ごはんを楽しむことに一生懸命だ
ずっと家にいるようになってから、ごはん一食一食に「物語」を求めている。今日、なぜそれを食べるのか。どうやって食べるのか。ごはんの時間をどう楽しむのか。
なにを食べるか決めるときのわたしの顔つきは、日に日に真剣さを増している。そして、真剣にごはんに向き合う分、体重も増している(はず。怖くてはかっていない)
朝起きてから夜眠るまで、途切れることなく続く家での時間。なにをしたか、なにに時間を使ったか、ごまかしがきかなくなっている。だから、今日一日をちゃんと楽しんだぞ、生きたんだぞという実感がほしいんだと思う。
わたしは、今日も、真剣にごはんを楽しむ。
食べることに物語を
食べている最中が楽しい。そんなごはんを選ぶことが増えた。すき焼き、もんじゃ焼き、手巻き寿司。そして、キッチンに椅子を運んでガス台の上で食べる、少しぎょうぎの悪い焼肉。
食べているとき、パートナーとの会話がはずむのがうれしい。わたしたちは、この時間を「パーティ」と呼ぶ。
食べることに「物語」があるごはんだ。
最近、羽海野チカさんの『3月のライオン』を読み直して、最新刊に追いついた。この作品には、みんなで食卓を囲むシーンがたくさん出てくる。
じつは、もんじゃ焼きも、手巻き寿司も、『3月のライオン』に影響を受けて食べたもの。食べる時間で、たいせつな人とこころがつながる。そんなごはん。
つくることに物語を
食べるより前、つくることに物語を求めることもできる。家族と役割分担してつくるごはん。友だちとZoomをつないで一緒につくるごはん。
noteでライブ配信したイベント「料理家たちのふだんのごはん」では、出演している料理家さんと一緒に、自宅のキッチンでごはんをつくった人も多かったと思う。
知人の取り組みだけれど、アンドサタデーさんがやっている『逗子葉山よむ料理店』で、応援したいお店のレシピを買ってつくってみるのもよさそう。
これらは、つくることに「物語」があるごはんだ。
食材に物語を
つくるよりさらに前、食材に物語を求めることもある。野菜やお肉、お酒、なんでも。困っている生産者の方から、ECサイトで買ってみる。あるいは、近所のレストランでテイクアウトを買ってみる。
自分の一食分。ちいさなことだけど、だれかを救う力に少しでもなれたら。そんな気持ちで食材を買う場所を選ぶ。
同僚に教えてもらった「のぼりべつ地ビール鬼伝説」。同時に買ったみんなの写真が上手すぎて、Twitterで上げるのが憚られた写真。
送られてくる宝物には、手紙がついていることも多い。厳しい現状。でも、たくさんの購入者がいること。がんばっていきましょうという言葉。だれかを勇気づけるために買ったはずが、逆に自分が勇気をもらっている。
これらは、食材に「物語」があるごはんだ。
*
なにに時間をつかうのか、なににお金をつかうのか。一日中家にいて、区切りのない時間を過ごすようになってから、ものすごく鮮明に意識するようになった。
ごはんへの向き合い方が変わったのは、たくさんある変化のうちのひとつで、きっとまだまだたくさんある。
5月も引き続き外出自粛だ。変化を柔軟に受け入れながら、わたしはわたしにできることを楽しんでやっていく。
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