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ひとしずく

一石の投じられ
同心円状に揺れが伝わる

静まらない水面
私は 跳ねた ひとしずく
もと居た大きな水のなかには
まだかえれない 翔んでいる

石は沈み 鎮めようとする
底へゆっくり降りてゆく
石は黙し けして多く語らない

しかして水は伝え合う
あの子は旅をしているみたい

(そう、ひとり、心もとない、でも)

不可思議に身をゆだねる
透明な自分のなかに
四方八方から世界が映りこみ
きらきらと反射して
ひかひかひかる
ひたひたひたる

(なんて きれい)
(ぜんぶ みてみたい)
(みてかえるから待っていて)

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