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ぷれーんぺーじ

近場の鮮魚店に開店早々に行く。
ここ数日私の日課です。

マツリさんは離乳食をもりもり食べてくれます。
おかゆからはじめて、すりつぶした人参、かぼちゃ、じゃがいも、納豆などその日のメニューをぷくぷくしたほっぺに崩れたご飯粒をつけながらご満悦の笑顔でもぐもぐするのです。私の持っている長いスプーンを一緒に持ち、自分で食べるから貸してと言わんばかりにブンブン振りまわす食欲旺盛な姿は食物アレルギーがあっても成長していける頼もしさを感じさせてくれました。

その顔がミコシさんに似てるなと一人でニンマリしました。ミコシさんは、さすがにスプーンをブンブン振るわけではないけれど、どんな料理を作っても、うまい!と美味しそうに食べてくれます。結婚するまで家事より仕事の比率が9割以上を占めていた私にとって感謝しかありません。一時、危機的状況があったのですが、それがなぜ起こったのか彼の男気を知るのはマツリさんが、もっと大きくなってからのことになります。

いらっしゃい!
鯛のお刺身ください。一番新鮮なやつ。
どれも、新鮮だよー。

帰宅すると刺身の一切れを茹でます。そのあと、細かくしておかゆに混ぜます。残りの鯛は、ミコシさんの晩酌用に冷蔵庫行き。

おまたせマツリさん、今日も鯛ご飯だよー。おさかなさんからタンパク質を取りましょう!
こんな感じで、鯛の次は、柳がれい、いしもち、あじとお魚をクリアしていきました。卵は栄養価が高いのに安く買える優秀な食品ですが、アレルギー体質のマツリさんが誤食してしまうとアナフィラキシーショックという呼吸困難や腹痛、命に関わる事態にもなるそうなので、我が家の冷蔵庫からは姿を消しました。

離乳食自体まず、完全に加熱したものから練習していくので卵かけ御飯とか半熟玉子のトロトロオムライスなんて、危険以外の何ものでもありません。

小麦粘土で遊んでいたときに目の周りが赤く腫れたのは、小麦にもいくらかアレルギーがあるせいで米粉のパンとやらを作ろうとミコシさんはパンが作れる家電を購入しました。

今はスーパーの食品のほとんどにアレルギー食品の表示がしてあります。米粉のパンなども手に入りやすくなりました。当時は少しずつ食物アレルギーのことが世の中に知られるようになってきた頃でした。なので、はっきり記載されているものとないものが混在していました。常に、カゴに入れる前にはハムなどの加工食品やお菓子などの後ろに記載されてある原材料の部分を真剣に見て卵や牛乳が入っていないもののみを購入しました。
全般的に入っていないものの数はとても少なく価格も高く設定されていました。そんな中、みんなの食卓シリーズはとても重宝しました。また、キューピーのアレルギー用のお菓子もとても助かりました。

マツリさんが成長していく日々は人生のご褒美か!と思うほど甘い時間でしたが離乳食からより普通食に近いものや嗜好品などを用意したいのになかなかうまくいかないのが悩みの種でした。
特に車に乗って大きな公園や動物園といった場所に出かける時、おにぎりやバナナに偏りがちで、時にジャガイモのニョッキパンなども作ってみたりしましたが料理上手とは言えない不器用な私には許容量オーバーになっていました。

そんな時、新聞の折り込み広告の中にパルシステムのチラシを見つけました。
そこにはぷれーんぺーじというアレルギーっ子むけの卵や牛乳、小麦などが入っていないパンやお菓子がたくさん載っていたのです。

これだ!
ためらわずに電話をしました。

パンなどは冷凍されているものが多く常温にしておくと食べられます。マツリさんは米粉のクリームパンがお気に入りでした。ちょっと出かける時も便利です。幼稚園の間まではお世話になっていたと思います。

家族の中ではぷれーんぺーじに助けられながら安定した生活を送れるようになったマツリさん。でも、何でも食べられる子供達と交流をもつのもまた、越えなければならないハードルがあり、、、その話はまた次回に続きます。

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