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うなぞこ

深海の魚のように、随分と潜る。水圧に圧され、体中軋むようである。目は退化するが、そのぶん、眼がひらかれていくようでもある。身じろぎも易くない水圧と真暗闇のうなぞこで、足掻き、もがくが、堆積した砂が舞うだけで、さらに沈む。
砂とは砕かれた骨である。降りつんだ砂の、骨を折り生きた記憶が起こされ、ふたたび痛みが、射すように身を貫く。しかし、そのときみるのだ、己のうちに光を。骨というたからを。だれのものともしれぬ心のかけらを。うなぞこの潮流は、はかりがたい渦を巻く。しかし、ひとしく希望にも、まみえるのである。

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