てぃくる 5 ねもい
「ああ。もう。どうにも。かなんわ。ねもい」
世の中に無数にある言葉。
最初、それらはコミュニケーションが取れる最小限のセットだったはずなんですが。今はどんどん膨らんで、何千、何万、何億という言葉の海になっています。ですので、大海を泳ぎ切れずに溺れているように感じることがままあります。
でも、海の水ってのは際限なく入れ替わっているんですよ。言葉もまた然りだと思います。
流行り言葉。若者語。日々、無数に作られては消えていく造語。言葉の海は無限に膨らむように思えますが、必ずしもそうではありません。作られると同じくらい、消えていくからです。
今使っている人たちすら、じきに造語があったことを忘れて行く……まさに泡沫言葉ですね。ですから、その時々の造語を知らなくても使わなくても、わたしたちの日常生活に支障をきたすことはまずありません。
Test of time。時の試練。常日頃使っている言葉が時代を超えて残せるかと考えてみたら。わたしたちの始祖が少ない言葉のセットから始めた言語によるコミュニケーションは、あまり進化しないように出来てるのかなあと思ったりもします。
《スーパーの青果コーナーで一人突っ込みを入れるおじさん》
アボガド? あほ。あぼ「か」ど、や! 化学のアボガドロ定数も覚えられへんかったくせに、こういうアホなことは書きよる!
人参。ひとまいりと読んでるそこのJK! ちょうせんひとまいりでも飲んで、出直して来い!
人肉。青果コーナーで肉売るな! つか、それは大蒜やろ! 物騒なポップ書かんといて!
つらみだいこん。うんうん。つらいことがあるのは、よーわかるで、おばちゃん。でも、辛味大根はな、「からみだいこん」と読むんよ。おっちゃん、聞いててつらいわ。
かぼちゃ。確かに爪と瓜の字は似てるな。でも、南にどこまで行っても、爪の生えてるカボチャはあらへんと思うぞ。
……珍ポップ。ええ、じつわ。全て実話です。
(2013-01-16)
あまり眠くない音ですが。ええ。アラン・ホールズワースを偲んで。
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