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ゲームメモ008: ファイナルファイト(アーケード他)

超犯罪都市、メトロシティ。
ここには平和も秩序もない。
あるのは 暴力 と 死 だけだ…

ベルトスクロールアクションの金字塔「ファイナルファイト」。
筆者は小学生の頃、駄菓子屋で初めて遭遇。1プレイでトリコになってしまった作品だ。漫画「ハイスコアガール」にもしばしば登場してたね。

ベルトスクロールアクションって?

右へ、右へとどんどん進んでいきながら、敵を殴り倒していくケンカアクションゲーム。
横スクロールと違うのは、床に奥行きがあるところで、レバー上入力でキャラクターは画面奥に、下入力で手前のほうに移動できる。
右から襲ってきた敵の投げナイフを、上や下(奥や手前)によけることができる。
床が横軸だけの一直線ではなく、まるで帯のようなので「ベルト」スクロールと呼ばれる。80年代後半~90年代前半(半ば?)にかけアーケードゲームシーンにおいて隆盛を極めたジャンルだ。

隆盛を極めた、というからには当然だが、各社から競合タイトルがたくさん発売した。
ファイナルファイトは1989年に登場したゲームで、ベルトスクロールゲームの歴史の中では比較的はじめの方に出たタイトルだ(一番最初ではない)。
ベルトスクロールの中では、開祖ではないものの礎を築き上げたレジェンド。プロレスラーで言えばジャイアント馬場とかハーリー・レイスのような存在だといえる。

ファイナルファイトを参考に作られたベルスクゲームや、同じ会社による後継タイトルは数多くあれど、面白さはファイナルファイトがピカイチ。今でも稼働してるゲーセンは少なくなく、2Dのベルトスクロールの全ゲームで総選挙をおこなえば(1位をとるかはわかんないけど)間違いなく上位に食い込んでくるであろうゲームだ。

何がそんなに面白かったんだろう?

キャラがデカく、キビキビ動く

まず特徴的なのは、プレイヤーや敵キャラなどゲームに登場する人物が大きく描かれていること。
ポリゴンのゲーム全盛になった今あまりピンと来ないかもしれないが、ゲームに登場するキャラクターは最初は8×8ドットや16×16ドットといった小さなサイズで描かれていた。
キャラが大きいゲームというのはそれだけで迫力を感じたものだ。
「当時として大きめだった」というだけにとどまらず、カプコンがその後に出した別のベルスクゲームと比較しても、また他社のベルスクゲームと比較してもファイナルファイトのキャラクターは大きめであると言えるだろう。

当時はゲームのROMに保存できる画像の枚数に限りがあったため、大きなキャラを作ると、そのぶん、登場するキャラの総数がすごく少なくなるとか、大きい代わりに動きが少なくなり、ぎこちない動きをするとか。トレードオフとなる要素があるのが常であった。
ファイナルファイトも、無限にROM容量があったわけではないので例外ではなかったが、プレイ感覚を損ねないように配慮がされていた。
アニメーションパターンは決して多いとは言えなかったが、ユーザーの操作に対して素早い反応がいる部分は快適に作られていた。
「首から下が別キャラの流用(顔と服の色が違うだけ)の敵」や「歩きで移動せず常にジャンプし続ける(足を交互に動かすための画像パターンを節約してる)敵」がいたりと、ストレスを感じない箇所で節約が行われている。

殴るのが気持ちいい

こう書くとヤバイ人みたいだけどw
敵にパンチを当てて倒すのが、とにかく気持ちいい。
ボタンを連打すると、連打した分だけシュババババッ!とパンチが出る。
それが敵に当たると、バキバキバキィ!と連続ヒット。
殴りが当たった時の音が大げさで心地いい。
特別な操作をしなくても、連打しているだけで、ジャブ・ジャブ・ボディ・アッパーカット!とコンビネーション技が出る。
後述する「複数の敵を殴れる」仕様と相まって、とにかく気持ちいい。

複数の敵を同時に殴れる

このゲームはパンチやキックで敵を倒していくゲームになっている。
ここで、あなたが酒場でチンピラたちと喧嘩することになった場面を想像してほしい。
人間の手で「パンチ」を出した場合、それは腕1本で行われているので、チンピラが2人いた場合、パンチ1発ではどちらか一方のチンピラしか殴ることができない。
ファイナルファイトの革命的だった点のひとつは「敵が複数重なっている場合、パンチ1発で全員殴れるようにした」点だと思う。
三国無双では敵がいっぱい迫ってきたのを、横なぎの太刀一振りで全員KOする。ということができたと思う。無双はだいたいの場合刃物で戦うので、まあそうなるだろうな。と想像できるのだけど。
現実世界の整合性で考えた場合、コブシ1個しかないのになんで3人いっぺんに殴れるんだよwとなってしまいかねないのだが、とにかく、ファイナルファイトはパンチ1本で複数の敵を同時に殴れるのだ。
この仕組みがあることで、爽快感が爆上がりしたことと、いっぺんに殴れる前提でバランスをとっているため、大勢の敵に囲まれるシチュエーションがたくさん楽しめるようになっている。
8人の敵に囲まれても、「まず右の4人をまとめて殴り倒し、ダウンしている間に左の敵を投げて敵全員を画面右側にまとめる。挟み撃ちされる心配がなくなったので、あとはじっくりとナイフでとどめを刺していく」みたいな戦い方が一人でできるのだ。
もしパンチで1人しか殴れない仕様だった場合、敵が8人出てきてプレイヤーを囲んだりしたら、1人を殴っている間に他の敵に攻撃されて、もう打開する手段なくボコられてやられてしまうだろう。

特徴的な3人のプレイヤーキャラ

プレイヤーを3キャラから選択できる。やれることが少しずつ違い、だれを使っても上手くなると「気持ちの良いプレイ」ができる。

ガイ:スピード型(超速いパンチ連打、三角飛びができる)
コーディ:平均型(こいつだけナイフを投げずに「刺す」ことができる)
ハガー:パワー型(通常投げ出してる間無敵、爽快なジャンプ投げがある)

ガイは見えないくらいの速さでパンチを連射でき、弾幕のようにパンチを出して敵を近付かせない(近づいてきた敵はもれなく殴る)プレイが可能。
ハガーはパンチが遅いが、投げ(バックドロップ)をしている間は、他の敵に殴られてもダメージを受けず攻撃がすり抜ける。ちぎっては投げ、ちぎっては投げしながら戦うのだ。
筆者は子供の頃はハガーの上手な使い方がわからず好きでなかったが、今ではハガーでも気持ちよく遊べる。

2人同時プレー可能。仲間同士の攻撃も一応あり

ベルトスクロールアクションでは珍しくない、定番の仕様だが、2人同時プレイができた。
同時プレイ人数は後年のベルスクゲーでは3人、4人と増えていく傾向にあった。コナミのX-MENとか、大きい筐体と小さい筐体がリリースされてて、大きい方は6人プレイできたんじゃなかったっけ?

多人数プレイにおいて、仲間同士の攻撃が当たってしまうかどうか?は気になるポイントだ。最近の作品は仲間の攻撃が当たらなくなってるものが多いような気がする。
ファイナルファイトは味方に攻撃がヒットする。が、
・ダメージが非常に小さい(波動拳防御したくらいしか減らない)
・HPを減らすことはできても、とどめを刺すことができない

…といった調整がされている。
仲間への攻撃(フレンドリーファイア)は、ファイナルファイト以前のゲームでは友情崩壊につながることも珍しくなかった。程よい塩梅だったのではと思う。

ムズいけど「糞ムズゲー」のカテゴリ内では優しい難易度。

アーケードゲームのお手本のような難易度設定だ。
やさしいか、ムズいかで言ったら、間違いなく「ムズい」ゲームだといえるのだが、むずいゲームの中では優しさを感じる方で、やられ方に理不尽さを感じにくい(全く感じないとは言わないが)。
CPUにインチキされてこっちの攻撃全部リバーサルされて圧殺されたわ糞が!…って感じがしない。
いま調子悪かったな~。もうちょっとやれたな~。と思える。そして攻略法を学んだうえで再プレイするとそこを越せる。(ことが多かったと思う)

繰り返すが、易しいゲームではない。
けど上達の余地があって、他の同時期のアケゲーと比べると、割と上達するのも早いと感じる。

まあ筆者はゲーセンでは1コインでクリアできたことないんだけど。
何回も反復して、調子が良くて6面のエレベーター後くらい。調子が悪くても4面(炎が出るとこ)くらまではいけるようになった。

家庭用に移植もされてるので、これで1コインクリアを目指したい。


[B] で ぬけます.