードタイムの短縮であります。例えば作業時間の見直しであれば、機械で処理する業務と人間が判断する業務をリストアップし、厳守する体制です。確かな判断に至る時間を短縮するためにも、業務の進捗状況や過去の業務をデータ化しておきます。

446. 設計との連携
パタンナーと連携してパターン製作の進捗状況を把握し、ファーストサンプル用の資材を揃えます。パターンが仕上がったら、グレーディング、マーキングなどの進捗を管理します。これらの設計によってパターンと商品仕様が定まり、商品企画書に集約され、それに基づいて加工指示書が作成されます。商品企画書にはデザインやサイズ展開、生地などの詳細、加工指示書には資材の詳細と使用箇所が記載されます。

縫製仕様書は、生地を商品に仕上げるために縫製で対応することを図などで指示したものです。欧米企業では文章で説明されていることが多いため、サンプルを参照しながら仕様の意図を解釈します。海外生産に限らず、仕様は図で解説することが好ましく、不良原因を生みがちな工程は明確な作業指示をする必要があります。生産管理で最も多い問題は、サンプル製作から量産決定に至るまでに何度となく仕様が書き換えられ、その修正情報を本生産に連携できていないこと多いからです。アパレル企業内の部門間、外注間の連携ミスにより起こる問題であり、海外生産の場合には生産対応不可という事態に直結します。

縫製工場は展示会に向けて短期間で大量のサンプルを製作します。この段階で生産管理にとって重要なのは、量産に対応するための情報収集になります。生地の伸縮性、量産時の縫製手順、縫製難度、仕上げ技術などの情報を収集し、生産工場と共有します。

447. 生産との連携
生産スケジュールは、店頭への納期から逆算して設定されます。生産管理部門は商品企画書、加工指示書、縫製仕様書に記された期日通りにすべての資材を調達し、生産工場が生産ラインに投入できるようにします。また、事前に日産加工枚数を想定しておきます。アタッチメントなどに関する工場との情報共有も重要です。アタッチメントは縫製の技術難度を軽減して品質を安定させる機器のことで、ステッチ工程などには必須となります。

生産管理部門は、資材に関する情報や商品の品質基準に関して、工場の解釈に誤りがないことを確認することが重要な業務となります。そのうえで、工場の作業の進捗具合に合わせて出荷に至るまでの情報を連携していきます。

出荷の段取りでは、船会社へのコンテナのブッキング(船便予約)はもとより、コンテナに入れられる商品の詳細やケースへの積載手順など明確な指示が必要になります。アパレル企業では、海外の生産工場から商品が入荷してから仕上げプレスを行う場合もあれば、生産工場で商品の発注明細ごとに区分されたケース内の抜き打ち検品をしてから店頭に直接出荷する場合もあります。

一般的な現状は、不良が発見された場合には全量検査となります。船便コンテナで輸送される場合、輸送時間や航路によってコンテナ内が高温になり、商品に問題が生じることも少なくないからです。現状は、素材特性や工場での生産状況を把握し、出荷前のドライルーム保管など的確な管理・指導を行います。

448. 生産から納品まで
工場生産、検査機関から倉庫への納入、店頭への納品までのプロセスは構図より解説しますが、商品の品質管理を行うときの重点業務を明確にし、商品に関わるすべての企業の共通認識が必要になります。

工場は生産管理部門と連携してサンプルを製作し、第三者検査機関に仕様および品質基準の認可を受け、量産の工程を分析し、生産スケジュールを決定します。工場は不良発生のリスクを回避するため機械作業を優先しますが、仕様面で認められないケースもあるので細心の注意を要します。販売価格に相応しい商品の市場価値、製造コスト、品質の許容範囲など、トータルな視点で縫製仕様を確認し、対応できるか否かを判断します。

449. 品質基準の連携
工場にとって最も重要なのは計画通りの生産です。それを可能にするには、サンプルの検証を徹底することです。少量生産であればなおさら、企画・設計側と工場が情報の共有に留まらず、服作りのすべてのノウハウは現場にあるという認識を持ち、チームとして機能する必要があります。商品の仕様は、工場との情報連携を経て判断することが理想です。加工コストと品質基準を具体的に示し、どんな加工技術を用いるのか、率直に意見を交換します。

量産用の縫製仕様が定まったら、商品企画と縫製仕様と品質基準を連携させていきます。一般的なアパレル企業では縫製基準が定められていますが、素材特性やデザインによって縫製が対応する内容は異なってきます。そこで、その商品に対する使用針の種類、糸番手、縫い針の数、アイロンスチームの活用など、サンプルの検証結果から得た対応内容を商品の品質基準に反映させます。この品質基準はすべての検品部門と共有します。生地の品質基準も検品部門と連携し、第三者検査機関の検査結果も共有します。資材の製造年月など在庫管理も徹底することで、連携はよりスムーズになります。

450. 商品の出荷
商品は工場生産から第三者検査機関を通じて物流倉庫に納入され、アパレル企業の品質課による検査を経て店頭へ出荷されます。ただし、量販商品は不良の発生が多いのが現状です。この問題には設計技術が大きく関係しています。だからこそ品質基準を明確にすることが重要で、どの検査機関でも検品・判断できる基準を提示しなければなりません。

生産工場から商品を出荷する際に徹底した管理が必要であることは言うまでもなく、自社ECの増加などから、生産工場から顧客への直送もより必要性が増しています。その点からも管理体制の明確なマニュアル化が必要になります。

海外生産は今後、ASEAN(東南アジア諸国連合)、インド、アフリカと世界中の生産基地が活用されることになることが予測されます。であればなおさら、コンテナに入れる前の商品管理が重要になります。例えば、雨季の長期間の航海によるカビの発生、害虫の混入といった問題が想定されるが、これらは生産工場からの出荷時に阻止することができます。

451. 物流検品・修理対応
一般的に商品の輸入手続きが完了し、物流倉庫に搬入され、検品作業となります。統一された検品基準によってA品、B品に仕分けされ、A品はサイズや色などが発送先別にアソートされ、B品は生産工場に不良内容が提示され、修理対応がなされます。

ここでも重要なことは、不良内容を分析し、原因を特定して改善策を工場と設計部門が共有することです。原因の多くは、デザインと素材特性がパターンに十分に反映されていないケース、また素材特性に縫製技術が対応できていないケースです。これらの問題を生産工場と設計部門で分析し、生産工場は縫製仕様を調整して修理に対応します。その際にはアタッチメント活用の検討も重要になります。

*現在、当社ホームページはリニューアル中のため
 各プロセスの構図は、HP完成次第ご案内します。


Fashion Creator magazine vol.8
ファッションMDと生産 は、以上です。

私たちの時代は、アパレル企業として
利益の追求を模索していましたが

いま・・・
そんな時代は、終わった 気がします。

人と人が つながり協力することで
社会は成り立ち・・・
新しい価値が創り出される。

ファッション産業で言えば・・・
お客さまも、服を作る人も
みんなが満足する、それが利益です。

いまの日本は、人口の減少、高齢化、
不安にさせる情報は、たくさんありますが

それは、日本の自然な流れであり
過去の思い込みを捨てる必要があります。

若者ではなく、老いに向き合っている
私たちが・・・ 変わるべきです。

子供から若者、みんなの心が軽くなる
それが、いちばん大切であり
いちばん、優先すべきことです。

老後の不安を見るのではなく
子供達の笑顔を導きましょうよ

戦後を生き抜いた恩師から、学んだことは
笑顔で若者へ・・・伝えていきます。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

やっと、大好きな夏を 感じる気候になり
毎日、意味もなくウキウキしています。

日本では、ゴールデンウィーク
素敵な休日をお過ごしくださいませ。
2023年 和草月 水谷 勝範


Webからファッションを創る、それが私たちのプロジェクトです。服作りとはいえ、私たちが大切にしていることは、お互い共存し成長できる社会になることです。皆さまとの出会いを愉しみにしております。水谷勝範