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日曜美術館を見て(2023.5.14)

今回のテーマは超絶技法。

三人の芸術家が紹介された。
三人に共通しているのは、本物になるべく近づける精巧な細工。
物語をイメージしてから作品を作る人、植物を構成している数列を設計図に落とし込み、作品を作る人、限界と言われているその先を目指して作品を作る人。人それぞれの個性がそこには現れる。

個性により芸術作品が生まれるのか、芸術作品がその作成者の個性を作り上げるのか。ふとそんなことを考えてみた。
今回の三人を見ていると、個性と芸術性とは違うものであるが、その個性を芸術性にいかに近づけるかによって芸術作品は生まれるのではないだろうか。

本物に近づけるのならば本物を見ればいい。そう思いがちだが、そこには彫刻家のエゴがあると言う。この彫刻家のエゴこそが個性と呼ばれるものなのだろう。
作品に個性が加わることによって、本物はリアルに変わる。リアルには本物にはない非日常がある。本物を追究しながら、本物とは違う個性を表現したい。それなしに作品を作る意味はない。

本物になるべく近づける作品の作り方は、現代アートの作り方と正反対に思えるかもしれない。しかし、本物をリアルに変える個性によって完成される超絶技法による作品には、現代アートと同じ発想があるのではないか。

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