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ひとしずく後日談

飛び跳ねていた ひとしずく
大きな水に落ちたとき
水の粒子は伝え合う
(かえったよ、あの子がかえってきたんだよ)

瞬く間 反対側の海にまで
はたまた 空の雨粒にまで

そして 私はいなくなる
そして あの子はわたしになった

きよらかなものならば
源泉の生まれたときの静けさも
伝うそばから海になるジュゴンの涙も
知っていた

こんどはね 世の色の
きらきらしさを知ったんだ
わたし 光とひとつだったの
色が無数に わたしだったの

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