神奈川県民の聖地ハングリータイガーに通いはじめて30年が経った
カバー画像のハンバーグに見覚えはありませんか?そう、横浜市を中心に、神奈川県に10店舗(2020年3月1日現在)を展開するレストラン、ハングリータイガーのハンバーグステーキです。
私が両親に連れられてハングリータイガーにはじめて訪れたのが3歳のころ。以来、30年にわたって通い続けています。また、ときには伝道師として、ハングリータイガーをまだ知らない県外のひとたちへの普及活動にいそしんでいます。気分は特命広報担当です。
いま、新型コロナウイルスの感染への不安と外出の自粛で、さまざまなお店がつらい状況にあると聞きます。だいすきなお店に、客である私たちがいまできることはなんだろう。すきだと伝えること、まわりのひとたちにも魅力を伝えることなのかな、と思います。常に行列のたえないハングリータイガーは、私なんかが心配しなくても問題ないかもしれませんが、お節介をさせてください。すべての危機からあなたを守りたいんです。
↑赤いテーブルは横浜モアーズ店
30年通い続けて店員さんのセリフをも暗唱できる私が、ハングリータイガーの魅力すべてを書きます。みんなが横浜へ向かいたくなるような記事を書きます。
いまじゃなくてもいい。感染の不安が過ぎ去ってからでもいい。東京から行くのであれば、横浜モアーズ店やグランツリー武蔵小杉店が便利です。武蔵小杉だったら渋谷から東横線の特急で13分!記事を読んだあと、行きたくなった時にはおすすめですよ。
ハングリータイガーに行くべきひと
いくら私がハングリータイガー唯一神の信仰者だからといって、すべてのひとがすきになってくれるとは限らないということは理解しています。なので、ここではどんなひとがハングリータイガーに行くべきか、お伝えします。
世の中のハンバーグという概念に疑問を抱いている
洋食屋さんで食べる、白いお皿に乗りデミグラスソースのかかったハンバーグ。おいしいですよね。カットするとふんわりやわらかくて、ジューシーなハンバーグ。おいしいですよね。私もハンバーグ芸人として、いたるところであらゆる個性のハンバーグを食べています。それぞれ、とてもおいしいです。
でも、違うんだ!もっと荒々しくて、猛々しくて、肉肉しい!そんなハンバーグを私は食べたい!!
そんなひとには、ぜひハングリータイガーのハンバーグを知ってほしいと思います。
わが子に料理人のかっこよさを知ってほしい
ハングリータイガーの焼き場はまるで舞台。焼き場−−ハングリータイガーでは「チャコールブロイラー」と呼びます−−はガラスで囲まれ、中ではチャコールマン(肉を焼く専門の料理人)がハンバーグやステーキを焼いています。
小さいころ、注文を終えるとすぐに私はチャコールブロイラーに駆け寄りました。ガラスに顔を押し付けるようにして、焼けるハンバーグとチャコールマンの姿を見つめたものです。手際のよいチャコールマンを見て、このお肉が自分のかな?と考えながらワクワクする気持ちはいまでも忘れられません。普段身近には存在しない料理人というひと。見られていることをまったく気に留めていない様子もまた、かっこよさを際立たせました。
チャコールマンは子どもたちの視線を一身に浴びる舞台俳優。お子さんと一緒に訪れた際には、ぜひチャコールブロイラーを見に行かせてあげてください。ガラス張りなので油の飛び散りも心配ありません。
訪問から会計までのすべての体験
30年を経て、私はハングリータイガーの訪問から会計までのフローを完全に把握しました。はじめて行くお店って多少なりとも緊張するもの。事前にこちらを読めば、まるで常連のように初訪問に挑むことができるのでおすすめです。
1. 事前にウェブで順番待ちをしよう
席の予約はできる店舗とできない店舗があります。公式サイトで確認しましょう。もし予約ができない店舗に行く場合でも安心してください。私たちにはウェブ受付という強い味方がいます。私のよく行く横浜モアーズ店とグランツリー武蔵小杉店は予約ができない店舗なので、私は常にウェブ受付をしています。
ウェブ受付とは、EPARKというサービス上で順番待ちの受付ができるもの。ハングリータイガーの公式サイトでは、各店舗の混雑状況が表示されています。順番待ちをしたい店舗をクリックしてEPARKに飛びましょう。会員登録をすれば受付ができます。
ウェブ受付をしない場合は店頭の機械で番号札を発行するのですが、ウェブ受付の場合、それをEPARKで済ませることができるんです。
注意としては、ウェブ受付をすると多くの場合名前で呼ばれること。店頭待ちのひとは番号でしか呼ばれないので、やや恥ずかしいです。
※ときに、ウェブ受付のできない店舗もあるので、サイトで確認を。
2. ワインレッドのナプキンは膝にかけるな
順番がきたら席に案内してもらいます。「床が滑りやすいのでお気をつけください」(店員のセリフ)
席には荷物入れがある場合とない場合があります。いずれにせよ、その席におかれたワインレッドのナプキンで、荷物を覆うようにしてください。ハンバーグがくると油が跳ねます。私たちの荷物をシミから守ってくれるのが、ワインレッドのナプキンです。くれぐれも自分の膝にかけないようにしましょう。
3. まずは悩まずオリジナルハンバーグステーキ
待っていれば店員さんがお水とおしぼりを運んできてくれます。注文はそのときで大丈夫、待ちましょう。
肝心の注文ですが、初来店であればオリジナルハンバーグステーキ一択でお願いしたい。肉量が2倍のダブルハンバーグステーキでも、もちろんいいです。オリジナルハンバーグステーキは220g、ダブルハンバーグステーキは440g。胃袋と体調と相談してください。
何を隠そう、私は30年間、オリジナルハンバーグステーキとダブルハンバーグステーキしか頼んだことがありません。一緒に行ったひとからチキンやスペアリブを一口もらったことはあって、それはそれでめちゃくちゃおいしかったのですが、ハンバーグの呪縛に抗えないのです。それくらいハンバーグは至高。
↑この光の入り方は港北センター南店
複数名で来た方には注意してほしいのですが、だれかがまとめて注文を伝えないこと。なんと、だれがなにを頼んだのか店員さんが把握して、間違いなく目の前に自分が注文したものを置いてくれます。ハンバーグから、ライスorパン、ドリンクにいたるまで。注文をひとりがまとめて伝えようとすると、このご注文はどちらのお客様ですか?と聞いてくれます。神はここにいる。
4. 紙ナプキンを広げるタイミング
注文を繰り返してくれたら店員さんは一度去ります。目の前には紙ナプキンが置かれています。ほかのハンバーグ・ステーキ屋さんにもよくある、胸元までかかげて油はねを防ぐ、アレです。
注文後、すぐに広げて待つ必要はないでしょう。テーブルから滑って落ちやすいのでストレスになります。
タイミングは店員さんが再度現れて、「お料理の準備をします」と言いながらソースとカット用のナイフ・フォークをテーブルにセットしたあと。四角いナプキンの半分をテーブルに置き、もう半分を手前に垂らした状態で待ちます。
5. とうとう目の前にハンバーグが現れる
ハンバーグの乗った鉄板に持ち手をつけて、店員さんが運んできます。目の前に置かれると同時に、垂らしていたナプキンの半分を胸元まであげましょう。
持ち手をはずし、小脇に抱えた店員さんは「鉄板の余熱で最終調理を行います。60秒ほどお待ちになってからお召し上がりください」と歌うように告げ、ハンバーグを半分にカットして、断面をしっかり焼いてくれます。小さい頃はかかげたナプキンに覗き穴を開けて、肉の焼かれる様子や向かい側に座る両親を見ていたものです。
「ソースをおかけしていいですか?」と聞かれるので、はいと答えます。鉄板に注がれたソースは肉汁と混ざり合い、最高の味を生み出します。残りのソースはテーブルに置かれるので、好みに応じて量を足しましょう。
ちなみに、「ソースをおかけしていいですか?」にいいえと答えても大丈夫です(当然)。ソースはまるごとテーブルに置かれ、自分のタイミングでハンバーグにかけることができます。
ナプキンをあげて60秒を数える間、付け合わせのミックスベジタブルとソテーオニオンは少し混ぜておくと焦げ付きを防ぐことができます。ただ、混ぜると「映え」は失われるので、写真を撮るひとは要検討。
↑混ぜたあとの写真
おいもといんげんは混ぜなくても大丈夫。
6. 奥義、ソースのおかわり
しばらく食事をしていると、「油が跳ねましたのでお冷を交換します」と店員さんがやってきます。グラスごと交換するんですよ。すごい。同時に、新しいおしぼりを円柱型の木の容れ物にいれて持ってきてくれます。ひととおり提供が終わったことを店員同士で伝えるサインになっているのかな、と勝手に妄想する、気持ち悪い常連がここにいます。
これが基本的には店員さんがテーブルにきてくれる最後の機会です。声をかけて店員を呼びとめることが苦手な私は、このチャンスをものにする。奥義、「ソースのおかわりをいただけますか」の発動です。
普通のひとならソースは適量が提供されているので、この奥義は不要です。しかし、私はすでにハングリータイガーのハンバーグソース中毒者なので、お願いしてしまうことが多いです。
おかわりを断られたことはありませんが、公式で案内されているものではありません。マナーと節度を守りましょう。
7. お会計
テーブルに置かれた伝票を持ってレジへ行けばお会計です。足元が滑りやすいのでご注意ください。なお、服や髪には確実においしいにおいがついています。混雑する場所にそのまま行くと注目の的です。
ハングリータイガーの魅力
ハングリータイガーの魅力は少しずつ伝わっていますでしょうか。心配なので、わかりやすく魅力を箇条書きにしてみますね。
ハンバーグがおいしい
↑ここはカウンターなので、グランツリー武蔵小杉店
当たり前のことを言ってしまった。おいしいです。つなぎのない、玉ねぎも入っていない、牛肉100%のハンバーグ。公式の紹介文が完全にシズルので、引用させてください。
粗く挽いた牛肉を、ごろんと丸めただけのハンバーグ。
いってみれば、私たちのハンバーグは、肉のおいしさをそのまま召し上がっていただくもの。だからこそ“ステーキ”と呼べるものだと思っています。今では、日本中の各地で真似されている牛肉100%ハンバーグのオリジナルを作ったのが、「ハングリータイガー」なのです。
(ハングリータイガー公式サイト、こだわりより)
おいしいので440gのダブルハンバーグステーキを注文したくなるのですが、だいぶお腹にたまります。偶数人数で行くときは、ひとりがオリジナルハンバーグステーキ(220g)、もうひとりがダブルハンバーグステーキ(440g)を頼んでシェアするとちょうどいいことに、つい最近気づきました。
ハンバーグは半分にカットされるので、オリジナルハンバーグステーキは2つ、ダブルハンバーグステーキは4つの塊ができます。わけあいやすいんですよね。
↑湘南辻堂店。オリジナルとダブルをわけあったあと。
ソースの中毒性
ソースが唯一無二の味だというファンのひともいます(うちの母)。私も前述したようにおかわりを所望するほど好きです。ソース単体もいいんですけど、鉄板の上でソースが肉汁と混ざり合ったときに威力が発揮されます。
クックパッドなどで再現を試みたレシピを公開しているひともいるのですが、それでもきっとなかなか難しい。私は、再現できたことはないです。やっぱり行くしかないと思うな。
オペレーションの安心感
ハングリータイガーに30年通って、一度も気分を害したことがありません。常に最高の接客。安定したオペレーション。どの店舗を訪れてもブレない姿勢。
30年通っているといっても、頻度は大したことないんだろう。そんな声も聞こえてきたので(空耳)最近の頻度をお伝えしますと、2020年に入ってから2ヶ月で4回です。東京在住で4回は結構がんばっていると思う。一時期、3年ほど大阪に住んでいた時代がありますが、その時ですら月1回〜2ヶ月に1回通っていたので、だいぶヤバいやつです。
かなりの頻度で通って実感をもって言えます。前章「訪問から会計までのすべての体験」でお伝えしたフローは、30年間ほとんど変わっていません。
一点だけ、変わった点があるとすれば鉄板と木板です。
以前はまず、鉄板を設置するための木板だけが先に運ばれてきて、そのあとハンバーグの乗った鉄板が運ばれました。なので、木板が来る前から、紙ナプキンを広げておく必要があったのです。しかし、いつからか鉄板と木板が合体した状態で、ハンバーグとともに一度に運ばれるようになったのでした。
なお、ダブルハンバーグステーキに関しては、昔から木板と鉄板が合体したものが使われていました。
↑ダブルハンバーグステーキの鉄板(丸いバージョン)
ハングリータイガーは県民の宝
ハングリータイガーは全盛期に六本木や千葉に進出していたり、少し前には名古屋にも出店していたりしたので、神奈川県民以外にもすきだよというひとはいるのではないかと思います。また、神奈川のハングリータイガー VS 静岡のさわやかという図式で語られることも多いので、静岡県民にとってもおなじみのお店かもしれません。
間違いなく言えるのは、ハングリータイガーには長年根付いたコアなファンがたくさんいること。
一度は閉店続出の危機がありました。それでも、私たちは復活を信じました。愛され続けた結果、1969年に保土ヶ谷で誕生したハングリータイガーは、今年で51年を迎えます。
これからもおいしいハンバーグを食べたいから、私はハングリータイガーを応援し続けます。
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