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きれいになった肌

マツリさんは、私がパニックに陥ってから病室の広いベッドにポツンと寝かされていました。
小さな体に初めて見る小さな心電図。それは心電図というより、ラジコンの部品みたいなものに見え、こんなものあるんだなあと感心しながらも、それをつけ手足をバタバタさせているマツリさんを見ると、なんとも言えず後ろめたさのような感情が湧きました。

歳いってから産んだの?ひとりっこ?
かわいいよねぇ。大事だよねーと私より少し年上に見える看護師さんがいつの間にか隣にいました。うなずくと、この子は賢いよ、昨日も泣かなかったし、しっかりしている。だから大丈夫。安心して育ててねと笑顔でいい、心電図を確かめると部屋をあとにしました。

入れ替わるように若い男性医師がきて、だいぶ様子が落ち着いてきたしそろそろ退院できますね。何か心配なことはありますか?と穏やかに言いました。点滴をとっても、もう脱水症状にはなりませんか?と聞くと午後から点滴を外し経口補水液を飲ませてみましょうと分量を細かく指示してくれました。ほかには?と言われ、入院するまえに離乳食にカブを食べさせたのですがカブにアレルギーとかあるのでしょうか?とたずねると落ち着いたら血液検査をしてみましょうと言われました。

マツリさんが退院した日に私が胃腸炎になってしまい、ミコシさんが検査の予約日にマツリさんを連れて採血にいきました。帰宅したミコシさんは肝機能の数値は正常だけれど、アレルギー体質だからお母さんとお話がしたいと先生が言ってたと伝えてくれました。カブかな?と聞くと、カブは大丈夫らしいけど食生活のことだからお母さんに伝えたいらしいとだけ言いました。

後日、病院をおとずれると検査表のようなものを見せてくれました。マツリさんのアレルギー反応の値は普通の人に比べて非常に高く、卵、牛乳、小麦などは食べることはできないとのことでした。いわゆる食物アレルギーです。
緊急を要するのはミルクでアレルギー用のミルクにするよう言われました。ただ、このミルクを好まない赤ちゃんもいて飲んでくれればいいんだけれど
と、マツリさんに笑顔を向けながら言うとメモ用紙にミルフィーと記し多分手に入るだろう薬局をいくつか書いてくれました。

マツリさんは、医師の不安をよそにミルフィーをごくごくと美味しそうにのんでくれました。普通のミルクより値段は高かったけれど、なるべくしてというかマツリさんの顔中にあった湿疹や赤味は徐々に消え、代わりに透き通るような白い肌になりました。生後一週間目からの悩みから解放されました。

でも、食物アレルギー対策は思ったより大変だったのです。次回に続く、、

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