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てぃくる 28 毛深い母

 いや、わたしの母親やかみさんが毛深いという話ではありません。
 丁寧に書けば。『毛深い』と『母』との関係についてのお話です。

 はい。
 ご存じ、春の七草の一つでもあるハハコグサです。

 たぶん、ほとんどの方はこの草の由来は『母子』から来ているとお考えなんじゃないでしょうか。わたしもそうでした。でも、必ずしもそうではないようなんです。

  えーっ? どゆこと?

 画像を見ていただけば分かっていただけると思いますが、葉や茎にびっしり毛が生えています。毛深いんです。古来、その状態を『ははける(ほーける)』と言うそうで、ははけている草、ははけ草、ははこぐさになったという説が有力なんだそうです。
 しかし、ハハコグサの語源やその呼び名の変遷ついてはまだ謎が多く、いついかなる理由で母子の字が当てられるようになったのかはよく分かってません。ですが、どうも少なくとも母と子の麗しい、もしくは悲しい史実が語源ということではなさそうです。

 母子草は、それでも春の七草の一つとして現代でも一定の評価を受けていますが、とばっちりを食ったのはチチコグサ(父子草)ですね。母のような母性も美しさも有用性もなく、同じ仲間の草なのに汚いおやじだと邪険にされて、そんな名前をすぽっと被せられてしまいました。
 ハハコグサと同様に、チチコグサもかなり毛深いようなんですが、毛深い父はねえ……。

 いえいえ、頭のてっぺんが毛深いのは多いに結構なんですけど。
 ちぇ。

(2013-05-28)

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