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ひとり東京散策(6)最終回

(前回はこちら

御徒町(おかちまち)から上野(うえの)を歩きました。

この辺りも本当に色々ありますが、どうせ紹介しきれませんし、そもそも1日で周り切れるものでもないので、ほんの触りだけ。アキバでは、なんだか本当は見てはいけないものを見てしまったような気がしたので「毒抜き」の意味合いもあります。

まず、アメ横をブラブラします。戦後、アメリカ進駐軍の払下げ品を安く売っていたアメリカ横丁が名前の由来らしいです。あとは、砂糖が貴重な時代に、飴を売っていた、アメヤ横丁と呼ばれたのが始まりとする説もあります。

店先で立ち止まるだけで怒られるような土地柄ですけど、接客サービスの分だけ値引いているのと、まぁ、いろんなものが売っていってことで、許してやってください。特に、このマークに免じて。

裏はこんな感じ。

やっぱり、東京はアジアの一部です。こういうのに目が行くのは、仕事柄しかたありません。一瞬だけ、アーメンと読めました。それよりクルタレって何?

真ん中のビルの地下は食品街なのですが、店番の人は日本語以外の言語しゃべってました。一瞬、タイのタラート(市場)にいる気分になりました。アジアを中心に世界中からいろんな食材が集まって売られています。

あ○ちゃんのロケ地だそうです。チェックしたところ、既に閉店済でしたが。

振り返ると、そこは上野駅。緑が見えてきました。

街の様子はがらりと変わります。

食べ物じゃなくて、文化や歴史の匂いがしてきます。

なんといっても、世界文化遺産ですしね。

ちゃんと身だしなみは大丈夫ですか。ハックションじゃなくてファッションですよ。ちなみに、友人からは「お前には語る資格が無い」と言われました。そう思います。

世界文化遺産前に到着~。ぱちり

文化とは何か、人間とはなにか、親父ギャグとは何かについて真剣に考えるにはもってこいの場所のようです。

ソロ・デビュー前はこちら(レプリカですが)だったと教えてくれました。

ずいぶん前のめりだったんですね。

せっかく来たんだし、企画展でも見ようと思いましたが、展示会の企画名すらをちゃんと読むことができず、友人に諭されて、諦めることにしました。

最初、ムネケツメとか読んでしまったんです。内緒ですよ。ドイツは、いまの私には敷居が高過ぎるみたいです。

ここ上野には、科学博物館とか、上野動物園とか、下町風俗資料館とか、いろいろ選択肢はあるんですが、結局、東照宮に行くことにしました。東照宮といっても日光じゃございませんよ。

日光がとってもまぶしいですが、上野東照宮。

大きな楠の御神木(樹齢600年)もあって、歴史の重みが伝わってきます。

何か見えてきましたね。

東照宮はこちらです。金壁が格子状に映って見えるのは、本物の金箔を貼っているからだそうです。

正直、目が痛い。これも東京のど真ん中。

さて、痛む目を鎮める為に、清水観音堂(きよみず・かんのんどう)に向かいました。

東京散策シリーズの第2回でご紹介した増上寺の対角にあり、江戸の鬼門を守ってきたのが寛永寺なのですが、境内を分断・占拠するかのように西洋文化に連なる建物や施設が立ち並んでいるので、どうして、寛永寺の一部とされる「清水観音堂」がこんな離れたところにあるのか、知らないと理由が分かりません。でも、地図を見れば意図は明らかですよね。ここも日本の縮図。

また、西郷隆盛像に隠れてだれも気が付きませんが、上野山は、江戸で官軍に最後まで抵抗した彰義隊が全滅した(上野戦争)場所でもあります。確実に死ぬと分かっていても、最期まで自分の信じる道を貫き通した場所。手塚治虫の漫画『陽だまりの樹』でも読んで、目に見えない、東京の影に隠れてしまった江戸の情緒を感じ取りたいものです。

江戸の情緒といえば、そうそう、これ。

なんだか分かりますか? これ。

歌川広重の連作浮世絵名所絵『名所江戸百景』の「秋の部」より第八十九番『上野山内月のまつ』です。ほら。(友人に教えて頂きました)

厳密には構図は違うけど、上野山からの不忍池を眼下にみた月のまつであることには変わりありません。いい風情ですよね。不忍池がもっとはっきりと見えるといいのでしょうけどね。木々の緑が濃すぎて参道と辨天堂だけが望めています。

待ち合わせ場所としても最高かもしれません。
最後に、一句詠んでみましょうか。

しのぶとも 見えぬ鬼門の えど情緒 時も忘れて 山の月まつ

『名所江戸百景』は、広重が安政三年~五年(1856年~58年)にかけて制作したと言われています。当時の江戸は、安政二年(1854年)に、安政の大地震で大きな被害を受けており、名所江戸百景は災害からの復興を祈念し、世直しも意図もあった言われています。

日本一時帰国の合間を縫った、東京・江戸散策でした。(完)


余談:ドイツは私には敷居が高かったけど、この後、ひたすら銀座ライオンでドイツをビール飲みまくってました。美味しかった。