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もし 私がふつうだったら

子どもの頃の夢は、仮面ライダー。
中学生ぐらいになってもずっと、仮面ライダーになりたかった。
でも私は同級生に言われてしまった。
「仮面ライダーなんかおるわけないやん」
「なれるわけないやん」
私は悲しかった、悔しかった。
しばらくして私は "スタントマン" という職業がある事を知った。
格闘技を始めた。
アクロバットも器械体操も習った。
仮面ライダーにはなれなかったけど、楽しかった。

そして私は格闘技や器械体操を通じて、自分より下の子を教える機会が増えた。
子どもと関わるのが凄く楽しかった。
私はいつしか "保育士になりたい" と思った。


勉強はすき。
でも私には限局性学習症があった。
スマホで文字を打てば変換機能が漢字にしてくれる。
これは...こういう漢字やったかな、、
なんとなくで私は変換している。
小学生の頃、一番苦手だった音読。
何度も言われた「スラスラ読みなさい」
何度も何度も家で練習した。
でも言葉に詰まってしまう。
読めても内容を理解できない。
いや、理解するのに時間がかかってしまう。
これは国語だけに限らず、算数の文章問題でも困った。
算数では簡単な計算や時計が難しい。
数字や小さいメモリを見ていると目が回る。
でも図形がだいすきで、いつも満点だった。
中学生の証明もいつも90点代だった。


保育士になる為には学校に行って勉強をしなければならない。
学校はだいすきだった。
知らない事を沢山知れてだいすきだった。
ずっと独りで居れたらいいのに、どうして私をかまうんだろう。
「お前、変」
「なんでそんな幼稚なん」

注意欠陥・多動性障害の私は忘れ物が多く多動が目立った。
授業中、席にじっと座っている事が苦痛で仕方なかった。
気がついたら席を立ってしまっている。
ヤンチャな子たちは先生に反抗して、席を移動したり教室に居なかったり。
きっと世で言う陰キャの私が席を立ったりうろうろしてしまうのを良く思わなかったんだろう。
「陰キャの癖に」
「ヤンチャぶんなや」
当時の私には分からなかった。
衝動的に身体が動いてしまうんだ。
感情のコントロールも難しかった私はイライラすると血が出るまで自分の腕を噛んでしまったり、アザができるまで自分の顔や足を殴ってしまったり...。
そういうのも「気持ち悪い」って言われてしまう理由の一つだったんだと思う。
そのうち私はリストカットという自傷行為を覚えてしまう。
これならバレない。
少しだけみんなと同じになれた気がした。

自閉症も持っている私は、人との距離感も掴めにくい。
だいすきなサメの話になるとぶわぁーっと話し出してとめられない。
極力独りで居る事を心掛けた。
そして学校を辞めてしまった。
障害を持っている私は人に迷惑をかけないようにと思って独りで居ようとした。
人と関わらなければいいんだ、そう思った。

保育士になれなかった。
それでも子どもがだいすきで。
今までやってきたスポーツを活かして、体操教室の先生をしたりしていた。
でもやっぱり人間関係を上手く築けず、職場でトラブルを起こしてしまったり...
社会人になっても「変だよ」「あの子おかしいよ」と言われることなんて日常茶飯事。
みんなと同じ様にできひん自分が悪いんやって毎日自分を責めた。

ある日から私は障害者だって事を隠さずに面接に行ってみようと思った。
「その発達障害?が治ってからまた来てくれる?」
そう言われる事が沢山あった。
なんとも言えない気持ちになった。

そして今の職場に出会った。
紹介で入った。
面接で「発達障害です」と言った。
職場で初めて、一人の人間として、対等に接してくれた。
嬉しかった。
今の職場は放課後等デイサービス。
いろんな障害を持ったお子さんがいらっしゃる。

癇癪を起こした時、私はこうして貰ったら落ち着いたよ
なんでイライラするのか自分でもわからんよね、上手く自分の気持ち言えないのが苦しいよね
気持ちの切り替えって凄く難しいよね

私は保育士でもない。
児童指導員でもない。
言語聴覚士でも心理士でも看護師でもない。
専門的な知識は一切無い。
けど、当事者の私が一番子どもたちの気持ちをわかる気がする。
いや、わかりたいんだ。
きっと私はこの先ずっといい先生にはなれない。
でも、一番子どもたちと距離が近い友だちみたいな先生でいれたらなぁ。


いつか講演会をしたり、本を出したい。
また夢ができた。
私は今、病院で「気持ちの切り替えを上手に出来たらいいね 」と「自分の気持ちを自分の口で言えるようになったらいいね」を頑張っている。
私はいつかみんなと同じ "ふつう" になりたい。


でも私は自閉症+注意欠陥・多動性障害を持っている私にしか出来ない事があると思っている。
上手く説明出来ないけど私は私に産まれて来れて良かった。
ママ、ありがとう。

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