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秋とごはん
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初心、基本に戻るにはオムライスとから揚げのプレートがいい。
しかしこれを、ケチャップで誤魔化さずにちゃんと作るとなるとエラい思いをする。
ねえオムライス作ってよ。
ねえから揚げが食べたいな。
言われてすぐはいよと作れるか。
街角で「あいさつ」って漢字で書けますかと聞かれて、う。
書けない、というような。
そして、ほんとうにちゃんと作るなんてしたことあった?
出来る?
やってみて、驚く。
下ごしらえの多さ。熱であっという間に変化してしまうのに手が追いつかない。
その上ウェイトレスをしてた時みたいに、気持ちよく飲み物含めてテーブルセッティングまでして熱々を供するには?
高級な店に行ったこともない。
腕に自信もない。時間がかかりすぎてはダメ、熱さ冷たさ味のうち。
されたことあった?
いちから、誰かに。
あるよ。
亡くなった最初の旦那さんに。でもまだ若かった私はされる一方、子どもみたいにわーい美味しい❗️って食べて。それを見てにこにこ笑ってた亡夫。
たとえばそのスープに休日の一日をかけたりしていても、食べる誰かがにこにこ顔なら満足って人だった。
なら私はどこまでできる。
まずは私に私がしてみよう。
美女と野獣のベルがお城のレストランそのもの、に最高のもてなしを受けたように。
果たして、見苦しい格闘の末、プレートは出来上がり。
すごく美味しい。
これをいつかすべて丸ごとあげたいひとがいる。
だいすきな人が。
それがひどくしあわせなことに、気づく秋。
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