きかんしゃトーマスの倫理と資本主義の精神

どうも、水野悠平です。

数か月前のことですが、きかんしゃトーマスと国連がコラボして、SDGsの啓発をするという広告を電車の中で見かけて、衝撃を受けました。

国連と「きかんしゃトーマスとなかまたち」 | 国連広報センター (unic.or.jp)

このキャンペーンを腐すわけではないですが、蒸気機関車というと「産業革命の象徴」「石炭を大量消費して走る」というイメージがあったので、トーマスがSDGsを呼びかけるという絵にショックを感じたのです。

トーマスにビックリさせられるのはこれが初めてのことではありません。

子どもの頃はそれほどハマったわけではないのですが、大人になってからトーマスをわりとじっくり見返す機会がありました。

アニメになる前の、鉄道模型を使った人形劇だった頃のものです。

大人になって見ると、いやはや、これが衝撃の内容なんですよ。

きかんしゃたちが喧嘩したり、調子に乗って事故ったり、ストライキを起こしたり…。

ちょっと今だったら問題になりそうなストーリーがたくさん。

しかもその根底に流れる価値観が、またすごい。

きかんしゃたちの究極的な目標は「役に立つ機関車になること」です。

では役に立つかどうかを誰がジャッジするかというと、彼らの所属するソドー鉄道を所有しているトップハムハット卿という社長なのです。

つまり、経営者にとって役に立つ存在になることに、登場人物(?)が全てをかけているという構図なのです。

まあ、このトップハムハット卿は厳しいけど少し抜けているところもある、愛すべき好人物として描かれているので、物語としては暗くならずにすんでいるんですけどね。

それでもトーマスたちが、「トップハムハット卿に役に立つきかんしゃとして認められたい」という一心で暴風雨の中を猛進していく姿を見ると、なんだか微妙な気分になるのです。

ちなみに先ほど紹介したきかんしゃたちがストを起こす回では、結局ストに加わらなかったトーマスたちが大活躍して不在の穴を埋めてしまい、ストを起こしたきかんしゃたちが自分の代わりはいくらでもいることに気付き、反省して帰ってくるというオチが描かれました。

子どもの頃に見たものなんて全く覚えていませんが、もしかしたら無意識の部分で自分の考え方を作り上げているのかもしれないと思うと、子供向け番組の影響力は侮れません。

そんな資本主義社会の精神形成に一役買ってきたトーマスが、今度はSDGsを啓蒙するのか…。決して腐しているわけではありませんが。

ではまた皆さん、お元気で。




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