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切り取り線のスキマから(詩)

切り取り線のスキマから
僕は旅に出た
切り取り線の向こうには
台地が広がっていて
名もない花が一面に咲いていて
僕はその花にユメという名前をつけた

切り取り線のスキマから
僕は旅に出た
切り取り線の向こうには
真っ赤な太陽が浮かんでいて
名もない鳥が太陽に向かって飛んでいて
僕はその鳥にミチという名前をつけた

切り取り線のスキマから
僕は旅に出た
振り向くと切り取り線は
ハサミで切られ
名もない崖が広がっていて
僕はその崖にカコという名前をつけた

切り取り線のスキマから
僕は旅に出た
切り取り線の向こうには
遠く地平線が見えて
名もない静けさが広がっていて
僕はその静けさにハカという名前をつけた

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