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おっぱいが消えた

鏡を見てふと気づく。
「あれ、胸が、ない」


撃。

これほどの衝撃がいまだかつてあっただろうか。
1度ずつ角度を変えながら粘り強くチェックしたが、一度失ったものは帰ってはこないらしい。
蘇りの術でも使わないと無理なのか。
するとこの場合の正しい解決策は呪術か。
五条悟さんはいませんか??

いや、分かってますよ。
今日急に失ったわけではないと。
日に日に欠けていったのでしょう。
だけど毎日のことだとはっきりと分からないものなんです。
普段とちょっと違うタイミングで、ちょっと違う角度で、いつもとは違う鏡で、ふと自分を見た時に、「あれー?」と気づくものなんです。

痩せたわけではない、ということだけは分かっている。
寄せ集めれば元の分量はあるはずだ。
だいぶフォルムが変わってしまったんだもの。
そう、犯人がいるとすれば重力。
終わりなき重力との戦いに、ただ負けただけのこと。

今の戦力を維持し続けるために、まず筋トレを始めた。
胸まわりの筋力をアップして、できるだけホールド力を高めたい。
クーパーじん帯は一度切れたらもう戻らないらしいので、頼れるのは己の筋肉のみ。

そして、これ以上のダメージを抑えるためにランニングを止めることにする。
これは苦渋の決断だった。
走るのは嫌いだったが、走ることで気分が良くなることを知ってからは毎週末のランニングがけっこう楽しみになっていたから。
でも背に腹は変えられない。
30代でおっぱいを切り捨てることなんてできないんだ、分かってくれ。

もちろんランニング時には揺れないようにスポーツブラでがっちり守っていたけれど、やっぱり影響があったんじゃないかと推測。
油断していたよ、参ったね。
これからは長めの散歩でなんとか代替していきたい。

くー。
何をしてももうあの子たちは帰ってこない。
それは分かっている。
でもいつまでも悲しんではいられない。
私は今できることをやるしかないんだ。

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