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三輪車に煽られる中年ランナー

ランニングはしんどい。走っている間は暇だし、どんどん体が重くなるし息が上がっていく。今は週に1回、近所の川沿いを約1時間走っている。半分くらいは歩いているのだが。

楽しくないのになぜ走っているのか。自分でもその理由が分からなくなってきた。たしか友達がいつの間にかフルマラソンに挑戦するほどランニングにハマっていて、みんなで前泊して地方大会に参加しているのがうらやましかったからだったかな。私もまぜて!くらいのノリで始めた。ちょうどキックボクシングのジムを辞めたところで運動不足も気になっていたときだった。

去年はコロナの影響で大会が中止になってしまったので、1年越しの大会がもうすぐある。それに向けて年末年始の休暇中に、普段よりも距離を伸ばして練習をしたのだが、まあ体が重くてついていけない。さらに翌日の方が筋肉痛や倦怠感が出てきてしんどい。本番は練習の倍の距離と時間を走らないといけないのに、こんなんで大丈夫だろうか。
というかその大会もこの状況下では中止になるだろうが、それはそれですっきりしない。どうせなら一回くらい出てみたい。

ちなみに私は目標タイムがあるわけでもなく、歩いてもいいやと思っているので、練習でも走って歩いてを繰り返している。後半になると走ると言っても歩きより少し早いくらいで、他のランナーに抜かされまくっている。

いつもトレーニングしている川沿いはお散歩コースにも最適で、休日にはいろんな人が集まる。年季の入ったランナーやハイテク自転車で飛ばしている人もいれば、犬の散歩や小さい子を連れた親子連れも多い。
ヘルメットをかぶって三輪車を一生懸命に漕ぐ子どもは、まだ操縦もおぼつかない。向かいから来る時など、こちらは道幅いっぱいに距離を取ろうとしているのに、なぜか私の方に向かってくることもある。視線の先に向かってしまうんだろうなぁ、分かるなぁ。

ある時、珍しくヘトヘトになりながらもなんとか歩かないように粘っていたところ、背後から何かが迫ってくる音がした。道の端に寄って抜かされるのを待っているがなかなか来ない。すると視線の端に少しずつ見えてきたのは三輪車。ハンドルをぐらつかせながら必死に漕いでいる。そして私を抜かしたところで、振り返って私を見て、さらに背後にいるおそらく親を見て笑顔を送った。
止まっている三輪車を追い越してまたノロノロと走っていると、再び背後から何かが迫ってくる。するとやはりさっきの三輪車。必死の爆走により私を抜かしたところでまた止まって振り返る。彼は嬉しさ溢れるドヤ顔だ。思わず笑ってしまった。
走っている最中に笑うのは息が乱れてしんどい。それからしばらく歩いていたが、もう三輪車は追い越してこなかった。

なんちゃってランナー3年目は三輪車に抜かれるくらいのスピードで走っている。楽しいばかりではないけれど、心身の健康に必要だと感じているのでこれからも走り続けると思う。歩き多めで。

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