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一日の人生

感謝すべきことがある。
私が子を持たずに済んだこと、親が死んでくれたこと、愛するひとに出逢えたこと、沢山の過ちを犯したこと、それでも赦してくれる人々がいてくれると知ったこと。
自然のふしぎさ。小さな虫でさえ助けてくれたこと。美しいものは絶えないこと。
人間が一番しょうもなくて、そしてちゃんと老いて死んでゆける安らぎ。


一日の始まりに笑う。
そして赤子のように大泣きする。
なにものかが、私をいつの間にか、眠らせる。薬はもうほとんど飲んでないのに。


目覚め、立ち上がり、今さっき生まれたように動き出す。営為を行い、踊ったり、また笑ったりする。


いつの間にか降り出した春雨。朝は強風ののち、照ってさえいた。まるで、一日で終わる、生涯のように。
この小さな一生。一日の生涯。
あとどれくらい、とか、病になるんだろうか、などと、考えたりはもうしない。


神さま神さま。
もうお願いごとはないよ。
大好きだよ。
千万の人が私をおかしいと笑おうと、もう恐くはないんだ。

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