奇業案件　～ホラー×ビジネス～②

先週から引き続き、僕が取引先の人事から聞いた話を紹介していきます。
前回から少し文体を変えて、一人称で書いていきたいと思います。
今回は、介護業界で起こった奇妙な話です。

其の二　『不合格通知』

ミズタチさんが勧めてくださった転職サイト、すごくいい感じです。
経験者募集なのにたくさんの応募が来て、今施設としては凄く助かってます。ただ先日、かなり怖い体験をしまして…

　２週間くらい前ですね、３０歳の女性の方から応募が来たんですよ。職歴や資格にはちゃんと介護関係のことが書かれていたので、さっそく面接しました。
　面接の受け答えもいい感じで、何よりもうちに入りたいっていう熱意が凄かったんですよ。私人事を担当して１０年になりますけど、あんなに熱心な人は初めてでした。どれだけうちの理念に共感したか、入ったらどういうことをしたいか、まくしたてるように話すんです。
　私たちとしては熱意のある方大歓迎ですので、さっそく内定を出したんです。それで、入社するにあたり資格証のコピーを送ってほしいとメールをしたのですが、それに対する返信がおかしくて…
『資格はもっておりません。貴社に対する私の情熱は、おわかりいただけたでしょうか。それさえあれば資格や経験なんて、関係ないと思います』
っていうんですよ。いくら情熱があっても、現状未経験者を入れる余裕はないですし、それに平気で嘘をつく人と、一緒に働きたくないじゃないですか。
　だからメールで、残念ですが今回は採用を見送らせていただきます。
と返信したんです。それから一時間後くらいですかね。時間は、午後の二時でした。

　残りの応募者の対応をしていたら、ふと視線を感じたんです。何だろうと思って顔を上げると、真っ白い肌をして口を大きく開けたあの女性が、目の前に座っていたんです。
　じ～っとこちらを見て、大きな口を力いっぱい開いていました。
　目が合ってから５秒ほどでしょうか。女性はパッと消えてしまいました。
　もう私は汗びっしょり心臓バクバク。何だったんだあれはと思いながらパソコンに目を移すと、その女性から、不合格通知への返信が来ていました。
開けたくなかったのですが、開けないともっとひどい目に合うんじゃないかという謎の恐怖が、その時の私を支配していました。
　開くボタンをクリックすると、そこには

『は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？は？』

おびただしい数の『は？』という言葉が、画面いっぱいに広がっていました。

もうそこからは大パニック。すぐ媒体に依頼して、このメッセージを削除してもらいました。
強制退会もさせられますがどうしますか？と聞かれましたが、断りました。
だって、更に強い怒りを買ったらって思うと…

いかがでしたでしょうか。僕はこの話を聞いた時、マジで夜お風呂に入れませんでした。
ご意見ご感想お待ちしております！
次回も金曜更新を予定！では、また！