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映画で学ぶ使役動詞のmakeの使い方〜American History X

'Has anything you've done made your life better?'

この問いかけが、ネオナチに傾倒していた青年デレクに気づきを促し、黒人への憎しみを解き放った。この映画のハイライトシーンである。

このセリフは、American History Xの公式youtubeトレーラーにも登場します。

父親を黒人に殺された恨みから、白人至上主義のネオナチグループのリーダー格となったデレク。殺人事件で刑務所送りになった彼は、黒人の囚人と親しくしたことがきっかけで、白人至上主義の囚人たちからひどい暴力を受けた。

そんなとき、デレクの弟が通う学校の黒人校長がお見舞いに訪れ、デレクに問いかける。

 'Has anything you've done made your life better?'

直訳すると、「これまでしたことで、何か人生をよりよくしたものはあったか」です。怒りに満ちた人生を送ってきた彼でしたので、anything you've doneは「怒りを元にした行動のうちの何か」という意味ですね。字幕では「怒りは君を幸せにしたか?」と訳されていました。

中流家庭に育ったデレクは、ある日父親を黒人に殺された。その悲しみにつけ込んだ大人の白人は、デレクに白人至上主義を吹き込んだ。そのデレクは、やり場のない怒りや悲しみを抱えた若者を扇動した。家族を崩壊させ、弟のダニーも同じ道に傾倒させ、挙げ句の果てには黒人を殺して刑務所へ。刑務所でも人種差別による闘争があり、暴力沙汰が絶えない。

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いま、アメリカを内戦状態に陥らせているBlack Lives Matterという黒人差別抗議運動。どのような組織がどのような目的で運営しているのかは明確にはわかりかねますが、「怒り」がこの運動に参加している多くの黒人たちの原動力になっていることは間違い無いのでしょう。

さて、再度ハイライトのセリフを読み解いてみましょう。

anything you've doneが主語(S)、madeが動詞(V)です。

made(make)は使役動詞で、<make+人・もの+動詞の原形>の形で使われます。

文法事項で覚えようとするとややこしいので、Make me happy(幸せにして)や、Don't make me cry(泣かせないで)などのフレーズで覚えてしまうのがお勧めです。

Hasと doneがありますので、現在完了形ですね。Have (has) +過去分詞という形で使われます。単なる過去形とは異なり、3つのことを言えます。

①継続(ずっと〜している)
②経験(〜したことがある)
③完了・結果(ちょうど〜したところだ。すでに〜した)

この台詞は、②の経験「〜したことがある」で使われているのですね。

Has anything you've done/made your life/better?と区切るとわかりやすくなります。

「怒りは君を幸せにしたか?」という問いが、デレクをダニーを家族をみんなをどう変えたのか?どのような結末を呼んだのか?ぜひ本編を「字幕付き」でご覧ください。AmazonのPrime Video(有料)などでご覧いただけます。








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