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必負のほどよいイコライジング

一番すごい奴。それは、まんべんなく程よく負けてる奴だ。


例えばBTS。あの、一見超絶に見えるほどの「ちょうど良さ」はどうだろう。
ダンス、歌、ラップ、歌詞、ポップとメッセージ、スタイル、そしてあーなんか懐かしい❗️な感じ。


あの「なんでもあってちょうど良い」塩梅。
超絶ではコアになりすぎ長持ちしない。
なんといえばいいのか。


「カルピスウォーター」。
おかーの作ってくれるうちのカルピスってどうもちょっと薄いんだよなー、と常日頃思っていて、親の留守中こっそりバカみたいに濃いのを作ってしまい、逆に軽くえずく。


そんな時、彗星のように現れたカルピスウォーター。「世界一ちょうどいい」、「あーコレコレ❗️誰が考えたんだよこの黄金比❗️」という。


あるいは、ジャスコ、イオン。
専門的な品もあるはあるけど、なんでも程よくどーんと揃うみんなの広場。


しかし、そうしたメガヒーローは、全分野において「程よく負けてる」ことが必要なのだ。とがりすぎ禁止。いい子は押さえつけられてもガマンを知って守れる子たちです。他の人にも花を持たせてやれる余裕。
ヒーローヒロインの共通点は、たいがい辛抱強いことだよね。


だから、意外と普通、とか、意外と弱い、みたいな負けが必要。
必勝、ではない。
必負、である。


必勝に向けて最も必要となるのは、必ずや負けておく経験だ。不貞腐れずにそれを乗り超え、そこから何を学び、どう生かしていくか。当たり前なんだけどさ。


分かっているのに、最初から勝ちを目指すからコケたり鬱になったりヤケ起こしたりすんだよね。


歳を取って嬉しいのは、マゾじゃないしイヤではあるが、痛みや辛さが常時かるーくドライブ状態になることだ。
これは、必負の感覚。
全集中、肩で呼吸。


で、ここで「勝ち負けがすべてじゃないだろ」という分かりやすい精神論に行くのではなく、負ける感覚を楽しめるようになることが、いまは面白い。


私がもし鬼嫁だったら?
男の人は程よく気の強い、でもやっぱり自分が守りたい程度に弱い相手を攻略したくなるものらしく、夫・T兄の私の扱いは「飼ってる小動物」か「3歳児」の扱いに近い。(実物もそれとほぼいっしょ)
しかし、ヨイショとおんぶされた背中で、飴を手にわーいと暴れて支配してるっぽいのは、実は弱いはずの私でもある。
理想は小さな男の子と女の子に戻って、手をつないで冒険をする日々。


出来ないことが分かっていると、無理をしない。つまり、却って選択肢が絞れて、道を見つけやすいことはある。


蟻、セミ、マンボウの稚魚。いずれも迷いなく、弱いなりに最強の道を必ず見出し全うする。
朝顔はバラになれなくても、その美しさをバラと比ぶべきでない、ことわざにもあるしね。


だってそれにアンタ、無理したらケガすんですからこっちは。体力ないもん。しかも今はケガしたってあんま病院来ないでってみんな泣いてるじゃない医療の人。


この「負け」がいつしかこんでゆき、そして最終的に死が来ると毎朝、目覚めると考える。にこにこ、おひさまと今日をたくらみながら。


それに慣れてくると、恐怖もうすらいでくる。あーあれはやっておこう、掃除しとくか、今日はお気にのランジェリー着てよー、とか、結局毎日クリスマスみたいに過ごす。
葬式も墓もいらんわ、物ももー買わない、残りものは旦那さんとユニセフでわけわけね♪との遺言状を今正月も更新。


日々は、毎日、花になるそうな。
前が見えないほど泣いた者は、視野が広くなるそうな。
その目が見つける、コンクリートの隙間に咲こうとしている小さな草花には、なんの悔いもなさそうだ。

カタバミ。小さい金色の花をつける。種は触れると爆ぜて、パラパラと花火のように飛ぶ。



あまり人とも関わらないけど、それでも好きな人々や森羅万象から学ぶことは無限で、下っ端ってやっぱりいい。


全体的に負ける。
それは角が取れることで、ま、いーんじゃない。


神輿は若いのが担いで行けよ。下で見てるのは、最高なんだ。
私も、昔見たそこからの景色を覚えてる。
素晴らしい思い出。
次の子たち、乗りなさい。
来年見られるか分からない、満開の花たち。

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