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鬼を預けに

節分なので氏神さまに行ってきた。


正直、鬼に困っていた。
自分の中の。
鬼というものはそこにしかいない。
私の内部で暴れ、毒を撒き散らすもう一人の私こそが鬼だ。この鬼は私をひどい病気にする。その上よそにも悪さをすることになるかもしれない。



氏神さまへの道のりは複雑で、まだ迷う。でもマップは見ない。
困って上を見上げると、いつも小鳥が案内してくれる。全国どこでも100%、間違いのない案内者達だ。彼らは美しく囀りながらそちらへ向かって飛んでくれる。私はただついて行くだけ。道々、咲き初めた梅の花などまで見せてくれる。扉写真がそれ。紅梅は早いのよね。



着くまでかなり歩く。体中痛む。
やばい。これ、妨害くさい。今さら気づく。
行きたがらない「何か」が今日まで何かと足止めしてきた。
天気が悪いだの寒いだの体痛いだの遠くて面倒だの。
ダメ。
私は何度も自分を叱りながら歩いた。鳥について歩いた。鳥はそちこちの枝で待っては、また飛ぶ。南東へ。分かった、分かったから。行くから。



鳥居の前まで来た途端、全身の痛みが去った。うっそお。強え、ここ。
礼をしてくぐり、拝殿へ。
ひと気はない。



夫のぶんと私のぶん、小銭を箱にすべり込ませる。私たちそれぞれの穢れをつけて。
(ご無沙汰しております。神さま。この鬼たちを預かってください)
情けない私を神さまはじっと見ていた。お願い事をするなんて。私のバカ。情けない。
参道を戻る途中、ふと阿吽の狛犬に目が行った。気にかけたことはなかったが、なぜか急に気になった。 


片方の狛犬は片足に鞠。へえ?珍しい。
もう片方の狛犬は片足に小さな「狛犬」を踏んづけている。



これ、一般的なスタイル?あまり見ないな。
後ろから声がした。


「おまえの中の悪鬼は、そうやっておけば良い」



声はどこかユーモラスな響きだった。天照大神のはずだけれど、違うな?このひと。でも、好き。いい老先生みたいな感じ。ま、いいや誰でも。
鞠は小さい男の子ならサッカーボールと思うかもしれない。私もそう思った。
(あ、なるほど、転がして遊ぶわけですね。)
「そう。ただ…」
もう一方の狛犬がガツンと踏んづけている小さな狛犬。あ、仏像なんかであるアレ?
(つまりちゃんと踏んづけてイニシアチブを取られるなってことですか?)
「そう。あくまで主導権は渡すな。それがやり方」
声はそれきり黙った。私は振り返り、もう一度一礼した。


道々考えた。
払っても払っても悪鬼を絶滅させることなど出来はしない。それはもう一人の私自身なのだから。
でも、単に鬼を「追い払う」より有効な、楽しく有益に支配しておく方法を伝授してくれるとは。
ここの神さま、粋〜❤️



痛みもすっかり消え、イヤホンでMark RonsonのUptown Funkを聴きながら、人のいない道では踊りながら帰った。サッカーができるくらい、げんきな脚を蹴って。


あ、もしかしたら?
町いちばんの花農家、濱田さんちに寄ってみた。
うそー‼️やったー‼️ある‼️いつも売り切れてるのに⁉️ラッキー‼️
お金を入れて
「いただいていきまーす、ありがとうございまーす❗️」と言うと、驚いたことにいつもは無人の納屋から奥様が出てきた。
にこにこ優しく笑って
「こちらこそありがとうございます。あなた三浦さんがご紹介してくださったかたよね?歩いてここまで見えるって…すごいわねえ」
「あはは、車ないもんですから。健康のためですよ。嬉しいーこんなキレイなの‼️」
ホントに東京の花屋さんなら1束でなくて1本300円だよこれマジで。もう笑みが止まらない。食べちゃいたいくらい美しい。

1束300円‼️アンビリーバボー。


帰りにグニャグニャ知らない道を選んで逍遥を楽しんでいると、福猫に出会った❤️

イヤーン可愛い〜❤️
子どもと猫が100パー引っかかる「いないいないばあ」をして遊びながら隠し撮り。ごめんねー。でも可愛いんだもん❤️この福猫めー❤️ふくちゃんて呼ぶね勝手に。私だけは。



帰って久々にノンアルビールを飲むと、私の中の「鬼のようなオッサン」が
「ぐああーーーっ‼️コレのために歩いてんだよなあ‼️」と、昭和な悲鳴を上げて喜んだ。じゃ、恵方巻き巻いたからツマミに一緒に食べよっか^_^

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