【詩のようなもの10編】夏と秋の狭間
最初の二編を無料公開します。
気が向いたら他も読んでみてください。
【夏と秋の狭間】
猛暑に隠れる冷たい雨風
真夜中と早朝の狭間
机の上のビール缶 コーヒー缶
挙げ句の果てに風邪薬
今の僕を示すそれらが散乱してる
首も肩も腰も若さの割りにガタつくのが早くて困ってる
オマケに腹痛にまで襲われてやってらんないって呟く
頼る人はいたって頼りたくない
お金はあったって使いたくない
歳に合わない自尊心が痛みに勝る
明確に移らない季節の狭間
ほんの数ミリ背中が曲がってる
その瞬間 怯えはしても
明日の天気が気になる頃
更に曲がってることには気づかない
秋風の心地良さが身に染みる頃
去年より風邪薬の効き目の悪さに
ウンザリして歩くのも億劫
誕生日がもっと鬱陶しく お正月に嫌悪を抱く
夏よ止まれ 秋よ来るな
【華の声】
紅の月の影に舞う華の先
何を語るでもなくただ咲き続けている
何処へ行き何処で終わるか誰も知らず
ただ咲き続けている
空へ流すように踊る声が潤いに変わり
答えのない歩みに笑いながら添う
世間に渡る程自惚れてはいないけど
滞る迷いの道標 未来は何処へ
輝きもなく飽きられる華 次の種は何処へ
後戻りは今更さ 誇れるものはないけど
富士の高嶺で咲くただ一つの華になりたい
あぁ流れて 渡って 良いも悪いもその先に
痛くても痒くても夢を見ている間だけが
華を咲かす唯一の道標
誰も知らないただ一つの華
鳥の声 風の歌 月の舞
そのどれもが道中で得た僕を咲かす栄養素
朽ちるまで繋げていきたい
広げていきたい 語り続けたい
華の声 そこら中で咲きたがっているみたい
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