敵か味方かそれでも私達は 香り
私は香りが好きだ。
生まれつき人より鼻が敏感で微かな香りの違いに
気付く。しかし、敏感過ぎて強い香りを好まない。
出来れば、ごく自然な優しい香りが好ましい。
最近は香りの良いさまざまな柔軟が売られている。
好きな香りもあるが、少し強過ぎて使えない。
同じように、香りに敏感で調香師を目指そうと
していた人の話をしよう。
人の体臭、そこにもさまざまな香りがあり、
それは体調によって日々変化するそうだ。
その話を聞いて、私は昔見た映画を思い出した。
パヒュームという、香水の話。
ネタバレになるのであまり詳しくは言えないが、
映画の中で主人公は、香りに取り憑かれていく。
その狂気と執着、私は別に嫌いではない世界観。
当然その人も映画を観たという。
さて、感想は?
最悪だった。
香水をあんなふうにするなんて信じられないと。
かなりのご立腹、観てしまい心底後悔したと。
確かに、その気持ちも分からなくはない。
ただ、私は面白いなと思った。
人は同じような方向性だと思って進んでいても、
実はただの平行線で決して交わらない事もある。
それは、同じベクトルなのは表面的なもので、
実際は真逆に向いている事もある、という事だ。
同じような香りが好きだと思っても、実際は
分かり合えない世界観の上に成り立っている。
それは、敵か味方か、同じ味方だと思っていたら、
火傷させられたような衝動、人と人との難しさを
目の当たりにした衝撃的な出来事だった。
それ以降、どんなに理解し合えたと思っていても
ごく稀に壊せない壁があるんだと学んだ。
たとえ味方でも。今も表面的な関係を続けている。
同じ香水を使っていても安易に自分と同じだと
思ってはいけない。
香りに騙されては駄目だ。
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