すさんでる街の真ん中は透明でホントはすさんでるなんて言ったって実際そうでもないと思うんだよ。
その後2度と
【寺子屋】に行くことはなかった
あの日の思い出と後悔は
私の中で粗く優しく記憶に残っている
老いて
朽ち果てて行くまで
色あせないで
私を飽きさせないで
永遠に残る
(10)目黒川沿いpm8:00 ガラスの人形
【寺子屋】を出た私たちは
またタクシーに乗り込み今度は五反田に向かった
連れて行きたい場所がまだあるんだそう
『次どこ行くの?』
『五反田』
『電車って乗らないの?』
『乗ったことないなー、いつもタクシーだし
品川から出ることないし』
『お金すぐなくなっちゃうよ?』
『無くなったら取りにいけばいいし』
『各部屋に鍵付いてるんでしょ?入れないじゃん』
『付いてる、でもいつも鍵かかってないんだよね』
『………』
『それってさ』
『ん?』
『わざと開けてくれてるんじゃないの?
あなたの為に』
『………』
『それはないんじゃない?』
〝ケンタロウ〟はそこから黙って
流れる景色をじっと見ていた
タクシーを止めて降り立った先は
目黒川沿いの古びたゲームセンターだった
ここから先は
2,332字
¥ 670
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?