あなたとわたしの物語《秋》#ことば展覧会
｢月がきれいですね｣と あなたは言いました
覚えていますか？
あの瞬間 すすきが 銀色に染まりました
｢今 言おうと思ったの｣と わたしは答えました
見上げる肩先に お月さまが留まります
その瞬間 しずかな光が わたしを照らしました
ことばって 月
しずけさの 月
さえわたる 月
こころを映す 月
｢あなたの幸せのために 別れてほしい｣と あなたは言いました
覚えていますか？
あの瞬間 吹きすさぶ風に 日常が砕け散りました
｢なぜ最期まで 隣にいてはいけないの｣と わたしは答えました
横なぐりの雨から あなたを守りたいのです
その瞬間 わたしから ことばが奪われました
ことばって 嵐
とめられぬ 嵐
ふきあれる 嵐
すべてを奪う 嵐
｢あの海に 連れて行ってほしい｣と あなたは言いました
覚えていますか？
あの瞬間 遠い日の花火が あざやかに浮かびました
｢花火を持って 行きましょうか｣と わたしは答えました
打ち上がらなくとも あなたと花火がしたいのです
その瞬間 あなたの瞳に 光が宿りました
ことばって 楓
あざやかな 楓
おもいでの 楓
こころを彩る 楓
｢あなたのことばはいい 書いてみたら｣と あなたは言いました
覚えていますか？
あの瞬間 何かが わたしに生まれました
｢届くように ここで手紙をしたためます｣と わたしは答えました
あなたの目尻に 光る珠が生まれます
その瞬間 魂が ことばに宿りました
ことばって 実
いのちある 実
あなたとの 実
こころをつなぐ 実
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
#ことば展覧会 の企画に参加しています。（年内で締切だそうです）
あなたにとって、ことばって何ですか？
もしよかったら、聴かせてください。あなたのことば。
季節がめぐったら、ことばの旅をはじめます。
他のみなさんの、素敵な作品はこちら。
ここまで読んでくれたんですね！ ありがとう！