窒素固定③ 窒素固定と光合成の両立戦略
多細胞性シアノバクテリアであるAnabaena属やNostoc属では,光合成による酸素発生型有機物合成と,酸素によって不活性化される窒素固定を同一生物内で行っていることが知られています.
この矛盾を克服するために細胞の一部を
ヘテロシスト と呼ばれる窒素固定に特化した細胞に分化させることが報告されています.
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/seibutsukogaku/99/8/99_99.8_421/_pdf)
ヘテロシストへの細胞分化過程では,
光合成で酸素を発生する光化学系IIの不活性化が起こります. また,外部からの酸素の流入を妨げるために,多糖層と糖脂質層からなる二層の外膜が細胞壁の外側に形成されます.さらに,ヘテロシスト内の酸素濃度を低下させるために,酸素呼吸を活性化させ,ヘテロシスト内の酸素を消費します。
酸素に曝露される環境において窒素固定を行うために,細菌はこのような特別な仕組みを持っています.
興味深いことに,細菌の窒素固定のために,酸素濃度を調整する仕組みを持つ植物が知られています.
(窒素固定④に続く)
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