夜悩
深夜零時。
ベッドに入った私は、冷え静まる夜に反して冴える頭の声に耳を傾ける。眠れないのは半分は仕方のないことで、半分は自分のせいだと思っている。閉ざそうと思えば閉ざせるのかもしれない。鎮めようと思えば鎮められるのかもしれない。だけど、無限の広がりを持つように思えるその思考を止めるのにはとても労力がいるのを知っているから、つい少しでも楽な方を選んでしまっていると思う。
深夜一時。
そんなことをしているうちに平気で一時間くらいは経っている。目を瞑って体を横にしていればそれだけでも違うよと、優しい声を思い出しても、悲しいけれどそこまで救いにはならない。回復する体力以上に、この思考が疲労を与え続けている気がするから。脳で体が動かなくなることも、きっとあるでしょう。ただ優しさがそこにあるということは、とても嬉しいこと。そんなことを考えながら、またもとの題材に戻ったり、発想したり飛躍したり、堂々巡りしてそれでも書き留めずただ流し続けながら、ベッドでじっと悶えている。
深夜二時。
この時間までじっとし続けることはできない。大抵はのそのそとベッドから抜け出して、スマホを見たり軽食を食べたりあるいは過食をしたりして、とにかく何か気を紛らわせないかと画策する。身体に悪いことを、体に悪いことで上書きする。一瞬の安らぎを求めて明日からの何かを駄目にする。それでもいいと、この時はそう思う。赦してくれと願う。それでもやまぬ悩みがあるなら、さらに時間が経つのを受け入れる。
深夜三時。
どうしようもなく爆発する悩み、苛立ち、焦燥感。何もない、もう今部屋には何もない。カーテンを開けたって、何もない。外に出てみる? マップを見てみても、もうほとんど何もない。誰かに、話したい。この悩みを、誰かに話したい。画面に映るトーク履歴。今はきっと、誰もいない。今しか話せないことが沢山あるのに、それを聞いてくれる人はいない。次に目覚めた時には、全てが柔らかくなってしまっているから。それはそれでいいことだけど、この時間は残り続けるから。そう思ってそっと。
心地よい眠気がやってきてくれるのを願って目を瞑る。
瀬水珠希
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