シマのネコ

 このお話は、今、奄美大島で問題になっているノネコ問題(ネットで炎上しているようですが、あえてその話題にリンクもしません)に何か物申すわけではなく、あくまでも、個人的な思い出というか、シマでネコがどんな存在だったか思い出したお話です。(シマは島ですが、同時に”集落”を意味します。)

 私の生まれ育った奄美大島は、今でこそノネコ・ノイヌ対策と騒いでいますが、昔からノネコにたいしては寛容だったような気がします。
 何故?と聞かれたので、そのお話を。

 子供の頃(ちなみに1964年生まれですので、1970年代、昭和40年代のお話です。)、母方の祖父が田舎で養豚業を営んでました。その周辺には養鶏場もありましたし、なにより、母方の祖父の家と同じ集落にあって、小学生時代に夏休みを過ごした父方の祖母の家では庭に鶏を放し飼いにしていました。何も奄美大島だからではなくて、どこの田舎でもあった風景だと思います。

 そこには必ず猫がいました。犬はいたかな~。
 放し飼いの鶏は、かなり気が強く猫に襲われる様子は覚えていません。後から聞いた話ではチャボが交配されている雑種とか。なるほど猫に襲われるような柔なトリではないのでしょう。

 自由に歩き回っている猫はなにをしていたのか。今考えると、恐らくハブ対策です。
 ハブの餌はネズミやカエルなどの小動物。
 思い出すと、祖母の家の台所は隙間だらけで水回りも、今の基準で言うと衛生的とはいえません。恐らく、ネズミやカエルが自由に出入りできたでしょう。それを取り締まる役割だったのでしょう。猫は。
 そして、後で聞いた話では、ハブがいると猫が騒いで教えてくれたそうです。そして、かなりハブにやられてしまった猫もいたようです。

 だから、ノネコというか、猫の放し飼いがかまわないということではありませんが、島の人が猫に寛容なのはこういう理由ではないでしょうか。
 ハブは島の自然の守り神ですが、猫は人の生活の生きたアラームというか。

 だとしたら、ノネコがクロウサギを襲っているというのは他の理由を考えたほうがいいのではないでしょうか。
 経験的には普通車が通れるような林道がかなり山奥まで通っていて、その道沿いではハブを見ることは無くなりました。みんながハブ捕り(生け捕りで3000円で役所が買ってくれます)をするので、車が通れる場所のハブはいなくなってるのです。恐らく、そこをノネコが悠然と安全に通れるのでしょう。そうなれば・・・想像はつきますよね。

 それに、街なかの野良猫が餌も無いし、ハブ(おそらくマングースにも襲われたかも)の危険もある森に行くとは考えにくくて、山中に捨てられた猫が生き延びているということじゃないかと思ったり。

 あくまでも個人的な考えです。悪しからず。

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