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素人が1日で富士山に登り辿り着いた真理

日本人たるもの、人生に一度は富士山に登らねば。
ずっと考えていたけどハードル(と標高)が高く、ずっと実行できずにいた。

そんな中、唐突に友達夫婦から富士山登頂のお誘いが来た。

最後に山に登ったのは2年以上前であり、今ではアパートの階段を上るだけでも息が上がるリモートワークで衰えた体で登れる山なのか。
一瞬不安になったが、この機会を逃すと一生登らないのではないかと思い即決した。


そして登頂前夜、こんなLINEが送られてきた。

「登山とは山を通して自分自身と向き合う活動である」というらしいので、各々問いを考えて登ろう


今回、登山の素人がどんな準備とスケジュールで臨み、登頂を経てたどり着いた様々な真理を備忘として残したいと思う。





装備

【服装】
速乾性の長袖:ワークマン
速乾性の半袖:Patagonia
フリース:ワークマン
ゴアテックスのアウター:mont-bell
登山用のスパッツ:メーカー忘れた1万くらいのやつ
速乾性のハーフパンツ:MAMMUT
ゴアテックスの長パンツ:mont-bell
登山シューズ:mont-bell
口元覆うBUFF

【飲み物と行動食】※歩きながら食べれるやつ
ウィダーみたいな小さいパックに入ったアクエリ×2、ソルティーライチ×4(計1.8L分)
水500ml×2
塩タブレット×1パック
カメカメサワーズ×2パック
チョコ×2ケース
飴ちゃん×1パック
カップヌードルBIG(唐揚げレモン味)×1
おにぎり×2

【その他】
30Lバックパック:MILLET(品名:elium30)
登山用ポール:mont-bell
ヘッドライト:Tinzzi
携帯コンロ:iwatani
携行ガス:iwatani
携行酸素ボンベ
ウェットティッシュ


【とっても役に立つQ&A】
Q:飲み物はなぜペットボトルじゃなく小さいパック中心?
A:高山病対策には継続した水分の摂取が不可欠。なのですぐに取り出せてチューチューできるパックタイプを選択

Q:BUFFはなんのため?
A:防寒と防塵とマスク効果が目的。山頂は寒くて下山時には砂場を駆け降りるため口周りがとてもハードな環境。とはいえマスクをすると酸欠で死んでしまうため口周りのスペースも確保できるBUFFが最適解

Q:山頂だと酸素薄くてコンロに火がつかなくない?
A:もはや風が強すぎて火起こしどころではなかった。あと高山病(口述)で死にかけていたため食べるのはおにぎり一個が限界だった


選んだコース

富士山に登るには4つのルートがあるが今回は須走ルートを選択。
14kmの道のりを約9時間30分かけて歩くルートだ。

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火山である富士山では珍しく登りでは植物が楽しめ、下りは砂走という砂利道を豪快に駆け抜けるご機嫌なコースだ。
経験者向けということを除いて。

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マップでは標高2,000mからスタートだし、実質登るのは山全体のたった半分やんけ!と調べた時点で楽観視。

また、インスタを調べると成人式の同窓会に向かうギャルみたいな服装で登っている人もおり、余裕では?と舐めていた。

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スケジュール

3:30 起床@友人宅
一緒に登る友達夫婦宅に前泊
うっかり前の晩にワインを空けてしまい、且つ首を寝違えクソ体調が悪い中、起床

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3:50 出発
king guが流れる中、後部座席で爆睡


5:50 「道の駅須走」付近の駐車場着
近くのコンビニから見えた綺麗な赤富士

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今からこれに登るのかとホットドッグを食べながら痺れる

6:00 連絡バス乗車
乗り遅れそうになり駐車場を駆ける


6:45 登山口(須走ルート5合目)到着
この時点で標高約2,000m
テンションが上がり写真を取りまくる
すでに酸素が薄く軽い頭痛がした

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7:00 登頂開始
序盤は森に囲まれており、ジブリみた~いとはしゃぐ
ずんずん進む我々に前方の人が道を譲ってくれ「我々もまだまだ若いでござるなあ」と調子に乗る

富士山の向こうに月が見え、いとをかし

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8:00 六合目
最初の山小屋に到着。眼下にドーンと景色が開けておりとても綺麗
まだ元気だったため写真を取りまくる
頂上=10合目のため、すでに半分来たのだろうと富士山を舐める

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8:30 本六合目
真の六合目が現れる
「では、さっきのは何だったのか」とぬか喜びにへこむ
加えてこの後もXX合目、本XX合目のパターンが続くと聞かされ下山を検討する

立てなくなった自分↓

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9:30 七合目

全員疲れて無言になる
休憩中、友人夫婦から入籍後の初旅行が今回であり、実質新婚旅行であるとカミングアウトされる

動悸が激しくなり酸素ボンベの使用を開始


13:00 八合五勺目
ここにきて8.5と合目を刻んできたことに対し、本七号~本八号を経て体力の限界を迎えた身体が崩れ落ちる
そのまま全員砂の上で寝てしまい1時間のタイムロスが発生


14:30? 九合目?
記憶がない
頭痛と鼻水が止まらない
上を見ると何かが切れてしまう気がして目の前の砂利だけを見て進む



気圧でパンパンになった友達の一本満足バー↓


ストック抜きでは立てない友達夫婦↓

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15:00 山頂
気が付いたら入口にある鳥居の目の前だった

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景色は絶景の一言で、日本にいることを忘れて眺める

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ここで安堵感と疲労感が一気に押し寄せ、頭痛が本格化
おにぎり1個で我慢しようとしたら間違えてワサビ味を食べてしまう痛恨のミスにより、水を大量に消費



15:30 下山開始
天気は良かったが強風でとにかく寒く、すぐに下山を開始


18:00 須走(すばしり)開始
今のペースでは終バスに間に合わないことが発覚
永遠に砂利が続く下山ルートを猛スピードで駆け降りる(これを須走というらしい)


夕暮れの景色はとても綺麗↓


19:00 クライモリ
須走を終え、麓の明かりがあるところまでついたが、駐車場まではさらに30分かかることが発覚

この時点で終バスに間に合わないことが確定
ヘッドライトの明かりのみを頼りに手探りで夜の森を歩くが、足は完全に限界



大きいカエルもいた↓



19:30 駐車場着
這うようにして到着
タクシーを呼び道の駅まで戻る





登った感想

「「「「富士山を舐めないで」」」」

あの山にインスタ女子はおらず、いるのは屈強な外人と歴戦の老夫婦、ビーサン履いた上裸のヒッピーだけである。


確かに序盤は目の前をごぼう抜きだった。それで調子に乗った結果、中盤以降は抜きに抜かされた。

思うに、あの日あの山でギリギリ登頂しうる最低限度の人間が我々だったのではないかと思う。
そのため序盤で我々に抜かされた人たちは全員途中で下山or山小屋泊したと推測している。

高山病で山頂には30分しか居れず、挙句には終バスを逃して森を彷徨う散々な目にあったが、一応1日で富士登山を終えることができた。


登山中にたどり着いた真理たち


①「笑いにおけるイジりとは対等な立場で行われるべき事象である」

上司の強引なイジりに苦笑いをした経験はないだろうか。
先輩の的外れなイジりに閉口したことはないだろうか。

行き過ぎたイジりは時にイジメになる。

前に見た中学生に密着するドキュメンタリーで、ある男子が語っていた。
「イジりは俺なりのコミュニケーション。好きとか嫌いとか関係ない」
それに対する周りの生徒からの感想は様々であり決して好意的ではない意見もあった。

この様にイジりのラインはとてもあいまいで、子供だけでなく大人も見失うことが多いと思う。

そこのラインを見失わないための一つの答えが「対等な立場」だと、登山中にハッとひらめいた。

対等な立場とは何か。それはずばり「①自分がイジられてもいい相手②相手も自分をイジることができる関係性」である。


イジられる覚悟があって行うイジりは必然的に行き過ぎた内容にならないと思うし、何というか愛のあるものになると思う。

今まで何となく自分が実践してた内容だったけど、改めて言語化できてよかったなあと登りながら考えていた。


②「覚悟とは何をしないかを決める事である」

今まで覚悟とは自分の中で高い目標を持ち続け、それに向かって進む事だと思っていた。

でも山頂を目指しながらそれだけでは不十分では?と気がついた。

というのも、多分登り切ることができたのは「諦めない」「下山をしない」「休憩をとり過ぎない」「その場で月曜の有給申請をして山小屋泊に切り替えない」といった選択の連続の上に成り立っていたからだ。

目標に向かってやらない事を決めて、それを徹底することが覚悟と言えるんじゃないかなあと思った(あくまで複数ある中の一要素かもしれないけど)


③「人たらしになる事が人生を楽しむコツである」

ずばり仕事でもプライベートでも「人たらし」が最強という説。

これは前から薄々気がついていたが、自分が一人で出来ることなんて限られているので、いかに人に動いてもらうかが人生において最重要だと改めて思った。

人を動かすといっても人によってモチベーションは様々なので、それぞれに合わせらのは骨が折れる。

そこでたどり着いた結論が「ちょっとできない人作戦」だ。

完璧な人だと「あの人は何でも出来ちゃうから」と周りも手を貸さないし、かと言ってポンコツだと「あいつは何やってもダメだ」と見放されてしまう。

そこで、「基本自分でもある程度こなせるけど、あと一歩足りてない部分があり、そこを人に補ってもらう」スタンスを取る事で周りもしょうがないなあと手を貸してくれやすい。

じゃあどうやってそのスタンスを自然に出すか?
それはずばり「お茶目さん」になる事じゃないだろうか。

「やっべえ〜××まで分かるけど××出来ねえ〜。ヘルプミ〜〜」
「マズイっす、文系で作者の気持ちしか考えてなかったんでこの数字の意味が分からないっす。助けて下さいー」



みたいな感じでテヘペロ(・ω<)的な愛嬌を上下左右みんなに出していく事で手を差し伸べてもらえる人間になれるんじゃないだろうか。

とはいえ、やり過ぎるとポンコツ認定されるので、やる時はやるという姿勢も大事。

「普段は陽気だけど実は色々考えてるよね」と思われるくらいがちょうどよいのである。

このバランス感覚って難しいなと思うが、逆に出来てる人は少ないと思うので、これからもトライしていきたい。


以上が富士山に登りたどり着いた真理である。

今年はもう閉山したのでしばらく登る事は出来ないけど、他の山はまだ開いている。

何か悩み事があったら答えは山が教えてくれるかもしれないので、是非登ってみて欲しい。
もうすぐ紅葉の季節だしね。

それではまた〜

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