養子ならではのいいことも、たくさんあるんだよ②
こちらの続きです。
どんな子どもでも受け入れるという覚悟をもてる
どのあっせん団体でも、「どんな子どもでも受け入れますか?」という問いがあると思う。
特別養子縁組は子どものできない親のための制度ではなく、子どもが家庭的な環境で過ごして幸せになるための制度だ。だから子どもの年齢、性別、肌の色、障がいの有無、健康状態を選ぶことはできない。
障がいや健康状態について選べないのは実子でも同じなんだけど、「特別養子縁組で迎える子どもは妊娠期間中にタバコやアルコール、服薬の影響を受けている可能性があります。実子のお子さんなら与えられないであろう影響も考慮してください」と研修で釘を刺された。
この点については夫婦でたくさん話し合った。
漠然とした不安の塊をひもといて、一つずつ問いを立てて、だいじょうぶと思える理由を探した。
分かったのは、夫は自治体による支援制度に、わたしは精神的な支え(「オランダへようこそ」という詩のような)に安心を見いだすことだった。
今のところ、子どもには目に見える障がいや大きな病気はないようだが、成長してみないとわからない。
突然発症するかもしれないし、健康でも事故に巻き込まれるかもしれない。
そうなったらもちろん慌てると思うけど、夫婦で話し合っていたことが少しはプラスに働くだろう。
虐待はダメ、ゼッタイと夫婦の共通認識としてもてる
昭和生まれのわたしと夫は、目に余ることをすると親から手を上げられることがあって、それを虐待だとは思っていなかった。
令和の現在は、しつけを理由にした体罰も虐待とされる。
子育てに関する常識は日々アップデートされるが、研修で学んでいなかったらと思うとゾッとする。
子どもが友だちを叩いてしまったら、「○○ちゃんもこれだけ痛かったんだよ! パチッ!」ってやりそー……。
このほかにも、怒って怖がらせて言う通りにさせるってこともやっていただろうなぁ……。
暴力や恐怖で支配するのは子どもに悪影響があることをわたしだけでなく夫も学んでいて、共通の土台となっていることは、これからしつけをしていく上で役に立つと思っている。
真実告知は愛を伝える時間でもある
まだ子どもが小さいので、真実告知(養子であることを伝えること)で伝えられることは限られている。
我が家では毎晩寝かしつけのときに、生んでくれたお母さんにおやすみなさいとあいさつして、うちに来てくれてありがとうと伝えている。
そして「超多様性トークショー!なれそめ」で見た、特別養子縁組で子どもを迎えた池田さん夫妻の寝かしつけの言葉に感銘を受けて、我が家でも取り入れている。
「大大大大、大好きだよ。ずっとずっと大好きだよ。ぜったいぜったい大好きだよ」というシンプルな言葉だ。
池田さんが先に言って、子どもが同じフレーズを繰り返していた。親子で「大好き」と言い合っている姿に温かい気持ちになった。
シンプルな言葉のなかに「これから先、ずっとずっといっしょにいるからね。ぜったいぜったい、何があっても変わらず大好きだよ」という覚悟が込められているように感じる。
わたしたちは血縁という要素を欠いているわけだから、大切なことは言葉で何回も伝えないと、容易に壊れてしまうという懸念がふとよぎる。
だから毎日しつこく大好きと伝えている。
また、子どもの出生についてどのように伝えるか? を悩むのは養子だけではないと思う。
例えば、離婚をした家庭、シングルで育てている家庭、祖父母が育てている家庭、精子や卵子提供で子どもを授かった家庭など。
それぞれの家庭の方針や子どもの性格があるから、正解はない。正解がないからこそむずかしい。
ただ、わたしたちは子どもがルーツを知る重要性を研修で学ぶ機会があったし、養親同士で相談できることもある。それは恵まれていると思うのだ。
つづく
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