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日曜美術館を見て(2023.1.22)

五週間振りに日曜美術館を見た。
今回は農民画家と呼ばれた坂本直行が主人公。

北海道の開拓者とて懸命に生きた坂本は、山岳地方で過酷に咲いている花々を自分と重ね合わせたのだろう。
素朴な画家の素朴な絵を見ていると、この人は自然の素朴さをそのままに生きた人だとわかる。

羊蹄山の登山で雲海から昇る太陽と、その光を受けて一秒ごとに変わる空と雲の色の変化に衝撃を受けて、北海道のほとんどの山に登った坂本は、その風景をスケッチしていく。
特に日高山脈の大パノラマの風景に魅了された彼は、十勝の原野の開拓者となる。そして、開拓の寸暇を惜しんでスケッチを描く。

生活のために農業を辞め画家となるが、「原野を捨てるのではなく、逆にそれに打ち込みたい」と語り、山の絵を描き続けた。

坂本の絵は山の愛好家によく買われると言う。山を愛する気持ちが絵に込められているからだろう。
仲間が八人、遭難死した経験をし、自然が人間の生死を操る力を持つことを知り、それでも山に登る魅力に取り憑かれているからこそ、登山家の胸を揺する感動を与えられる。

自然が心を豊かにするのは、人もやはり自然の一部だからであり、だからこそ人はときどき旅に出たくなる。

しかし、身近な都会に咲く花々もたくさんある
殺伐とした都会の中で、雑草の魅力に目を向けて、心を豊かにするのも大切な時間の使い方だと思う。

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