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アイヌの歌と音楽にひたった ウポポイの楽しみ方②

念願叶って訪れたウポポイ!今回はわたしがとっても楽しんだ音楽系のプログラム三つを紹介。

ムックリの音色にびっくり

まずは伝統楽器、ムックリという笛。これは、湖畔のステージで開かれた「コタンの語り」で、アイヌの生活を紹介してもらった後、女性の奏者が披露してくれました。

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『ゴールデンカムイ』で時たま描かれていて想像するに「ビヨーン」って音がするんだろうな~と思っていたら、想像以上の重低音が響いてきて、なんであの竹からこんないろいろな音が出るの……!?と全力で驚く…!

終わった後、奏者の女性に聞いたら、舌をくっつけたり、口の形を変えたりして音色を操作しているんだって。吹きこなすのめちゃ難しそう。(noteって動画がアップできないのか~!あとで短いバージョンの動画をTwitterでつぶやこう…)

ムックリは主に女性が吹くもので、男性に向けて恋心を伝えるものでもあったそう。でもその女性は「小さい音だから、壁越しに聞かせていたんじゃないかな~って想像します」と笑ってました。この一本でここまでの複雑な音色が出せるのすごいなぁ。

迫力たっぷりのイヨマンテ

そしてウエカリチセ(体験交流ホール)での伝統芸能上演「イノミ」は、演者の気合がびしびしと伝わるすばらしいものだった…!

《イノミ ~アイヌの祈り・歌・踊り~》
伝統儀礼「イヨマンテ」を軸にしたストーリー性のある舞踊と映像を通じて、アイヌの世界観やカムイとの関係性を表現します。過去からの伝承を未来につなぐことを目指す創作プログラムです。(公式サイトより)

イヨマンテは「熊送り」の伝統儀式です。山の神から託された小熊をコタン(村)で大切に育て、大きくなったらその命を大切にいただき、その熊のカムイを天上に送り返す大切な儀式。『ゴールデンカムイ』にも出てきます。

3月に行ったニュージーランドで見た、マオリの歌や踊りと似ていると感じたのはなんでだろう?

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このプログラムは、イヨマンテをさらに現代で進化させる意味合いも持っているそう。今後どう変化していくのかも楽しみだなぁ。いつか「シノッ」も見てみたい。

《シノッ ~アイヌの歌・踊り・語り~》
伝統的な歌や踊り、楽器演奏等を幅広く紹介します。最新の映像技術や北海道の美しい映像も取り入れた演出により、アイヌの世界観や自然観をぜひご体感ください。(公式サイトより)

このウエカリチセのプログラムは30分前にホール前で指定席が配られます。すぐなくなっちゃうので、行きたいプログラムに目星をつけてスケジュールを組むのをオススメします。(わたしは午前の回を逃して、11時に入場したのに15時半の回を見ることになってしまった笑。でも粘ってよかった!と思った)

うっかり聴き入った「やいさま」

そして大変失礼ながら、ぜんぜん期待せずに「イノミまで時間があるからな〜」とふらりと立ち寄った「ポン劇場」のお姉さんの歌に聞き入ってしまった…!

ポン劇場では、ペーパサートや人形劇でアイヌの文化にふれてもらおうというプログラムが開かれます。わたしが見たのは、若い女性がアイヌに伝わる歌をうたう回。

女性のアイヌのあだ名は「メトットさん」。ウポポイではスタッフそれぞれにアイヌ語のあだ名をつけています。
メトットさんの94歳のおばぁちゃん(フチ)冬子さんは、むかわ町出身のアイヌで、「お前が大きくなる頃にはもうアイヌ語は必要ない」と言われて育ったそう。

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でも、大人の言葉をまねして覚えた。ただ、だんだんと大きくなるにつれてアイヌ語を意識しなくなっていって。

転機は60歳のとき。研究者がむかわ町のアイヌの方言を聞き取りにやってきたら、冬子さんからスラスラとアイヌ語が出てきた。「私にはアイヌ語が身についている」と感じたんだって。

メメットさんは双子として生まれて、おばあちゃんからアイヌの歌、踊り、言葉をたくさん習ったんだそう。その一つ「やいさま」を披露してくれたんだけど、う、うまい……!なんとも言えない節回しと、抑揚の心地よさに、思わず聴き入ってしまう。どこか沖縄の民謡とも近いところを感じた。

「やいさまねな」で始まるこの歌は、「自分の気持ちを述べますよ」という意味だそう。

鳥になれたら 風になれたらいいのに
そうしたら二つの村、三つの村をわたる
わたしの愛しい人は、どのように思っているのか
二つの涙、三つの涙を流す

そんな意味なんだそう。節回しや歌詞は家庭によって違うそうで、口伝で教えられてきたからこそだなと感じた。

小学校の時にメメットさんが「アイヌ」とばかにされたとき、おばあちゃんは「言わせておけばいい」と怒ったんだって。

メメットさんは「おばあちゃんはもっと辛い思いをしたんだと思います。孫に同じ思いをさせたくない、強い気持ちでいてほしいという気持ちだと思う」と話してました。

「ウポホイは『民族共生』をうたっています。アイヌは特別な民族ではありません。それぞれを認め合っていくのがこの空間。そんなことを伝えていきたいです」

というメメットさんの締めの言葉にいたく感動してしまった……。

こうやって歌が次世代に伝わっていくこと、誰かの心を震わせること、きっとおばあちゃんも喜んでるんじゃないかなぁって感じた。またメメットさんの歌を聴きにいきたいなぁ。

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大感謝です
東京在住の記者・編集者。茨城・福島出身で、大分→新潟→大阪に住みました。 旅・猫・動物・カープ(黒田さん)・高校野球応援・マンガ・映画・おいしいもの・相撲(稀勢の里)がすきです。ハイボール飲めばだいたいしあわせ。