こんな時に限って川を見に行く人

が、いる。
亡父もそういうタイプだった。
河川、海を、「危ないよ」って言ってるのに見に行く人々。


東日本大地震のあと、山のようにドキュメンタリー番組があったが、私の印象に強く残っているのはある年輩女性の告白だ。


彼女の夫は津波に呑まれて亡くなった。止めたが、夫は見に行って、呑まれたのだ。

「言うごときがねえがら」。

いっけん寂しそうに彼女は言ったが、はっきり分かった。彼女は呆れ果てているのだと。
そして「言うごときがねえがら」が彼女の生涯をかけたギャグになってしまってるのも感じた。


好奇心。冒険心。田畑や漁場を確認したい気持ち。だがそれで巻き込まれて死んでしまうなら、それはまったく愚かな蛮勇。探す人、待つ人、心配する人、結局葬式をあげさせられる人のことを考えてないなら。
それは他人のことで、自分はまさかそんな目に、という思考は、莫大なお金と手間と心労を残す迷惑行為だと思う。
父はちゃんと病院のベッドで病死したのでご安心ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?